遺産分割調停で聞かれること
遺産分割調停を申し立てると、主に以下の内容を聞かれます。
- 財産目録の内容に漏れや誤りはないか
- 各自が相続を主張する財産の内容
- 遺産分割協議が不成立となった理由
- 特別受益となる生前贈与があったかどうか
- 寄与分の主張
- 不動産や自社株などの評価方法
調停委員は財産目録を確認するため、記載漏れや記載ミスに注意してください。
遺産分割協議が不成立となった理由については、生前贈与や使途不明金、財産の評価方法で意見が対立しているなど、争点を明確にしておくとよいでしょう。
特別受益や寄与分は判断が難しいため、贈与契約書や預金通帳の写し、介護用品などを自己負担で購入した際の領収書などを準備してください。
不動産や自社株の評価方法で意見が分かれている場合は、固定資産評価証明書や決算書などが必要になるケースもあります。
遺産分割調停中にやってはいけないこと
遺産分割調停中には、以下のことはやってはいけません。
- 調停に無断欠席・遅刻をする
- 嘘をつく
- 感情的な話ばかりをする
それぞれのやってはいけないことの理由について詳しく解説します。
調停に無断欠席・遅刻をする
遺産分割調停に無断で欠席や遅刻すると、調停委員の心証を悪くする恐れがあります。
本来、調停委員の判断は感情に左右されませんが、無断の欠席や遅刻があった場合、「本当に調停で解決する気があるのか?」と疑問視されるでしょう。
一般常識を疑われてしまう可能性もあります。
遺産相続に関して主張する機会も失うため、デメリットしかありません。
調停期日は事前に通知されているため、当日の都合が悪くなった場合は、早めに欠席や遅刻を連絡してください。
期日どおりに調停を進めたいときは、弁護士に代理人を依頼しておくとよいでしょう。
嘘をつく
遺産分割調停で嘘をつくと、調停委員から信用されなくなります。
事実と異なる主張で都合のよい調停案を得ようとしても、資料との整合性がなければすぐに嘘を見抜かれます。
生前贈与の事実があるにも関わらず贈与契約書を作成していなかった場合、「財産はもらっていない」などの主張が通ってしまうように思えるでしょう。
しかし、他の相続人が預金通帳や取引履歴などの資料を提出して事実が発覚すると、嘘をついた部分以外の主張も信じてもらえなくなる恐れがあります。
調停で嘘をついてしまうと、審判や裁判に移行しても望んだ結果は得られないでしょう。
感情的な話ばかりをする
遺産分割調停が感情論だけの主張になった場合、調停不成立の確率が高くなります。
調停委員は申立人の窮状などをある程度考慮してくれます。
ただし、感情的な主張ばかりになると、「話し合いによる解決は不可能」と判断する可能性があるでしょう。
感情論だけを主張すると調停を申し立てた意味がなくなり、相手との和解も難しくなるため、調停委員には誇張のない事実のみを伝えてください。
調停が不成立となった場合、審判や裁判に移行しなければならないケースもあるため、問題解決が長期化します。
感情的になりやすい方は、弁護士にサポートしてもらうとよいでしょう。
初期段階から弁護士に相談を
相続人が手続きを進められますが、裁判所で話す内容は慎重に考えなくてはいけません。
不用意な発言をして、不利な結果を招く可能性もあります。
調停の場に相続人本人が参加して主張するときは、法律の知識がないとかえって話がまとまりにくくなるかもしれません。
失言により不利な状況になってから弁護士に依頼すると、断られるケースがあります。
調停になった段階で、弁護士に相談しましょう。