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最終更新日:2022/12/15

揉めない相続VOL46 要チェック!相続でもめた際に家庭裁判所に提出する主な書式一覧

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

相続は、一歩間違えれば「争族」と言われるように、大きなトラブルに発展し、場合によっては、人間関係に大きな溝ができてしまいます。

そうならないために、問題が生じた場合には、早めに対策を施すことが大切です。

次の項目で、相続に関する手続きをご説明いたします。

必要な書式と内容

相続放棄申述書

被相続人の財産よりも債務(借金)が大きい、色々な事情で相続したくないなど、相続財産の引継ぎを望まない相続人は、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。

ただし期限は、自分が相続人であることを知って3ヵ月以内です。

この期限を過ぎると、相続を了承したことになり、たとえ被相続人が残した借金であっても、返済の義務があります。

相続放棄取消しの申述書

相続人が未成年者で、法定代理人の同意を得ないで相続放棄をした場合、あるいは詐欺や強迫によって相続放棄をした場合に、その相続放棄を取り消す手続きです。

家庭裁判所に「相続放棄取消しの申述書」を提出して手続きを行いますが、追認できる時から6ヵ月以内に手続きを行わないと、取消権が時効によって消滅します

相続の承認(放棄)の期間延長の申立書

相続放棄の期限は、自分が相続人であることを知って3ヵ月以内です。

しかし、相続財産を十分把握できていないなど、相続するか放棄するか決めかねる場合には、期間の延長を申し立てることができます。

ただし、この手続きも相続人であることを知って3ヵ月以内が期限です。

限定承認の申述書

限定承認とは、プラスの財産の範囲でマイナスの財産を受け継ぐことです。

つまり、借金だけしか残らない場合は不足分を支払う必要はなく、借金を支払って余りが出た場合は余った財産を受け継ぐことができます。

相続開始から3ヵ月以内に、家庭裁判所に「限定承認の申述書」を提出しますが、相続人全員の同意が必要です。

遺産分割の調停の申立書

相続人の遺産分割の話し合い(協議)がまとまらない場合、あるは何らかの理由で協議ができない場合に、家庭裁判所に話し合いの延長を申し立てる場合に、「遺産分割の調停の申立書」を提出します。

寄与分を定める調停(審判)の申立書

相続人には、相続される最低限が保障されており、これを「寄与分」と言いますが、相続人でこの「寄与分」に関する協議が調わない時に、家庭裁判所に「寄与分を定める調停(審判)の申立書」を提出します。

相続財産保存命令の申立書

相続人が、相続財産の承認、あるいは放棄の手続きを行うまで、相続財産の保存のために必要な処分を家庭裁判所にとってもらいたい時、「相続財産保存命令の申立書」を提出します。

相続財産管理人選任の申立書

相続人が不明の場合でも、被相続人を清算する必要があります。

借金を清算したり、特別縁故者がいる場合は、財産を贈与したり、それでも相続財産が残った場合は、国庫に納めたりします。

そのためには、手続きをする人、相続財産管理人が必要です。

相続財産の受遺者、債権者などの利害関係人や検察官が、家庭裁判所に「相続財産管理人選任の申立書」を提出します。

祭祀承継者指定の申立書

仏壇、祭具等を受け継ぐ「祭祀継承者」について、被相続人が指定していない時、また誰が引き継ぐかの慣習がない時には、家庭裁判所に「祭祀承継者指定の申立書」を提出します。

家庭裁判所は、調停や審判で、「祭祀継承者」を決めることができます。

特別縁故者の相続財産分与申立書

被相続人に相続人がいない場合で、被相続人と生前に特別な縁故がある人が、相続財産の分与を求めることができます。

この場合、家庭裁判所に「特別縁故者の相続財産分与申立書」を提出します。

遺言の検認の申立書

被相続人が作成した「自筆証書遺言」があった場合で、被相続人が亡くなったとしても、たとえ相続人でも勝手に開封してはいけません。

もし勝手に開封すれば、5万円以下の過料が科され、相続人の資格を失う場合もあります

「自筆証書遺言」は、家庭裁判所で、全員の相続人の立ち合いの下、開封しなければなりません。

これを「検認」と言い、家庭裁判所に「遺言の検認の申立書」を提出します。

遺言の確認の申立書

被相続人が危篤の際に、遺言を残した場合、それが被相続人の真意に基づくものかを確認することができます。

そのためには、家庭裁判所に「遺言の確認の申立書」を提出します。

遺留分放棄許可審判の申立書

相続人が、相続の確認前に遺留分の放棄をする場合、家庭裁判所に「遺留分放棄許可審判の申立書」を提出します。

遺言執行者選任の申立書

遺言書で遺言執行人を指定していなかった場合、あるいは遺言執行人が辞退した場合に、家庭裁判所に「遺言執行者選任の申立書」を提出します。

遺言取消しの申立書

被相続人の遺言書によって、負担付贈与を受けた人が、負担した義務を実行しない場合などに、相続人が家庭裁判所に「遺言取消しの申立書」を提出します。

鑑定人選任の申立書

骨とう品などの鑑定が必要な時、相続人、相続財産管理人、利害関係人が家庭裁判所に「鑑定人選任の申立書」を提出します。

相続財産分離の申立書

相続財産を分配するなどの目的で、相続財産の一部を分離したい時に、相続債権者、受遺者が家庭裁判所に「相続財産分離の申立書」を提出します。

まとめ

以上のように、相続の際に起こるトラブルに関して、さまざまな手続きが準備されています。

トラブルが大きくなる前に、家庭裁判所や弁護士などに相談して、早めに対策を講じましょう。

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