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最終更新日:2025/9/18

不在者財産管理人を選任する費用はいくら?予納金や誰が払うのかを解説

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 不在者財産管理人の選任費用について
  • 予納金の概要
  • 不在者財産管理人の申立ての流れ

不在者財産管理人の選任を申し立てる場合、ある程度の費用が必要です。
「全体でどの程度の費用が必要かわからない」「予納金が高額になったらどうすればいいか」このように不安を持っている人も少なくないでしょう。

予納金が高額になる場合、申請を取り下げることも可能です。
ただし、安易な取り下げにはリスクもあるため、注意が必要です。
今回は不在者財産管理人の選任にかかる費用の内訳や、予納金に関する注意点、申立ての方法まで詳しく解説します。

不在者財産管理人を選任する費用

不在者財産管理人の選任に必要な費用は、主に以下のとおりです。

  • 申立て手続きの費用
  • 専門家が就任した場合の報酬
  • 予納金

一つずつ見ていきましょう。

申立て手続きの費用

不在者財産管理人の申立て費用は、以下のとおりです。

  • 収入印紙800円分
  • 郵送切手代
  • その他

申立ての手数料は、収入印紙で納めます。
また、裁判所とのやり取りで切手代1000円~2000円程度が必要です。
その他に戸籍謄本や住民票など、必要書類の取得費用として数百円~数千円がかかります。

参考:「不在者財産管理人選任」(裁判所)

専門家が就任した場合の報酬

不在者財産管理人は専門知識が必要なため、弁護士などの専門家が選任される場合が多いです。
専門家が就任した場合は報酬が必要で、月額1~5万円程度が相場とされています。
実際の報酬額は、財産の量や管理内容に応じて異なります。

報酬は基本的に不在者の財産から支払われます

予納金が必要な場合

予納金とは、家庭裁判所が不在者財産管理人を選任する際、職務を適切に行えるように前もって預ける金銭のことです。

報酬は基本的に不在者の財産から報酬が支払われますが、財産が足りない場合には、申立人が予納金として納める必要があります。

予納金の額は、対象となる財産の総額や内容、管理期間の長さなどによって家庭裁判所が判断します。
一般的には、20万円~100万円程度を求められることが多いでしょう。

予納金が高額な場合に取り下げられる?

予納金がいくら必要なのかは、実際に申請してからでないとわかりません。
ここでは、予納金が高額になった場合に申請を取り下げることが可能か、また取り下げたときにどのようなリスクがあるのかを解説します。

予納金が高額な場合は取り下げが可能

不在者財産管理人の選任を申し立てたものの、裁判所からの高額な予納金の通知に驚いたという人もいるでしょう。
予納金が高額で支払えない場合は、不在者財産管理人の申立てを取り下げることができます

ただし申請を取り下げた場合、それまでにかかった費用が戻ってくることはありません。
また、予納金を支払った後に取り下げた場合、原則として予納金が返還されることもありません

取り下げによって考えられるリスク

不在者財産管理人の申請を取り下げた場合、様々なリスクが潜んでいます。
特に、相続の手続きや税金の申告など、期限のあるものに影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

ここでは、考えられる3つのリスクについて解説します。

相続税納付期限に間に合わない

相続税の申告・納付には、原則として相続開始を知った日の翌日から10カ月以内という期限があります。

相続手続きを進めるために不在者財産管理人の申立てを行った場合、申立てを取り下げてしまうと遺産分割協議が行えず、相続税の申告に間に合わないおそれがあります。

申告期限に間に合ない場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課されるリスクがあります。
また、相続税の軽減措置なども利用できなくなるケースがあるため、経済的損失にもつながりかねません。

相続手続きが複雑になる

申立てを取り下げることで相続人が揃わない状態が続くと、相続手続きの遅れにつながり、様々な問題を引き起こすことが考えられます。

現代では相続人の高齢化が進んでいるため、手続きができない間に相続人の死亡や認知症を発症するリスクが高まる恐れがあります。

たとえば、相続人が亡くなれば、相続人の子どもが代襲相続することになります。
遺産分割協議の当事者が増え、代襲相続人との調整も必要になります。
もし代襲相続人たちと疎遠で連絡が取れない場合や協議に非協力的であれば、手続きがさらに難航します。
結果として、当初よりもはるかに複雑で手続きに時間がかかるリスクが高まります。

相続財産の責任を負う

相続手続き中は、相続財産を相続人全員で共有した状態となり、全員が責任を負う立場にあります。

たとえば、相続財産に老朽化した空き家が含まれていた場合を考えてみましょう。
空き家が放置され続けた結果、台風や地震などで倒壊し、通行人や近隣住民に被害を及ぼした場合、相続人全員が法的責任を問われる可能性があります。

不在者財産管理人を選任しておけば、相続をスムーズに進め、財産の管理責任を適切に行うことができるようになり、事故や損害賠償のリスクを防ぐことができます。

不在者財産管理人の申し立て

不在者財産管理人の申立てを、どのように行うのかすぐにイメージできる人は多くありません。
ここでは、不在者財産管理人の申立ての流れや申立てができる人、必要書類などをわかりやすく解説します。

  • 申立ての流れ
  • 申立てができる人
  • 必要書類

申立ての流れ

不在者財産管理人の申立ての流れは、以下のとおりです。

  • 申立先の家庭裁判所の確認
  • 必要書類の収集・提出
  • 家庭裁判所の調査、審査
  • 不在者財産管理人の審判

申立先の裁判所は、不在者の住居地や居住地を管轄する裁判所です。

不在者財産管理人の選任は、申立てから就任まで、数カ月~半年ほどかかります。
また、遺産分割協議に参加できるようにするには、権限外行為許可を得る必要があり、さらに時間がかかります。
実際に協議が行えるのは、申し立てから8~9カ月ほど期間が必要であることに注意しましょう。

申立てができる人

不在者財産管理人の申立ては誰でもできるものではなく、利害関係人に限られます。
たとえば、相続人や、不在者と共有財産を持っている人、債権者、検察官などです。

不在者との関係を証明する資料を付け加えて申請する必要があります。

必要書類

不在者財産管理人の申立てに関する主な必要書類は以下のとおりです。

  • 申立書
  • 申立人の戸籍謄本
  • 不在者の戸籍謄本・住民票(除票)
  • 不在であることを証明する資料
  • 財産目録(不在者が所有している財産の一覧)
  • 利害関係を示す資料(相続関係を示す戸籍謄本、共有関係の登記事項証明など)

申立書は、必ず裁判所で取得した様式のものを使用します。
不在者が不在であることの証明も必要です。
ただ単にしばらく連絡が取れない、連絡先や住所を知らない、というだけでは申請はできません。
郵便の不在届や捜索願などの客観的な証拠を準備しましょう。

まとめ

不在者財産管理人の申立ては、相続手続きや財産の管理・保全に役立つ制度です。

専門家の報酬や予納金がどの程度の金額になるのかは、不在者の財産や状況により異なります。
相場を理解した上で、申立てを検討しましょう。
また、予納金が高額になった場合は、リスクをしっかり理解した上で、申請取り下げも検討してみましょう。

不在者財産管理人の申立ては、裁判所を通した難しい手続きです。
不安な場合は、早めに弁護士などの専門家に相談しましょう。

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