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最終更新日:2023/10/11

成年後見人申立の診断書とは?必要な理由・取得費用・期間を解説

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 成年後見人の申立に診断書が必要とされることがわかる
  • 成年後見人の申立を行う際に診断書が必要な理由がわかる
  • 成年後見人の申立の必要な診断書の作成にかかる費用や期間がわかる

成年後見人の申立を行う際には、医師の診断書が必要とされています。

どのような理由で医師の診断書が必要なのか、その理由を解説していきます。

また、診断書の作成は誰に依頼するといいのでしょうか。

診断書の作成にかかる費用や、必要な期間についてもあわせてご紹介していきます。

成年後見人の申立に必要な診断書とは

成年後見人の申立に使う診断書は、家庭裁判所が用意している書式があり、その書式に沿って作成してもらう必要があります。

医師に診断書の作成を依頼したら、医師は診察を行い、本人の判断能力の有無やその程度を確認していきます。

そして、診断書の項目にある「診断名」「各種検査」「回復する可能性」「判断能力についての意見」などの項目を記載していきます

単に病名や治療期間などを記載するだけではなく、判断能力についての意見に関する記述がある点に特徴があります。

成年後見人の申立に医師の診断書が必要な理由

成年後見人の制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。

いずれの場合も、本人の判断能力を判定する際には、必ず医師の作成した診断書が必要となります。

どうして医師の診断書が必要となるのか、その理由を解説していきます。

法定後見制度において本人の判断能力の程度を知るため

法定後見制度は、判断能力が低下して、自分の財産の管理や処分ができない人をサポートする人を選任してもらう制度です。

一番のポイントは、サポートを必要とする程に判断能力が低下しているかどうかです。

そこで、判断能力が低下していることを証明するために、診断書が用いられます。

法定後見制度を利用すると、その対象となった本人は、法律行為を行う際に一定の制約を受けることとなります。

もし医師の診断書が必要ないとされてしまうと、医師の診断もないままに、法定後見人が選任されてしまうことも考えられます。

法定後見人が選任されてしまうと、財産の管理ができなくなるばかりか、財産を売却されるようなことにもなりかねません。

そのような不正なことが行われないよう、そして確実に法定後見制度を運用するため、診断書が必要とされています。

法定後見制度の類型を決定するため

法定後見制度には、「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があります。

法定後見制度を利用する際には、この3つのうちどの制度を利用するのか、最終的に家庭裁判所が判断し決定します。

ただ、家庭裁判所の裁判官は、本人のことを事細かに知っているわけではありません。

またそもそも、裁判所に本人が来られないケースも多く、数少ない情報の中で判断することには限界があります。

そこで、法定後見制度の申立を行う際には、必ず医師の診断書が必要とされます。

医師の診断書に書かれている内容から、裁判官が本人に必要なサポートがどの類型に該当するのかを判断することとなります。

任意後見制度において本人の判断能力の程度を知るため

任意後見制度は、判断能力がまだ低下していない人が、自身の判断能力が低下した時に備えて後見人を選任しておく制度です。

その後、本人の判断能力が低下した時には、後見人が契約の内容に沿って、本人のサポートを行います。

この時、任意後見監督人を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。

この任意後見監督人の選任の申立を行うためには、医師の診断書が必要となります。

これは、本人の判断能力が低下したことを示し、契約に従って後見を開始する必要があることを明らかにするためです。

診断書の様式と入手方法

診断書は、家庭裁判所が指定する様式があるため、家庭裁判所のホームページからダウンロードして入手しましょう

なお、成年後見制度を申し立てる場合と任意後見監督人の選任を申し立てる場合では、書式は特に区別されていません。

診断書には、医学的診断として、診断名や初見、各種検査の結果などを記載します。

また、判断能力についての意見として、契約等を自らできるのか、あるいは支援を要するのか、医師の見解を記載します。

その判定の根拠なども、細かく記載するようになっています。

診断書は、前述したように医師に作成してもらう必要があります。

裁判所指定の医師がいるわけではなく、どのような医師でも問題はありません。

まずは、対象となる人が通っているかかりつけ医や主治医に依頼し、診断書を書いてもらうといいでしょう。

なお、診断書の様式は、2019年4月に改訂されています。

この改定により、本人の意思が尊重されるとともに、医師の判定根拠も明確になっています。

古い様式の診断書で作成することのないように注意しましょう。

成年後見人申立の診断書作成にかかる費用・期間

最後に、成年後見人の申立を行う際に必要な診断書の作成に、どれだけの費用や期間がかかるのか、確認しておきましょう。

診断書作成にかかる費用

診断書の作成にかかる費用は、その医療機関によりまちまちであり、一律で定められているものではありません。

おおむね、5,000円~10,000円の間となるケースが多くなります。

ただ、家庭裁判所の様式にあった診断書でなければならず、もう少し高い費用になる可能性もあります。

診断書作成にかかる期間

診断書作成にかかる期間は、どのような医師に依頼するかにより変わります。

かかりつけ医や主治医であれば、一般的に、依頼してすぐに診断書を作成してもらえることが多いです。

一方、かかりつけ医や主治医以外に依頼した場合は、数回の診断が必要になり、1か月程度の期間を要することが考えられます。

もし、主治医などに依頼しても作成してもらえない場合は、認知症に詳しい精神科や心療内科の医師に依頼しましょう。

まとめ

成年後見人の申立を行う際には、必ず診断書を家庭裁判所に提出しなければなりません

早めにかかりつけ医や主治医に診断書の作成が可能か確認し、作成してもらえない場合は別の医師に依頼するようにしましょう。

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