この記事でわかること
- 義理の親の遺産を相続するのは誰か
- 寄与分とは
- 特別寄与制度とは
- 義理の妻が義理の親の遺産を相続できる方法
夫が死亡すると、義理の親の遺産相続はどうなるのでしょうか。
義理の妻が、義理の親と同居して献身的な介護をしていた場合や、事業拡大に貢献していたケースなど、家や財産を相続できるのでしょうか。
本記事では、「義父母に貢献した妻に相続権があるのか?」「寄与分や特別寄与制度とは何か?」「遺産を受け取るためにできることは?」などの疑問にお答えします。
旦那死亡で義理の親の遺産相続はどうなる?
夫が死亡した場合の義理の親(義父母)の遺産相続については、法律上明確な規定があります。
義理の親の遺産相続の順位は、以下のとおりです。
第2順位:義理の親の親(夫の祖父母)
第3順位:義理の親の兄弟姉妹(夫の叔父叔母)
※義理の親に配偶者がいれば、配偶者は常に相続人になります。
義理の妻(夫の配偶者)には義理の親の遺産を相続する権利はありません。
これは、相続権が血縁関係や法律上の親子関係に基づいて決まるためです。
ただし、義理の妻が義理の親の遺産を相続する方法として、遺言書と養子縁組が挙げられます。
義理の親が遺言書を作成し、義理の妻に遺産を相続させると明記している場合は、法定相続人でなくても遺産を受け取ることができます。
また、義理の妻が義理の親と養子縁組をすれば、法律上の親子関係が成立し、法定相続人となります。
義理の親の相続権に影響がある寄与分とは
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別に貢献した相続人が、通常の相続分に加えて取得できる部分を指します。
寄与分が認められる具体例としては、長期間にわたる無償の介護、事業の手伝いによる財産の増加、債務の返済による財産の維持などが挙げられます。
しかし、義理の妻は相続人ではないため、寄与分の対象にはなりません。
そこで、介護などで特別な貢献をした人に相続権がないのは不公平という現状から、2019年に特別寄与制度が導入されました。
これにより、相続人でない親族(義理の妻を含む)も、貢献に応じて特別寄与料を請求できるようになりました。
たとえば、義理の妻が義理の親を長年にわたって介護していた場合、相続人に対して特別寄与料の請求が可能になります。
しかし、この制度も適用条件が厳しく、認められるケースは限られるのが実情です。
まとめ
義理の妻の特別寄与料は相続人に対して請求し、相続人全員の協議によって決められます。
もし合意に至らなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
しかし、特別寄与料が認められるケースは限られているため、義理の親の生存中に遺言書を作成してもらうか、養子縁組をするのがより確実な方法です。
いずれにしても、義理の親の財産を受け継ぐには複雑な手続きを要するため、どの方法が最適か判断するのは容易ではありません。
早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。