この記事でわかること
- ゴルフ会員権も財産として贈与や相続の対象になることがわかる
- ゴルフ会員権を生前贈与すると節税効果があることがわかる
- ゴルフ会員権を生前贈与する際の流れや必要書類がわかる
目次
ゴルフ会員権とは
ゴルフ会員権を取得するとゴルフ場で優先的に予約を取れたり、割安の料金でプレーしたりすることができます。
現在はゴルフ会員権がなくてもゴルフ場の予約や比較的安い金額でプレーできますが、バブル期などはゴルフ会員権がないとプレーできないようなコースも数多くありました。
そのため、以前からゴルフをしている方は、一定の年齢層を上回るとゴルフ会員権を保有している確率がグッと上がります。
また、ゴルフ会員権は相続・贈与が可能なため、バブル期などはゴルフ会員権が投資の対象となっていました。
ゴルフをプレーしない人でも会員権だけは保有しておいて、相続・贈与の節税対策として利用するケースもあります。
ゴルフ会員権の生前贈与による節税効果
ゴルフ会員権を保有している人が、そのゴルフ会員権を生前贈与した場合、現金を贈与する場合と比較して、節税にどれくらい効果があるのか、確認しておきましょう。
ゴルフ会員権の相続税評価額
生前贈与が行われた場合、財産の相続税評価額を計算しなければなりません。
相続税評価額が高いほど、発生する贈与税の額も大きくなるため、相続税評価額が低くなれば税額は少なく済みます。
ゴルフ会員権の相続税評価額の計算方法は、以下のようになっています。
(1)取引相場があるゴルフ会員権の場合
取引価格の70%相当額が、相続税評価額となります。
なお、取引価格に含まれない預託金がある場合は、その預託金の取扱いによって評価額の計算方法が変わります。
預託金が課税時期にすぐ返還される場合
取引価格×70%+返還される預託金の額
預託金が課税時期から一定期間経過後に返還される場合
取引価格×70%+返還されるまでの期間に預託金を運用して得られる金額
(2)取引相場がないゴルフ会員権の場合
取引相場がないゴルフ会員権については、そのゴルフ会員権の種類によって計算方法が異なります。
株主でなければ会員になれないゴルフ会員権の場合
ゴルフ場を経営する法人の株式の相続税評価額
株主でなければ会員になれず、預託金が必要なゴルフ会員権の場合
ゴルフ場を経営する法人の株式の相続税評価額+預託金の額
預託金を預託しなければ会員になれないゴルフ会員権の場合
預託金の額
なお「預託金の額」は、すぐに返還されるものに関しては、その預託金の額が相続税評価額となります。
返還までに時間がかかる場合は、預託金を運用して得られる金額が相続税評価額となります。
ゴルフ会員権を購入すると節税になる
ゴルフ会員権を亡くなる前に購入していた人がそのまま亡くなると、ゴルフ会員権が相続財産になります。
ゴルフ会員権の相続税評価額は、基本的に取引価格の70%となります。
たとえば、500万円のゴルフ会員権を購入した場合、その相続税評価額は350万円となります。
亡くなる前にゴルフ会員権を購入していなかった場合、500万円の現金が相続財産となります。
その結果、ゴルフ会員権を保有している場合の方が、相続税の負担が少なくなるのです。
負担付贈与による節税ができる
負担付贈与とは、贈与者が行っていた負担と、その負担の発生原因となっている財産を一緒に贈与するものです。
贈与者が行っていた負担とは多くの場合、借金の返済などの金銭的な負担を指します。
ゴルフ会員権を保有する贈与者が、そのゴルフ会員権を取得するためにローンを利用している場合、ローンの支払いが「負担」にあたります。
負担付贈与を行った場合は、財産と負担に分けて相続税評価額の計算を行います。
このうち財産にあたるゴルフ会員権の評価方法は、すでにご紹介しました。
一方、負担にあたるローンの相続税評価額は、課税時期におけるローンの残高となります。
たとえば、取引価格500万円のゴルフ会員権を全額ローンで購入し、課税時期におけるローン残高が400万円であったとします。
この場合、ゴルフ会員権の相続税評価額は500万円×70%=350万円となります。
一方、贈与者から移転した債務の相続税評価額は400万円です。
プラスの財産350万円からマイナスの財産400万円を差し引くとマイナスとなり、実質的な財産の移転はなかったものとみなされます。
