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最終更新日:2025/7/1

子ども名義の口座で贈与税がかかるケースとは?貯金はなぜバレる?

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

この記事でわかること

  • 子ども名義の口座で贈与税がかかるケース
  • 子ども名義の口座で贈与をするときの注意点
  • 贈与をするときのコツ

「子どもの将来のために、コツコツと子ども名義の口座に積み立てをしている」
「お小遣いやお年玉が貯まったので、一括で子どもの口座に振り込んだ」
子どものための資金を、子ども名義の口座で管理をしている人は多いでしょう。

しかしやり仕方次第では贈与となり、贈与税の課税対象とみなされる可能性があります。

今回は、子ども名義の口座で贈与税がかかるケースについて解説します。
贈与税がかからないようにするためのコツやポイントも紹介します。
子ども名義の口座をお持ちの方は参考にしてください。

子ども名義の口座で贈与税がかかるケース

子ども名義の口座の資金は子どものものであり、税金はかからないと考えている人は多いでしょう。
しかし、子ども本人以外からの資金を口座に入金すると贈与になります。

ここでは、子ども名義の口座の資金に贈与税がかかるケースについて解説します。

年間110万円を超える入金

1月1日~12月31日までの1年間に、110万円を超える贈与をすると、超えた部分に贈与税がかかります。
子ども名義の口座に110万円を超える入金があれば、贈与税の課税対象とみなされる可能性があります。

お小遣いやお年玉を親が預かり、ある程度貯まった時点で口座に一括で振り込む場合は少なくありません。
この場合、元々は贈与税の非課税の範囲であったものが、課税対象になることもあるため注意しましょう。
贈与税がかからないようにするためには、1年間の入金を110万円以内に収まるようにすることがポイントです。

生活費以外の仕送り

生活費や教育費の目的であれば、口座の入金が110万円を超えても贈与税はかかりません。
しかしその他の目的で送金した場合、贈与税の課税対象とみなされる可能性があります。

あまりに高額で定期的な入金は、生活費として認められないこともあるでしょう。
生活費として送金したものを子どもが投資などに使っている場合も、贈与の対象とみなされる可能性があるので注意が必要です。

子ども名義の口座を渡した時

少しずつ積み立てた子ども名義の口座を、子どもが成長してから渡すと贈与税がかかる可能性があります。

日々の積み立てが贈与税の非課税の範囲内だったとしても、残高の合計が110万円を超えていれば課税対象とみなされるでしょう。

非課税制度の枠を超えたとき

贈与には、一定金額まで非課税となる特例制度がいくつかあります。
しかし資金を提供すれば自動的に非課税となるわけではなく、制度それぞれに必要な手続きがあるためよく確認しましょう。

  • 教育資金の一括贈与の特例
  • 住宅取得等資金の贈与の特例
  • 結婚、子育て資金贈与に関する特例

それぞれの非課税枠を超えて贈与をすると、贈与税がかかります。
また、制度ごとの要件や資金の使用目的に合致していない場合も課税対象です。

詳しく見ていきましょう。

教育資金の一括贈与の特例

祖父母や父母などから、30歳未満の子や孫に対して教育資金を一括で贈与する場合に、最大1500万円まで贈与税が非課税となる制度です(学校以外の教育費は最大500万円まで)。

主な要件は以下の通りです。

  • 受贈者が30歳未満である
  • 信託銀行等との契約を通じて資金管理を行う(信託型が一般的)
  • 教育資金の使い道について、領収書等で支出証明が必要
  • 使い切らずに30歳を超えると、残額に贈与税が課税される

1500万円を超えた部分には、贈与税がかかります。
また、資金の使い道が限られており、対象外のものに使用した場合は贈与税の課税対象です。
制度の利用には信託銀行などと契約をし、金融機関を通じて領収書等を提出する必要があります。
現行では、制度の適用は2026年3月31日までとされています。

住宅取得等資金の贈与の特例

父母や祖父母から住宅の取得・増改築のための資金を贈与された場合、一定額まで贈与税が非課税になります。

  • 省エネ等の認定住宅:最大1000万円まで非課税
  • 一般住宅:最大500万円まで非課税

※住宅の性能と契約締結日によって異なるため、最新情報に注意が必要です。

また、受贈者の要件は以下の通りです。

  • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等に使用すること

制度の利用には、確定申告で贈与税の申告が必要なことに注意しましょう。
申告しなければ非課税対象でも適用されません。
また、住宅ローン控除と併用できますが、控除額に影響が出る可能性があるため、よく確認しましょう。

結婚・子育て資金に関する特例

結婚、出産、育児に必要な資金を祖父母や両親から一括贈与された場合に、最大1000万円まで非課税になる制度です。

利用の主な要件は以下の通りです。

  • 受贈者は18歳以上50歳未満
  • 資金は信託銀行などの金融機関に預け入れて管理する
  • 非課税となる使い道には結婚式費用、引越し費用、不妊治療、出産費、保育料等が含まれる
  • 使途証明として領収書の提出が必要

50歳までに使い切らなかった分については、贈与税が課税されます。
また、相続発生時に残額があると、相続財産として扱われる可能性があります。
教育資金贈与と同様に、制度の利用期限があります。

※令和7年度税制改正により、2027年3月31日まで延長されることが決まりました。
出典:こども家庭庁

子ども名義の口座で贈与がバレるのはなぜ?

