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最終更新日:2022/12/16

遺産相続の手順VOL4 遺産分割3つの方法!不公平にならない分け方を考えよう!

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

遺産には分割しにくいものや、無理に分割すると使いにくくなったり、価値を下げてしまうものもあります。

かと言って分割しづらいことを理由に相続財産をそのままの状態で共有にしておくと、財産処分が難しくなったり、相続人同士での争いの原因となる可能性もあります。

また、注意しなければならないのが、相続人が相続の開始前から関わっている財産を分ける場合です。

そこで遺産分割をなるべくスムーズにさせ、不公平になりにくい分け方について、メリット・デメリットもあわせて解説していきます。

遺産分割3つの方法

相続財産は何も分割していない状態の場合、相続人全員による共有となります。

共有の状態では、その財産を売却したり、特定の相続人名義にしようとする場合には相続人全員の同意が必要です。

財産について利用したり、相続人の一部の人が処分したいと考えていても、常に全員の同意が必要になる共有財産はトラブルの原因にもなりかねません。

そのような状況を防ぐには、遺産分割をおこない、相続財産が個々の相続人にとって利用しやすいようにすることが大切です。

遺産分割の対象となる財産が現金や上場株式などの場合はすぐに平等に分けることができますが、中にはそのような分割に適さないものもあります。

例えば、複数いる相続人の一部の人が住み続けている被相続人の自宅不動産や相続人が被相続人とともに働いて大きくしてきた会社の持ち株などは、そのような財産に関わりのない人に相続させるとトラブルの元にもなる可能性があります。

そこで分割しやすい財産だけでなく、分割しづらい財産も含めた遺産分割の方法があります。

それがこれからご紹介する「現物分割」「換価分割」「代償分割」の3つの方法です。

これらの方法にはメリット・デメリットの両方がありますので、相続人の要望や相続財産の内容などに応じて使い分ける必要があります。

以下に順を追ってご紹介していきましょう。

現物分割

現物分割とは、相続財産の形を変えることなく、そのままの状態で相続人の間で平等に分割する方法です

例えば、長男が土地一筆1,000万円相当、次男は預金の1,000万円、三男は上場株式1,000万円相当を相続するという方法です。

現物分割のメリットは、非常に単純明快でわかりやすく、相続の手続きも比較的スムーズな点です。

また、それぞれの相続人の単独所有となるため、自由にその全てを利用したり、売却処分や賃貸などにまわすといったことが可能であり、揉める原因になりにくいという点も挙げられます。

反対にデメリットとしては、分割したがために財産の価値が損なわれる場合があることです。

例えば、土地を無理に分けたためにその一部の間口が狭くなったり、容積率や建ぺい率といった建築要件に適さない土地になるリスクです。

そのような土地が分割後にできてしまうとトラブルの原因になる可能性があります。

換価分割

換価分割とは、相続財産を売却して現金に換えるなど、財産の形を変えて相続人の間で分割する方法です

例えば、先ほどの土地の分割の例に戻ると、分割によって土地の価値そのものが下がる恐れのある財産の場合はいったん売却して現金にすることで分割しやすい財産にすれば経済的価値を相続人の間で最大限に受けられます。

換価分割のメリットは、金銭などのわかりやすい財産に換えることで、公平な分割が可能となり、遺産の評価などにおいてトラブルを回避しやすくなることです。

金銭で分けることにすれば、たとえ相続人どうしの関係が険悪で意思疎通が難しかったり、互いに連絡がとりづらい間柄でも禍根を残さずに相続できます。

デメリットとしては、共有名義のまま売却処分などをおこなうために手続きが非常に煩雑になり、時間もかかる可能性がある点です。

特に不動産などの場合にはすぐに買い手が見つかるとは限らず、なかなか処分が進まないという状況も考えられます。

また、売却時には手数料が発生するものもありますし、処分時の評価が低くて財産価値を大きく毀損する可能性もあります。

さらに、相続財産が被相続人の思い出のつまった持ち家などでその家に家族など相続人の一部の人が居住していた場合、そのままの形で利用できず、手放さなければなりません。

代償分割

代償分割とは、相続人の1人が全ての財産を取得する代わりとして、他の相続人にはそれぞれの相続分に応じた金銭(代償金)を支払うという方法です

例えば、長男が市場価格で3,000万円相当の土地を相続し、次男と三男にはそれぞれ現金を1,000万円づつ渡すといった方法となります。

また、代償分割の方法を選択することが考えられる場合、被相続人の存命中に保険商品などによって、代償金を確保しておくことも大切になってきます。

このような保険では被相続人を契約者とし、受取人を子供などの相続人として、被相続人の死亡時に支払われるようにすることができます。

この場合、相続人が受け取る死亡保険金は、「500万円×法定相続人の数」まで非課税となります。

また、相続財産の大半が土地などの不動産で現金が無い場合には代償分割をして、不動産を受け取らない相続人への代償金の準備としておくことが可能です。

代償分割のメリットとしては、相続財産を1人の相続人がそのまま相続できるために財産価値を毀損するリスクがないことです。

また、相続財産に興味がない場合や利用価値がないと考えている相続人にとっては、代わりにその評価額に相当する分の代償金をもらうほうがメリットを感じることができます。

反対に相続財産をどうしても欲しい相続人はそのままの形で相続することができ、特に分割に適さない不動産や非上場株式などの場合には都合がよくなります。

また、不動産などの財産を分筆するなどの手続きの手間もなく、専門家などによる評価なども不要で余分な費用がかかりません。

反対にデメリットとしては、相続財産を取得する相続人に代償金を他の相続人に拠出するだけの支払能力が必要な点です。

他の相続人が相続すべき評価額に相当する代償金を支払うことができなければ、トラブルになりますし、相続手続きが完了しないことにもなりかねません。

また、相続財産の評価が低いと不満を持ち、より高い評価があればそれだけ多くの代償金が手にできると考える相続人がいれば、話がまとまらずに争いの元になる可能性があります。

そのような状況が続けば、結局は時間だけがかかり、挙げ句の果てに売却処分して現金化して分割するという換価分割と同じ手続きになることもあります。

まとめ

今回は遺産分割の方法として、現物分割、換価分割、代償分割の3種類の方法についてご紹介してきました。

どの方法が最も適切であるかについては、相続財産の特徴や各相続人の希望などについてよく話し合って納得できる方法を選ぶことが大切です。

また、財産の分割は普段あまり接する機会のない者どうしで協議される場合もあり、争いの火種にもなりかねません。

相続の手続きは相続税の申告と納付の期限などを考えるとあまり時間はかけられないことも念頭において進める必要もあります。

もし、トラブルになったり、どの方法がいいのか不明な場合には相続の専門家に依頼して早い段階から間に入ってもらうと安心です。

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