この場合、財産の贈与はなかったものとされ、贈与税も発生しません。
贈与税の税額を抑えるためには、大きな効果がある方法といえます。
ゴルフ会員権の売却や手続きに注意
ゴルフ会員権を利用すると、現金を贈与するより贈与税の金額を抑えられることがわかりました。
ただ、ここで注意しなければならないのは、ゴルフ会員権の価値が本当に取引価格と同じくらいあるのか、ということです。
ゴルフ会員権を購入する際に支払った金額と同額で、ゴルフ会員権を売却できるとは限りません。
多くのケースでは購入価格より売却価格の方が低くなります。
節税のためにゴルフ会員権を購入し、贈与が終わったら売却することで、節税効果を得られると考えるかもしれません。
しかし、売却時の価格が購入価格を下回ってしまうと、結果的に手元に残る現金は少なくなってしまうでしょう。
また、ゴルフ会員権を生前贈与して名義変更する際に、ゴルフ場の運営会社に対する名義書換料が発生します。
この名義書換料が大きな負担になるケースがあります。
相続と贈与では名義書換料の額が違うゴルフ場があり、贈与の方が高くなることがあります。
そのため、贈与する場合はどれだけ負担が増えてしまうのか、確認してから行いましょう。
ゴルフ会員権は、不動産や有価証券に比べると購入希望者は多くありません。
そのため、そもそも売却したくても売却できないゴルフ会員権があります。
ゴルフ会員権を購入して節税になったとしても、それが良かったといえる結果になるのか、よく考えてから実行しましょう。
ゴルフ会員権を生前贈与する流れ・必要書類
ゴルフ会員権を生前贈与する場合、どのような流れで行うのでしょうか。
ゴルフ場によって多少の違いはありますが、ここでは一般的な手続きの流れをご紹介していきます。
ゴルフ会員権証券の確認を行う
ゴルフ会員権を贈与する前に、ゴルフ場から発行された会員権証券が手元にあることを確認しておきましょう。
もし紛失してしまった場合は、会員権証券を再発行しなければならず、この手続きに時間がかかります。
会員権証券には、ゴルフ場名・名義人の氏名・証券番号などが記載されています。
これらに誤りがないことを確認したら、記載内容をゴルフ場に連絡し、贈与の意思を伝えましょう。
名義変更の手続きを行う
生前贈与を行うと、これまで会員権証券に記載されていた人とは別の人が、新たに会員権を保有することとなります。
そこで、ゴルフ場では新たな所有者に名義変更の手続きを行います。
名義変更に必要な書類はゴルフ場で用意されているため、そこに必要事項を記載して提出します。
ここで注意しなければならないのは、ゴルフ場の会員になることができる人について、ゴルフ場で規定を設けていることです。
たとえ子どもや孫などの親族であっても、その規定をクリアできなければ名義変更が認められないことがあります。
必ず事前に、会員になれる資格を有しているか、確認してから贈与しましょう。
名義変更料(書換料)を支払う
贈与により名義変更を行った場合、その名義変更料を支払う必要があります。
ゴルフ会員権の名義変更料は、ゴルフ場によって異なりますが、大体10~100万円が相場といわれています。
年会費や追加の預託金を納める必要がある場合もありますが、一般的には名義変更料だけ納めれば手続きができます。
名義変更料を支払ったところで、名義変更の手続きが完了し、正式な証券が発行されます。
贈与に必要な書類
贈与する際に必要となる書類は、ゴルフ場で用意されています。
相続の場合は、除籍謄本や印鑑証明書などが必要になりますが、贈与の場合は特に必要になるものはありません。
ただ、ゴルフ場の中には贈与者と受贈者の関係を確認するため、必要な書類を定めている場合があります。
必ずゴルフ場に確認して、書類を準備しましょう。
まとめ
今ゴルフをしていなくても、ゴルフ会員権だけを保有している人がいるかもしれません。
ゴルフ会員権は相続・贈与の対象になるため、まずはゴルフ会員権を保有しているかどうかを把握する必要があります。
もしゴルフ会員権を保有している場合は、その利用状況や取引相場を確認しましょう。
また、ゴルフ会員権の生前贈与を行うと節税対策に有効なケースもあるため、具体的な節税効果や生前贈与の流れも併せて知っておくことが大切です。
ゴルフ会員権の生前贈与でどれくらい節税できるか詳しく知りたい方は、相続や贈与に精通している専門家に相談してみるといいでしょう。