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最終更新日:2022/12/14

遺産相続の手順VOL18 これで完ぺき!もめない遺言作成のための3つのポイント

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

遺産の相続で揉める原因にはさまざまなものがあり、その中には遺言内容が起因している場合があります。

残された人達が相続で揉めないためにも、遺言の作成には注意すべき重要なポイントが3つあります。

その内容についてご紹介するとともに、遺言作成のための具体的な方法についても触れていきます。

遺言作成のポイントその1:遺留分を侵害しない内容にすること

遺言が相続人間で揉める原因の一つとして挙げられるのが、遺留分を侵害する内容になっていることです。

遺留分とは、相続人が最低限相続できるものとされている財産の額のことです。

もし、遺留分の範囲を超えて相続がおこなわれた場合、遺留分を侵害された他の相続人は遺留分侵害額請求権(旧:遺留分減殺請求権)によってその侵害された分を取り戻すことができます。

遺留分侵害額請求を受けた側の相続人はその請求に応じる義務があります。

もし、すでに相続が完了していて相続人が名義変更などの手続きを済ませている場合、その全員に対して遺留分に相当する金銭や不動産、動産などに限って取り戻すことができます。

遺言の内容が例えば、3人の兄弟のうちの長男Aに全財産の大半を相続させるような内容だったケースで、他の兄弟が当然何かしらの財産をもらえるものとあてにしているような場合には、兄弟間で揉めることになるのは目に見えています。

被相続人から見て、遺留分に相当するような財産をあてにするような相続人がいれば、細心の注意を払って、その者の遺留分を侵害しないような内容の遺言書を作成する必要があるでしょう。

遺言作成のポイントその2:個々の相続人の生活や要望に沿った内容にすること

相続人はそれぞれ異なった生活スタイルや価値観で生活しています。

相続人の個々の生活環境に合った財産を相続してもらうような内容にしないと、揉める原因となりかねません

相続した方が不要なものを押しつけられたり、本当に欲しいとおもっていたものが他の相続人にいってしまったという事態になれば相続人どうしで禍根を残すこともあります

特に相続人が多大な協力をしたり、努力した結果として得られた財産が他の相続人の元にいってしまうと揉める可能性は高くなるでしょう。

また、長年住んでいて愛着のある自宅の不動産などが普段全く付き合いのない相続人に渡ってしまうようなケースも揉める要素になるかもしれません。

遺言の内容は相続人全員にオープンにされるため、できる範囲で相続人の要望に応えるような内容の遺言書を用意しておくことが相続で揉めないポイントの一つとなるでしょう。

遺言作成のポイントその3:遺言内容をオープンにしておくこと

遺言の内容は相続人全員がわかるようにその内容を全員の目にさらし、内容についてよく知らせておくことが重要です

もし、遺言の内容を知らせていないと、知らされなかった相続人は疑心暗鬼となり、相続の際に揉める要因になる可能性があります。

もしそうなった場合には知らせた側の相続人も他の相続人と異なる内容の遺言を知っているのではないかという疑念を抱かれることも考えられます。

さらに一部の相続人だけに遺言をしても、その相続人が遺言書を隠したり、内容を改ざんするなどのリスクがあります。

さらに相続人に内緒で遺言をした場合、その遺言書が発見されなければ意味がありません。

しかも、遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合、非常にややこしいことになります。

遺言書の作成方法

遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「特別方式の遺言」という4つの方式があります。

このうち、多くの遺言書は自筆証書遺言あるいは公正証書遺言となります。

公正証書遺言は公正役場の公証人によって作成される遺言状のことで、公証役場の指示に従って遺言作成が進められていきます。

基本的に作成方法について何も理解していなくても、指示とおりに進めてもらえば遺言書が作成されます。

もし、法律の専門家による公証人によって確実に遺言書の準備をしておきたい場合は費用はかかりますが、公正証書遺言による遺言書作成がおすすめです。

ここでは、もう一つの方法である自筆証書遺言の作成方法について、以下に順を追って大切なポイントについてご紹介していきます。

自筆証書遺言は、公正証書遺言と異なり費用はかかりませんし、何よりいつでも自由に自分の都合で作成することができて便利です。

しかしその反面、守るべき書式や作成方法についての厳密なルールがあり、作成方法を間違えれば、遺言自体が無効になる可能性がありますので注意しましょう。

ここでは、一般的な自筆証書遺言作成の際の注意すべきポイントについてご紹介していきます。

全文を自筆で作成する

自筆証書遺言という名称のとおり、全文を自筆で書くことが有効とされる条件になりますので注意しましょう

自筆よりもきれいに書けるからという理由でパソコンを使って作成すると無効になります。

また、点字で書かれたものやコピーも無効となってしまいますので注意しましょう。

ただし、自筆の遺言書をカーボン紙で複写したものは筆跡確認できるので有効です。

氏名と具体的な日付を記載する

基本的に自分の氏名を書くようにしますが、通称やペンネームでも本人であることが明らかな場合には有効です

また、自筆証書遺言には年月日について誰が見てもわかるようにはっきりと日付を付します

「2019年3月吉日」という書き方では日付の特定ができないためにせっかく用意しても無効となってしまいます。

ただし、例外として他の情報と合わせると日付が正しく類推できる場合には有効とされる場合があります。

押印(指印)しておく

自筆証書遺言には押印か指印をしておかなければなりません

押印は実印の他、認印や指印でも有効となります。

一つの遺言に1人分の遺言

遺言書はあくまで一通につき、1人分の遺言でなければ無効となってしまいます

夫婦で合わせて一つの遺言書にしたりすると無効になりますので注意しましょう。

内容が公序良俗にしない

遺言の内容は、社会通念上の妥当性を欠くといった公序良俗に反する内容にならないようにしましょう

例えば、不倫相手に財産を相続させるような内容は公序良俗に反し、無効になる可能性があります。

まとめ

今回の記事では、揉めないための遺言を作成するための重要なポイントについてご紹介してきました。

せっかく用意した遺言書が無効とならないようにするために参考にしてみてください。

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