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最終更新日:2022/12/14

遺産相続の手順VOL10 相続税対策②「生命保険」を利用して節税すると思わぬメリットが!

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

「相続対策として、生命保険を活用できる」と聞いたことがある人は多いかもしれませんが、なぜ活用できるのか、どのように活用すればいいのかということまではわからないという人は少なくないのではないでしょうか。

今回は、もめない遺産相続のために、生命保険の活用方法と節税などのメリットについてご説明します。

生命保険が相続対策になる仕組み

生命保険契約とは

保険契約は、大勢の人で保険料を公平に負担し、万が一の場合に保険金や給付金が支払われるという契約のことを言います。

生命保険と一般的に呼ばれているものは、死亡保険、生存保険、生死混合保険、養老保険の4種類に分かれます。

相続対策に使われるのは、主に死亡保険です。

死亡保険は、保険の対象者(被保険者)が死亡した時に、保険金が支払われるという契約です。

死亡保険金は相続財産に入る

被相続人が保険料を負担してきた死亡保険は、みなし相続財産に入ります。

被相続人が生きている間に支払われることはない保険金ですが、死亡すると支払われるので、ほとんど被相続人の相続財産と同じであると考えられ、相続財産に算入することになっています。

保険金が相続財産にカウントされるということは、相続税がかかるということです。

しかし、そのままの保険金について相続税がかかるのではなく、特別な非課税枠が用意されており、額面よりも安い金額で相続財産に算入することができます。

どういうことなのかご説明しましょう。

死亡保険金の非課税枠とは

死亡保険金は、みなし相続財産となりますが、非課税枠があります。

まず、死亡保険金に相続税がかかる時の前提として、保険料を負担している人(契約者)は被相続人、被保険者も被相続人であり、受取人が相続人というケースであることです。

保険の契約期間は、終身保険か定期保険です。

どちらでも構いません。

契約者が被相続人ではない場合や受取人が相続人ではない場合は、相続税ではなく所得税や住民税がかかります。

死亡保険金の非課税枠は、500万円×法定相続人の人数です。

例えば、被相続人が死亡して、5,000万円の保険金が入ったとします。

相続人は妻と子どもの合計二人だったとしましょう。

死亡保険の非課税枠を活用すると、5,000万円から、500万円×2=1,000万円を差し引くことができます。

したがって、実際に相続財産として算入するのは4,000万円です。

まず、この時点で、5,000万円を預金として相続財産に入れるのと、5,000万円の保険金を相続財産に入れるのとでは1,000万円の差があります。

死亡保険金の非課税枠を活用すれば、活用した部分については税金がかからないことになるので大変お得です。

なぜこのような制度があるのかというと、そもそも死亡保険は残された遺族の生活保障という意味合いがあるためです。

遺族の生活を保障するための保険金なので、非課税枠を作って生活保障のための部分には課税しないようにしようという意向があります。

まとまった金額が手元に残るので支払いに充てることが可能

被相続人が死亡したあとには、葬祭代金の支払いや、相続税の支払いが待っています。

特にたちまち困ってしまうのが葬祭代金です。

被相続人が死亡すると、被相続人の財産は相続人の共有物となり、勝手に使うことはできません。

被相続人の預金口座は死亡により閉鎖されてしまうので、葬祭代金などの大きい支出は相続人で分担して行うことになります。

死亡保険金があれば、葬祭代金を支払うことが可能です。

相続人としてはとても助かるでしょう。

相続財産が土地や建物といったすぐに現金化できないものが多いという場合も、保険を活用することでまとまった現金を用意することができます。

生命保険を活用した相続対策の例

死亡保険金の非課税枠を活用して節税する

先にご説明した通り、死亡保険金の非課税枠を活用して節税することが可能です。

同じ金額を現金や預金で持っておくよりも、相続財産に算入したときに安くなります。

