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「相続で争うのは資産が多い家だけ。うちは普通だから関係ない」と思っていませんか。
実は、相続で争ってしまうケースにおいて、遺産の多い・少ないということよりも、むしろ分け方のほうに問題が見られることがあります。
今回は、遺産分割協議の進め方と、万が一もめてしまった時の法的対処法についてご紹介します。
遺産分割協議の進め方
遺産分割協議とは
遺産分割協議は、相続財産のうち誰が何を相続するか決めるための話し合いのことを言います。
例えば、子どものうち、兄が家と土地を、弟が預金を相続する、などというように決めます。
遺産分割協議は、相続人すべてがそろっていなければなりません。
例えば、被相続人(亡くなった方)に、他の親族に知られていない子がいたとします。
誰も連絡を取ったことがないし、そもそも親とも住んでいないのだし、遺産分割協議にも呼ばなくていいだろうと思ってしまうかもしれません。
遺産分割協議をするには、相続人が欠けてはいけませんから、どんなに長い間連絡をしてこなかったとしても、協議に呼びたくないような人だったとしても遺産分割協議に参加してもらわなくてはいけません。
ちなみに、相続人を欠いた遺産分割協議は無効です。
せっかく時間を取って協議をしたとしても、無効となり、改めて協議をやり直すことになりますので、ご注意ください。
遺言書があるときはどうなるのか
遺言書があるときで、遺言書のとおりの遺産分割をする場合、遺産分割協議は不要です。
遺言書で分割方法を指定し、その通りに分割をすることを指定分割と言います。
遺言と異なる内容の遺産分割は可能
遺言通りの遺産分割ではなく、異なる内容で分割したいということもあるでしょう。
この場合、相続人が遺産分割協議をします。
遺言は、被相続人から相続人への一方的な行為です。
相続人が一致して遺言どおりの分け方をしたくないのであれば、遺言の内容に従う必要はありません。
遺言と異なる内容で遺産分割協議をまとめることができます。
相続でもめてしまったときの法的対処法
家庭裁判所で調停か審判を行う
遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所で調停や審判による分割をすることになります。
家庭裁判所は、裁判所の一種ですが、主に家庭に関する事件(家事事件)を取り扱います。
調停や審判は、裁判とは似ていますが異なる手続きです。
どのように違うのか、具体的にご説明します。
調停とは
調停とは、裁判所の調停機関が間に入った話し合いにより、問題解決を図る制度です。
調停委員が申立人と相手方との間に入り、話し合いを進めます。
通常、テーブルを囲んで、調停委員が間に入りつつ、申立人と相手方が交渉をすすめていきます。
しかし、直接当事者同士が顔を合わせずに話し合いを進めることも可能です。
調停員は、申立人と相手方のそれぞれを別々に調停室に呼び、話を聞き、遺産分割の条件をまとめます。
申立人も相手方も、自由に意見を述べることが可能です。
申立人と相手方が合意に至ると、その内容を記載した調停調書を作成します。
調停調書には、確定判決と同様の効果がありますので、強制執行を申し立てることも可能です。
話し合いが整わない場合は、何回か調停の日程を追加し協議します。
それでも申立人と相手方が合意できなかった場合は、調停は不成立となり、審判という次のステップに進みます。
審判とは
調停でも交渉が決裂してしまった場合は、裁判官が法定相続分に基づく遺産分割を審判(家事審判)として下します。
審判とは、裁判の一種であり、申立人や相手方の意見ではなく、自由心証主義に基づき裁判所が判断を行います。
調停では当事者の意見が反映されて話し合いが進められますが、審判では裁判所が当事者の意思に拘束されずに審判をします。
法定相続分通りの分割ですので、かえって不便なことになったり、争いのもとになったりすることもあります。
ともあれ、審判が下ってしまえば遺産分割は終了します。
また、分割できない財産は共有名義となります。
遺産分割は終わっても、今度は共有不動産の分割訴訟や、均等に分けるとかえって不都合が起こってしまう資産についての訴訟などが起こる可能性が残ります。
まとめ
今回は、もめない遺産相続のポイントとして、遺産分割協議とは何か、万が一調停がまとまらなかったらどうすれば良いかという点を紹介しました。
できるだけ争いなく、遺産分割協議が終わるといいですね。
また、万が一、協議が整わない場合でも、調停や審判という手続きを経れば、遺産分割協議を終えることができます。
相続争いは、誰もが巻き込まれる可能性があります。
事前に打てる対策や心づもりはあらかじめしておきましょう。
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