この記事でわかること
- 養子縁組すると戸籍にはどのような影響があるのかわかる
- 養子縁組した場合に戸籍にどの様な記載がされるのかがわかる
- 養子縁組を解消した場合に戸籍にどう影響するのかがわかる
養子縁組という制度については、多くの方が知っているでしょう。
実の親子でなかった人が、法的な手続きにより親子関係になると、戸籍にはどのような記載がされるのでしょうか。
また、養子縁組をした後に、その養子縁組を解消することもできます。
この場合は、戸籍にどのように記載されるのか、あらかじめ確認しておきましょう。
目次
養子縁組による戸籍への影響
養子縁組とは、親子関係にない人が手続きを行い、親子関係になることをいいます。
実の親子関係であれば、戸籍にそのことが記載されていますが、養子縁組の場合は戸籍にどのような影響があるのでしょうか。
特別養子縁組の場合
特別養子縁組とは、養子と実親との親子関係を解消し、養親との間にのみ親子関係を生じるための手続きです。
子供の福祉の増進を図ることをねらいとしており、家庭裁判所の手続きによって成立します。
養子となる人は15歳未満、養親となる人は配偶者がいる人で、一方が25歳以上、もう一方は20歳以上とされています。
特別養子縁組を行った場合(夫婦が同じ戸籍にある者(普通養子縁組により入籍していた者)を特別養子縁組する場合は除きます。)、まずは養子だけ単独の戸籍が作られます。
その後、養親の戸籍に養子が入る形をとっています。
一度養子だけの戸籍をつくるのは、実親が戸籍から子供がどこに行ったのかわからないようにするためです。
普通養子縁組の場合
普通養子縁組をする場合、養子縁組届には「入籍する戸籍または新しい戸籍」という項目が設けられています。
ただ、ここに記載されている選択肢を養親や養子が選ぶわけではなく、状況に応じて自動的に決まります。
養子となる人が単身者の場合、あるいは養子となる人が既婚者の場合に分けて、その後の戸籍の影響を確認していきます。
単身者が養子縁組した場合
単身者が養子縁組した場合、最も基本的なパターンは「養親の現在の戸籍に入る」です。
戸籍の筆頭者やその配偶者が養親となった場合、養子は養親の戸籍に入ります。
養親と養子が、養子縁組前からもともと同じ戸籍に入っている場合があります。
たとえば、離婚した父親が再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組する場合などです。
このような場合は、養子の戸籍に変更はなく、身分事項欄に養子縁組したことが記載されるのみとなります。
養親が戸籍の筆頭者やその配偶者でない場合は、養親を筆頭者とする戸籍が新たにつくられます。
そして、養子もその戸籍に入ります。
既婚者が養子縁組した場合
結婚により名字を変更していない戸籍の筆頭者が養子となる場合、養子縁組により養親の名字を使った新しい戸籍が作られます。
養子の配偶者は、この新しい戸籍に入り、名字も養親のものに変更することとなります。
一方、養子の子はもともとの戸籍に残ることとなり、名字も以前のままとなります。
養子の子を新しい戸籍に入れるためには、入籍届を提出しなければなりません。
結婚により名字を変更した戸籍の筆頭者が養子となる場合は、戸籍に変動はありません。
ただ、身分事項欄に養子縁組したことが記載されるのみです。
養子縁組をした際の戸籍の記載方法
実際に養子縁組した場合、戸籍にはどのように記載されるのでしょうか。
特別養子縁組と普通養子縁組に分けて、その記載例をご紹介します。
特別養子縁組の場合
特別養子縁組が行われた場合の、養子となった人の戸籍は以下のとおりです。
戸籍に記録されている者 |
【名】太郎 【生年月日】平成28年5月10日 【父】大阪和男 【母】大阪豊子 【続柄】長男 |
---|---|
身分事項 民法817条の2 |
省略 |
【民法817条の2による裁判確定日】令和2年8月1日 【届出日】令和2年8月10日 【届出人】父母 【従前戸籍】東京都新宿区○○ 東京一郎 |
戸籍には特別養子縁組という言葉は一度も使われていません。
続柄の欄には「長男」「長女」といった一般的な親子関係で用いる続柄が記載されます。
一見すると、特別養子縁組が行われたことがわからないような記載になっています。
普通養子縁組の場合
普通養子縁組が行われた場合の、養子となった人の戸籍は以下のとおりです。
戸籍に記録されている者 |
【名】太郎 【生年月日】平成28年5月10日 【父】東京一郎 【母】東京花子 【続柄】長男 【養父】大阪和男 【養母】大阪豊子 【続柄】養子 |
---|---|
身分事項 養子縁組 |
省略 |
【縁組日】令和2年8月1日 【養父氏名】大阪和男 【養母氏名】大阪豊子 【代諾者】親権者父母 【従前戸籍】省略 |
身分事項には養子縁組と記載され、養父と養母の氏名が実親の名前と一緒に記載されています。
養子縁組解消による戸籍への影響
養子縁組は解消することもできます。
養子縁組を解消することを離縁といい、養子は養子縁組前の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作るか、または戸籍が変わらないかのいずれかとなります。
また、すでに戻る戸籍がなくなっている場合は、新しい戸籍を作ることとなります。
まとめ
養子縁組を行う際は、普通養子縁組であれば市区町村役場での手続きだけで完結します。
非常に簡単な手続きだけで成立するのですが、その際に戸籍の記載が大きく変わることに注意が必要です。
また、特別養子縁組については様々な配慮が行われていることにも知っておくといいでしょう。