遺産分割とは
相続発生前に遺言書や公正証書を作成していない場合は、相続人同士で協議を行い、遺産を分ける必要があります。これを遺産分割協議といいます。
相続人には、民法で定められている法定相続分がありますが、相続人同士の合意があれば、必ずしも法定相続分通りに分ける必要はなく、自由に分割することが可能です。
また、遺産分割協議が整う前の財産は、相続人同士の共有状態であるため、相続人の一人が単独で凍結状態の口座を解約・名義変更することは原則できません。
相続税申告で遺産分割協議が必要なわけ
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの各種特例は遺産分割が確定してはじめて適用が可能となります。そのため、これらの特例を適用するのであれば、申告期限までに遺産分割協議を終え、遺産分割協議書を作成し、申告書とともに遺産分割協議書のコピーを税務署へ送付します。
申告期限までに遺産分割協議が間に合わないとき
申告期限までに遺産分割協議が間に合わないときは、未分割という形で申告します。
未分割で申告する場合、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの各種特例を適用せずに申告することとなります。
つまり、内容的には特例を適用できるはずなのに、未分割であることが原因で当初の申告で多めに税金を支払わなくてはいけないということが起こります。
そして、申告時に所定の書類を提出し、申告期限から3年以内に遺産分割協議を確定させ、改めて申告することではじめて特例が適用されます。
そこで、当初申告で納めすぎていた税金が戻ってきます。
遺産分割協議書の書き方
特に決まった書き方があるわけではありません。インターネットで検索するとフォーマットを簡単に確認できますが、下記の情報は最低限必要となります。
① 被相続人を特定できる情報、例えば氏名・住所・本籍地・相続開始日など
② どの財産をどの相続人がどれだけ取得するか
③ 相続人の氏名・住所・実印
④ 押印の日付
遺産分割協議後できること
遺産分割協議書を作成することで、不動産登記の名義変更が可能となります。この他、被相続人口座の解約・名義変更を行うにあたり、金融機関によっては遺産分割協議書の提示を求められることもあります。