この記事でわかること
- 養子縁組する際に提出する養子縁組届の書き方や必要書類がわかる
- 養子縁組届の提出先や提出方法について知ることができる
- 養子縁組届を作成する時に注意しなければならないポイントがわかる
養子縁組は、血縁関係のない人が法律上の親子関係になるための手続きです。
養子縁組する際には、養子縁組届と呼ばれる書類を作成し、提出しなければなりません。
養子縁組届を作成する時に初めて目にする書類であることから、その書き方がよくわからない方もいるでしょう。
ここでは、養子縁組届の書き方や必要になる書類について解説していきます。
また、養子縁組届の提出方法についてもご紹介します。
目次
養子縁組届の書き方・必要書類
養子縁組届とは、普通養子縁組を行う際に市区町村役場に提出する書類です。
この書類を提出することで、法律上の親子関係が結ばれる、非常に重要な書類となっています。
どのような記載事項があるのか、その記載上の注意点とともに確認していきます。
養子縁組届の記載事項 ①養子になる人
養子縁組届は、養子になる人と養親になる人がそれぞれ1枚の書類に記載し、提出するものです。
双方に記載事項が定められています。
まずは養子になる人の記載事項ですが、以下のような項目が設けられています。
- 氏名、生年月日
- 住所
- 本籍
- 父母の氏名、続柄
- 入籍する戸籍または新しい本籍
- 監護をすべき者の有無
- 届出人署名押印
住所は、住民登録をしている住民票上の住所を記載します。
また、本籍は養子縁組する前の現在の本籍を記載します。
父母の氏名は、父母が婚姻継続中の場合、父は氏名を記載する一方、母の姓は省略して名のみを記載します。
また、入籍する戸籍または新しい本籍は、養子縁組後の状況に合わせて選択し、記載する必要があります。
分かりにくい項目であるため、窓口で確認しながら記載することもできます。
届出人は、養子になる人本人が届出を行う場合でも、氏名を記載し押印する必要があります。
養子になる人が15歳未満の場合、監護をすべき者の有無についても記載しなければなりません。
監護すべき人がいる場合はその人に、監護すべき人がいない場合はその選択肢にチェックを入れて提出します。
養子縁組届の記載事項 ②養親になる人
養子縁組により養親になろうとする人については、下記の記載項目が設けられています。
- 氏名、生年月日
- 住所
- 本籍
- 新しい本籍
- 届出人署名押印
氏名には、養父と養母の両者を記載する欄があります。
両者がそろって養親になる場合は、両者の氏名や生年月日を記載します。
夫婦の一方が単独で養子縁組することができる場合であって、かつ、単独で養親となる場合、養親になる人だけ記載します。
ただし、この場合は原則として縁組をしない他方の配偶者の同意が必要となるため、「その他」欄に、「同意の旨の記載」をしなければなりません。
なお、夫婦の一方が単独で養子となる場合も、配偶者の同意が必要となるため、「その他」欄に、「同意の旨の記載」をしなければなりません。
養親になる人が戸籍の筆頭者及びその配偶者でない場合、新しい戸籍がつくられることとなります。
その場合は、新しい本籍となる住所を記載する必要があるので、注意しましょう。
養子縁組届の記載事項 ③証人
養子縁組届を提出する際は、証人2名以上が必要です。
証人は、養子・養親となる当事者以外の人で、成年(18歳)に達している必要があります。
証人となる人は、以下の項目を記載することとなっています。
- 署名押印、生年月日
- 住所
- 本籍
代筆も認められる
養子縁組届を記載するのは、本人に限りません。
養子になる人、養親になる人以外の人が代筆しても、届出自体は有効に行うことができます。
ただし、「署名押印」欄については、本人による署名が必要であり、代筆は認められません。
もし、病気などで署名することができない場合は、書面にその事由を記載した上で代筆してもらうことが認められます。
押印は認印で構わない
押印する際に、実印でなければならないのかと疑問を持たれる方もいるかもしれません。
養子になる人が小さな子供である場合、まず印鑑登録をしなければならないと考えるためです。
しかし、押印に用いる印鑑は認印で構いません。
ただし、シャチハタのようなスタンプは認められないため、注意が必要です。
必要書類
普通養子縁組を行う場合、養子縁組届の他に必要になる書類は以下のとおりです。
- 届出人の本人確認書類
- 養子及び養親の戸籍謄本(本籍地以外の市区町村に提出する場合のみ)
- 未成年者を養子にする場合は養子縁組許可審判書の謄本
- 後見人が被後見人を養子とする場合は養子縁組許可審判書の謄本
- 外国籍の子と養子縁組する場合は外国の法律内容に関する資料
養子縁組届の提出方法
養子縁組届を作成し、必要書類を揃えたら、市町村役場に提出します。
この時、提出先の役場は養子または養親の本籍地か住所地の市区町村役場となります。
本籍地の市町村役場に提出すれば、戸籍謄本を提出書類として準備する必要はなくなります。
ただ、養子と養親の本籍地の市区町村が異なる場合は、提出先としなかったいずれかの戸籍謄本は準備しなければなりません。
また、本籍地が不明な場合は住民票を取得し、その記載内容から確認するようにしましょう。
養子縁組届を作成するときの注意点
法的な効力のある書類を作成するにあたっては、いくつか注意点があります。
その内容を確認しておきましょう。
生年月日は西暦でなく年号を用いる
養子縁組届には、養子となる者、養親となる者、証人の生年月日を記載しなければなりません。
この生年月日は、西暦ではなく元号を用いて記載するようにしましょう。
西暦を使ってはいけないということに関して、はっきりとした根拠はありません。
ただ、戸籍謄本などは年号を使って記載されているため、それに合わせる形になっています。
市区町村の公表している記載例にも、年号を使って記載されているため、その例に合わせる必要があります。
修正テープや修正液は使わない
養子縁組届に限った話ではありませんが、法的な書類を提出する際には、修正テープや修正液は使用できません。
もし修正テープや修正液を使ってしまうと、その書面は無効となってしまい、もう一度最初から記入する必要があります。
書き間違えてしまった場合には、二重線で誤記入を消し、その近くに正しい記載を行いましょう。
また、二重線の近くには訂正印を押し、確かに修正を行ったことがわかるようにしておきましょう。
訂正印がない場合には、フルネームの署名で対応できる場合もあるため、窓口で確認しながら記載していきましょう。
押印は任意となっている
2021年9月1日から、法的な書類の一部について、押印が不要とされる法改正が行われました。
養子縁組届についても、押印は不要とされたことから、押印がなくても書類は受理されます。
ただ、シャチハタで押印してしまうとその書類は受理されないため、注意が必要です。
まとめ
養子縁組は、養子縁組届を市区町村役場に提出すれば成立します。
親子関係を新たに生み出すという、法的に非常に重要な手続きにもかかわらず、その手続き自体は比較的容易に行うことができます。
そのため、養子になる人、養親になる人、それぞれが細心の注意を払って、養子縁組届を記載し提出するようにしましょう。
添付しなければならない書類が発生する場合もあるので、手続きを進める中で必要な書類を準備するようにしましょう。