子ども名義の口座で贈与がバレるのはなぜでしょうか。
ここでは、贈与が発覚するタイミングについて解説します。

税務調査のとき

税務署は預金の動きを把握するために、口座を調査する権利を持っています。
そのため税務調査などで調べられたときに、預金の動きをみてバレることがあります。

税務調査が来るのは、事業主だけに限らず確定申告が必要な人全員が対象です。
不審な資金移動があれば贈与を指摘される可能性があるでしょう。

入出金記録からバレる

親や親族が亡くなった際の相続財産の調査で、入出金の記録を調べられることがあります。
その際、定期的に特定の口座へ資金が移動している記録があれば、贈与の事実がバレることになります。

相続手続きで贈与が発覚すると、贈与税が課税されることや、相続財産に組み込まれて相続税の対象となる可能性があります。

子ども名義の口座に贈与するときのコツ

子ども名義の口座を使って贈与を行う場合、贈与であることを明確にすることが重要です。
ここでは、贈与を行う際のコツを解説します。

贈与契約書を作る

贈与を行う場合、贈与契約書を残しておきましょう。
口約束ではどうしても認識の違いや、「言った」「言わない」の問題になりやすいです。
贈与する側とされる側、双方のトラブルを防ぐためにも契約書は有効な手段です。
相続などで資金の動きに疑問を持たれたとしても、契約書があれば明確な証拠として提示できます。

また、定期贈与とみなされないためにも契約書の存在が重要です。
たとえば10年間、毎年1月1日に100万円贈与する、と決めていると定期贈与とみなされ、合計1000万円に対して贈与税が課税されることになります。
回避するためには、贈与をする度に契約書を作成することが一つの方法です。

毎年贈与をする日や金額を変えることも有効です。
その上で毎回、贈与契約書を作成すれば定期贈与とみられる可能性はより低くなります。

子どもに贈与であることを認識させる

子ども名義の口座の存在を子どもに伝え、贈与であることを認識させることも大切です。

贈与は一方が無償で財産を与える意思を示し、相手側がこれを受諾することで成り立つものです。
子どもが贈与だと認識していなければ、それは子どもの資金とはみなされません
たとえば親が亡くなった際に、子どもが認識していない子ども名義の口座は親の財産と判断され、相続税の対象になります。

また、受け取る側が贈与だと認識していない状態で一方的に資金を提供すると、贈与税の支払いを忘れることや、その必要性を認識できていない可能性もあります。
後々、税務署の調査で発覚すれば贈与税に加え、ペナルティとして加算税が課されることになります。

子どもに口座を管理させる

口座名義と実際の管理者が異なるものを、名義預金と言います。
名義預金とみなされると、贈与税の課税対象となります。

名義預金と判断されないためには、口座を子ども自身に管理させることが重要です。
通帳や印鑑を渡し、使い道も子どもが自由に決められる環境を整えることも大切です。

子ども名義の口座に贈与するときの注意点


子ども名義の口座を使って資金の積み立てや贈与をする場合、贈与税以外にも気を付けなければならない点があります。
ここでは子ども名義の口座を利用する場合の注意点を解説します。

成人した子どもの口座

未成年の子どもの口座は、法定代理人である親が代わりに管理をすることができます。
しかし子どもが成人すると、原則本人しか管理をすることはできません。

もし親が管理をする場合は、子どもの委任状が必要になることに注意が必要です。
子ども名義の口座で教育資金を貯めている場合、子ども自身に支払いをさせる、もしくは成人前に親の口座へ移動させましょう。

休眠口座になる可能性

銀行口座は10年以上取引がない場合、休眠口座として扱われます。
子どもが小さい頃に口座を作り、ある程度積み立てをした後そのまま放置していた場合など、知らない間に休眠口座になっている可能性があります。

休眠口座から資金を引き出すことは可能ですが、金融機関で手続きが必要になる場合がほとんどです。
手間と時間がかかるため、日ごろから入出金などをして口座を動かしておくといいでしょう。

まとめ

形だけの子ども名義の口座は、相続時や税務調査で問題になる可能性があります。

また、贈与や相続は、お互いの認識のズレがトラブルの元になることもあるでしょう。
子ども名義の口座で贈与を行う際は、非課税制度などをうまく利用しながら、不安があれば専門家に相談することをおすすめします。

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