死亡保険金を葬祭代金・相続税の支払いなどに充てる

現金が必要な葬儀、相続税などの支払いに備えて保険を活用することもできます。

遺族に経済的な負担を強いる機会が減るというのは、相続される側としても安心です。

保険料を生前贈与して相続財産扱いにしない

死亡保険金の非課税枠は、保険料を被相続人が負担していて、保険の対象が被相続人であるケースにおいて使うことができます。

保険料の負担を相続人がする場合には、保険金は相続税に算入されません。

その代わり、受け取った人に住民税や所得税がかかります。

保険料を相続人が負担できなくても、保険料相当金額を生前贈与し、そこから支払うという方法もあります。

一時所得として所得税が課せられる場合の計算式は、受け取った保険金-支払った保険料-50万円です。

保険金の受取人を相続人以外にして財産の一部を継承させる

こちらは、番外編的な使い方になります。

相続税対策というよりも、もめないというところを重視した方法です。

例えば、息子の妻に長年介護をしてもらったとします。

息子は相続人ですが、息子の妻は相続人にはなりません。

死亡保険の受取人を息子の妻にしておけば、長年の苦労についてお礼をすることができます。

また、保険金は金額を指定して、指定した人に受け取らせることができます。

死亡保険の中の100万円は、長年介護で尽くしてくれた息子の妻に、ということが可能です。

生命保険で相続税対策にするメリット

下記では生命保険で相続税対策するメリットを紹介します。

保険金を早めに受け取れる

死亡保険金は書類の準備・手続きがスムーズにできれば、1週間程度で受け取り可能です。

相続財産を受け取るには、相続人で話し合って取り分を決めなければいけません。

相続人の間で話し合いが難航して、なかなか意見がまとまらず時間がかかるケースもあります。

しかし保険金の場合は、受取人が手続きをするだけで受け取りできます。

早めに財産を受け取りたい人には、保険金での受け取りがおすすめです。

トラブル回避できる

保険金は契約時に受取人を決めています。

受取人以外は保険金を受け取れないため、保険金をめぐったトラブルが起こりにくいです。

相続財産だと、相続人にそれぞれ権利があるため、自分の権利を主張してトラブルになることもあります。

また保険金は受取人の固有財産になるため、他の相続人が配分を要求できません。

節税効果だけではなく、相続人の間で余計なトラブルが起こるのを回避できます。

葬儀資金・納税資金を準備できる

相続時には相続税の支払いに加えて、葬儀の資金も必要になります。

まとまったお金が必要になるため、早期の受け取りができる保険金があると、葬儀の資金代わりに利用できます。

もし相続財産の多くが不動産だった場合は、換金まで時間がかかります。

不動産の査定をして、物件を売りに出して、買い手が見つかって振り込みされるまで手続きが必要です。

一般的に不動産の売却は3~7ヶ月かかるといわれており、買い手が見つからないともっと時間がかかります。

相続税の納税期限は相続開始から10ヶ月と決まっているため、期限までに不動産を売却できなければ、自分のポケットマネーで納税しなければいけません。

納税期限を過ぎてしまうと、余計な税金支払いも追加されていきます。

相続税支払いでお金が足りない場合でも、保険金を早期に受け取っていれば、問題なく支払いができます。

葬儀・相続税の支払いについて不安な人は、保険金を設定しておくといいでしょう。

相続で悩んだら弁護士に相談しよう

相続に不安があるなら、弁護士への相談がおすすめです。

保険を使った相続税対策も、どんな契約をして、誰を受取人にするのか?をしっかり決める必要があります。

相続税を抑えるためには、相続人の人数・他の相続財産を含めて、総合的に判断する必要があります。

相続に強い弁護士に相談すれば、いろんな要素を考えて、適切なアドバイス・判断ができるでしょう。

初回の相談を無料で受け付けている弁護士も多いので、まずは無料相談から利用しましょう。

まとめ

今回は、生命保険を使った相続税対策についてご紹介しました。

相続が起こったときに、葬祭代金がなくて困る、相続税が高すぎて困るということがないように、事前に対策をしておきましょう。

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