この記事でわかること
- 遺産分割協議を弁護士に依頼するメリット
- 遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット
- 弁護士に依頼した場合にかかる費用の相場
目次
遺産分割協議を弁護士に依頼するメリット
遺産分割協議を弁護士に依頼することに、どのようなメリットがあるのでしょうか?
遺産分割協議をスムーズに進められる
遺産分割協議を弁護士に依頼するメリットとして真っ先にあげられるのは、遺産分割の話し合いがスムーズに進められることです。
遺産の分割方法を相続人だけで話し合っていても、意見が対立するだけでなかなか前に進まない場合があります。
親子や兄弟が相続人となるケースが多いため、お互いに言いたいことを言って、対立が激しくなることがあるのです。
幾度となく話し合いを重ねても、お互いに譲歩することがなければ決着することはありません。
そこで専門的な知識を持ち、第三者として発言できる弁護士の存在は、大きな意味を持ちます。
弁護士が間に入ることで、相続人どうしが冷静に話し合いを行うことができるようになるのです。
また、第三者の立場から遺産分割の提案をしてもらえるので、相続人どうしで対立したままの状況になるのを防ぐことができます。
ストレスが軽減される
遺産分割協議に弁護士が関わることで、相続人どうしが直接やり取りする必要がなくなります。
弁護士がいなければ、遺産分割をめぐる自分の考えを、ほかの相続人に直接伝える必要がありますが、これは精神的にも大きな負担となるのです。
また、相手がどのように考えているのかも弁護士に確認すればよくなります。
それによって、ほかの相続人と直接やり取りする場合より精神的な負担が少なくなり、ストレスなく話し合いを進められるのです。
遺産分割協議書の作成も依頼できる
遺産分割協議を弁護士に依頼するのであれば、遺産分割協議書の作成も弁護士に依頼することができます。
遺産分割協議書は、相続登記や名義変更などの手続きの際に不可欠な書類であり、必要事項はもれなく記載しなければなりません。
そしてもちろん、財産の詳細な内容や相続人の氏名・住所を記載する際には、誤字や脱字がないようにしなければなりません。
実際、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の印鑑をもらった後に、書類のミスが発覚したために、再度遺産分割協議書を作成しなければならないケースは起こっています。
そこで、重要な書類を専門家に依頼して作成してもらえば、相続手続きも問題なく進められるはずです。
また遺産分割協議書を問題なく作成してもらえれば、相続手続き時のトラブルを避けられるだけでなく、将来にわたる不安も解消されるでしょう。
遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット
ここからは、遺産分割協議がうまくまとまらず調停をすることになった場合に、弁護士に依頼するとどのようなメリットがあるかを解説します。
申し立てのサポートをしてもらえる
遺産分割調停を弁護士に依頼するメリットは、調停の申し立てのサポートをしてくれるところです。
調停を申し立てる際には、多くの添付資料が必要です。
特に、戸籍謄本、除籍、改製原戸籍などは、ある程度法的な知識がないと手間取ってしまいます。
弁護士などの専門職は、職権で戸籍謄本などを取得できるため、一々依頼者が「委任状」を書く必要がありません。
また、調停が始まれば、代理人として同席してもらうことができ、様々なアドバイスを受けることが可能です。
調停委員の印象が良くなる
弁護士に依頼することで、調停委員の印象が良くなる可能性があります。
調停委員は各分野で活動した人が多いのですが、決して相続関係の法律全般に詳しいわけではありません。
そこに、相続専門の弁護士が同席すれば、決して感情論ではなく法的な根拠を基に、依頼された相続人の考えを代わりに述べてくれます。
その結果、調停委員からの信頼度はぐっと増すはずです。
審判手続きを有利に進められる
弁護士に依頼することで、審判手続きを有利に進めることができます。
調停を数回重ねても話し合いがつかなければ、次に「審判」の手続きに進みます。
審判では、家庭裁判所の裁判官が調停での協議を基に判断を下します。
つまり、調停でどのようなことが話し合われたかが重要になってくるのです。
審判を下す裁判官は調停に参加することは少なく、調停でどのようなことが話し合われたかを調停委員から報告を受けることになります。
調停の場で、弁護士がついていた相続人の主張は、きちんとした法的な根拠があるもののため審判でも有利に働くことになります。
遺産分割協議・調停を弁護士に依頼した場合の費用や報酬
弁護士に遺産分割協議・調停を依頼した場合の費用や報酬について見ていきます。
相談料
相続に関するあらゆることを、弁護士に相談することができます。
弁護士への相談料は、30分5,500円としている場合が多いのですが、その金額に決まりはありません。
これ以上の金額を提示している弁護士もいれば、相談料を無料としている弁護士もいます。
基本的には、その後に支払う着手金や報酬の一部を前払いしていると考えられるため、相談料だけで負担が多いか少ないかを判断することはできません。
着手金
遺産分割協議や調停などを正式に弁護士に依頼した場合、着手金の支払いを行います。
着手金の金額は20~30万円となるケースが多いです。
しかし、遺産の金額や計算の複雑さによっては報酬の額が高くなり、それにともなって着手金の金額も高くなることがあります。
報酬
報酬とは、弁護士に依頼していた内容がすべて解決したら支払う金額です。
経済的利益を得たら、その経済的利益の金額に応じて、報酬の金額が計算されます。
経済的利益 | 報酬金額相場 |
---|---|
300万円以下 | 16% |
300万円超3,000万円以下 | 10%+18万円 |
このように経済的利益が大きくなるほど、支払うべき報酬金額は大きくなっていくのです。
実費
遺産分割調停の申し立てにかかる印紙代や郵便切手代、交通費などの実費が、弁護士から請求されます。
実際にかかった費用なので、どの弁護士に依頼しても、必要になる金額は基本的に変わりません。
遺産分割調停の申立ての際にかかる印紙代は、1,200円とされています。
また、郵便切手代としては1万円以内となることが多いでしょう。
このほか、戸籍謄本や住民票など、遺産分割調停を申し立てる際に必要となる書類の取得を、弁護士に依頼することもできます。
この場合の取得にかかる手数料も、最後にまとめて弁護士から請求されることとなります。
日当
相続人が遠方に住んでいる場合など、弁護士が遠方に出張して、遺産分割協議をまとめる場合があります。
この場合、依頼者が弁護士に対する日当を負担しなければなりません。
出張する場所にもよりますが、日当の目安は1日あたり5万円程度となるのが一般的です。
もし拘束時間が半日で済めば、日当の金額も半額程度になります。
なお、弁護士が遠方に出張する必要がなければ、日当は発生しません。
まとめ
相続人だけの話し合いで、遺産分割協議がまとまれば理想的ですが、現実は決してそうではありません。
どうしても、調停や審判の手続きを取らざるを得ない場合もあります。
その際に、相続専門の弁護士に相談・依頼することで有利に遺産分割を進めることができるのです。