メニュー

閉じる
無料相談0120-211-084
メール

最終更新日:2022/12/15

遺産相続の手順VOL5 財産や相続人が少なくても安心できない!相続でもめやすい遺産金額と相続人数とは

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

遺産と相続人数が多ければ多いほど、遺産相続でもめそうなイメージをお持ちの方は多いと思われます。

実際、ドラマなどでは、莫大な遺産を巡って相続人たちが争うという場面をみたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

ところが、現実には財産や相続人が少なくても紛争が起こってしまうことはあります。

今回は、相続でもめやすい遺産金額と相続人数についてご紹介します。

比較的少額の相続財産でももめる

平成29年度の司法統計によれば、遺産分割事件のうち認容・調停が成立した件数について、全体では7,520件です。

相続財産の金額別にみてみると、遺産総額が5,000万円以下の場合が多いのです。

遺産総額が5,000万円以下のケースは5,679件であり、実に全体の75パーセントを占めています.遺産総額が1,000万円と、極端に金額が多いというわけではない場合でも、2,413件について紛争が起こり、認容・調停が成立していることがわかります。

もめやすい条件には傾向がある

では、具体的にどのような条件であれば遺産相続でもめてしまいやすいのでしょうか。

簡単にまとめてご紹介します。

もめやすい相続の条件

遺産総額5,000万円以下

遺産総額が5,000万円以下のケースです。

むしろ少ないからこそ、誰がどの遺産を引き継ぐかで大変もめてしまうことがあります

遺産総額が5,000万円以下のケースで、なおかつ分割しにくい資産であると、途端に遺産分割は難しいものとなるでしょう。

たとえば、主な資産が自宅と土地、ほんの少しの預金くらいしかなかったとします。

自宅と土地でほとんど5,000万円近くになります。

遺産分割をしようと思えば、その物件を売却し、売却したお金を等分するという形をとることになると思われます。

ただし、売りたくない、住みたいという人が相続人の中にいるのなら、なかなか売るということもできません。

相続できる人が、できない人に補償金を払って家をもらうということもできますが、まとまったお金があるという人は多くないのではないでしょうか。

お金持ちの家庭ではない人

そもそも財産をたくさん持っている人は、残された親族が争う様子を予測できます。

そこで、あらかじめ相続対策をして、残された人がもめないように対策を打つことがあります。

冒頭でご紹介した司法統計では、5,000万円~1億円以下の相続で調停や審判を受けた件数は897件でした。

代々遺産を多く引き継いでいる人は、相続の怖さも知っているので、相続争いのリスクをあらかじめ回避しているのだろうと考えられます。

もちろん、全体的にそもそも高額な相続財産を持っている人が少ないかもしれないという点は、考えておく必要はあります。

遺産分割時には、普段の生活ではあまり手にしないような大金が入ってきます。

いつもの給料よりも、ずっと高い金額が一気に手元に入るかもしれないチャンスなのです。

お金持ちではない、いわゆるごく普通の一般市民だからこそ、遺産分割協議時に私利私欲が出てしまい、もめてしまう可能性は十分にあります

相続人の人数が少なくても気が抜けない

相続人の人数が二人や三人であっても、遺産分割協議時にもめてしまうことはあり得ます。

そもそも、子どもの数が減っていますので、今のご時世で7、8人も相続人がいるケースというのは、レアなケースかもしれません

相続人同士の仲が良くてももめる

相続人同士の仲が良いのだから、もめるはずないという考え方もあります。

もちろん、もとから仲が悪く、相続をきっかけにもめてしまうというのはあり得ることですし、理解しやすいパターンです。

一方で、「仲が良いからきっと譲り合うだろう」と思っていたのに、実際に相続の場面になるともめてしまうというパターンもあるのです。

というのも、確かに昔は仲が良かったかもしれませんが、大人になりそれぞれに家族ができ、背負うものができると事情は変わってしまいます

もめると具体的にどういったことで困るのか

遺産分割協議がまとまらず、長引いてしまうと具体的にどのように困ったことになるのでしょうか。

遺産分割協議がまとまらないということは、相続税の計算ができません。

相続税は、相続が発生したときまたは相続が発生したことを知ったときから10ヵ月以内に済ませなければなりません。

もし協議が長引けば、この期限に間に合わせることは難しくなり、各種税額控除等の特典を利用することは難しくなります

さらに、遺産分割協議が長引けば、相続財産の活用もできなくなります。

相続人の周りの人間もだんだんと疲れてきてしまいます。

このようなことにならないために、相続対策が必要なのです。

まとめ

今回は、どのようなパターンで相続争いが起こるのかということをご紹介しました。

「少額だから」「相続人の数が少ないからもめるわけがないだろう」という思い込みが一番危ないのです。

実際は、相続財産の金額が比較的少額であったとしても、現実に調停や審判まで争っている人々はいます

しかも、全体の比率でみると争っている人の内訳では、むしろ遺産総額が5,000万円以下のケースが75%を占めています。

相続争いを未然に防ぐための相続対策は、相続資産が少額でも、相続人の数が少なくても必要なのです。

▼遺産相続の手順 シリーズ

テーマから記事を探す

弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所ならではの専門性

多数の相続案件の実績のノウハウで、あなたにとって一番の頼れる味方となります。
ご自身でお悩みを抱える前に、ぜひ一度お気軽にご連絡ください。親切丁寧な対応を心がけております。

当サイトを監修する専門家

弁護士 川﨑 公司

弁護士 川﨑 公司

相続問題は複雑なケースが多く、状況を慎重にお聞きし、相続人様のご要望の実現、相続人様に合ったよりよい解決法をアドバイスさせていただくようにしています。

弁護士 福西 信文

弁護士 福西 信文

相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

弁護士 水流 恭平

弁護士 水流 恭平

民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

弁護士 山谷 千洋

弁護士 山谷 千洋

「専門性を持って社会で活躍したい」という学生時代の素朴な思いから弁護士を志望し、現在に至ります。 初心を忘れず、研鑽を積みながら、クライアントの皆様の問題に真摯に取り組む所存です。

弁護士 石木 貴治

弁護士 石木 貴治

メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。 前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

弁護士 中野 和馬

弁護士 中野 和馬

弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。 お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。 お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。