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労働問題に強いVSG弁護士法人(使用者側専門) > コラム > 残業代 > 会社側の未払い残業代の調査方法とは?トラブルを防ぐための対処法

会社側の未払い残業代の調査方法とは?トラブルを防ぐための対処法

この記事でわかること

  • 未払い残業代の正しい調査方法
  • 調査後の会社がとる適切な対応
  • 未払い残業代トラブルを防ぐための対処法

従業員から未払い残業代の請求を受けた場合、請求内容を十分に確認しなければ、本来支払い義務のない分まで支払ってしまうリスクがあります。
会社の担当者は、未払い残業代の有無を正確に調査し、調査結果に応じて適切に対応しなければなりません。

しかし、未払い残業代の調査では、どこまでが残業代に当たるかの判断が難しいケースもあり、悩む場面も少なくありません。
会社のダメージを抑えるためにも、正しい調査方法と対応手順を確認しましょう。

この記事では、未払い残業代の調査方法とポイント、調査後の対応、そしてトラブル防止の対処法までをわかりやすく解説します。

会社側の未払い残業代の調査方法

未払い残業代調査の基本は、会社にある勤怠記録や給与明細などをもとにした残業代の正しい再計算です。
その上で、従業員の請求内容と根拠との整合性を確認しましょう。

ここでは、未払い残業代の調査におけるポイントを解説します。

基本的な残業代の計算方法

残業代を正しく把握するために、まず基本的な残業代の算出方法を確認しましょう。
残業代の計算式は、次のとおりです。

計算式

>残業代=1時間あたりの賃金額×時間外労働の時間数×割増率

割増率は、労働基準法で以下のように定められています。

  • 時間外労働…25%以上
  • 深夜労働…25%以上
  • 休日労働…35%以上
  • 時間外労働が月60時間を超えたときの部分…50%以上

(計算例)
時給1,000円で時間外労働が5時間あった場合

1,000円×5時間×1.25=6,250円

なお、時間外労働が深夜帯にまで及んだ場合は、時間外労働と深夜労働の両方が適用されます。
この場合1時間あたり50%(時間外25%+深夜25%)の割増率で計算します。
しかし、休日労働の場合は時間外労働に対する割増賃金は発生しないため、この2つの割増賃金は重複しません。

残業代計算の注意点

残業代計算でよくあるトラブルや間違いのひとつに、端数処理があります。
会社には「賃金の全額払い」が義務づけられているため、残業時間は1分単位で計算して支給しなければなりません(労基法24条1項)。
1日の残業時間を15分や30分単位で切り上げ・切り捨て処理している場合は、未払い残業代が発生しているため、注意が必要です。

なお、1カ月における残業時間に1時間未満の端数がある場合、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げる扱いは認められています。

未払い残業代の調査ポイント

未払い残業代の請求には、残業代が発生しない時間が含まれている場合もあるため、次のような観点から確認を行います。

  • 割増率が正しく反映されているか
  • 残業代請求の時効を過ぎていないか
  • 休憩時間や私的時間が含まれていないか
  • 勤怠記録と実際の労働実態に食い違いがないか
  • 請求人が管理監督者に該当しないか
  • みなし労働時間制が適用されていなかったか
  • 変形労働時間制が適用されていなかったか
  • 固定残業代として既に支払われていないか

上記の内容を総合的に検証し、支払い義務のない時間まで請求されていないかの調査が、会社のダメージを抑える重要なポイントです。

未払い残業代の調査後の対処法

未払い残業代の調査後は結果に応じて、次のように対処しましょう。

  • 時効を主張する
  • 支払い義務のない部分について反論する
  • 和解交渉をする

ここでは、それぞれの内容について詳しく解説します。

時効を主張する

時効が過ぎた残業代の請求をそのまま認めてしまうと、その請求は有効となり、原則として後から撤回できません。
そのため、時効の確認と主張が会社の損失を防ぐ上で重要なポイントです。
調査により請求時効の過ぎた分が判明した場合は、時効を主張しましょう(時効の援用)。

残業代の請求時効は支給日の翌日から起算され、発生時期によって次のように異なります。

  • 2020年3月31日以前に発生した残業代…2年
  • 2020年4月1日以降に発生した残業代…3年

会社に残る資料をもとに「いつ発生した残業代か」を慎重に確認しましょう。

支払い義務のない部分について反論する

調査の結果、固定残業代として既に支払い済であるなど、支払い義務について反論できるケースがあります。
この場合、調査結果と支払い義務がない部分の根拠を明らかにし、従業員本人に丁寧に説明して理解を得ましょう。

一方で、残業代計算や制度の適用範囲は、見解の違いからトラブルに発展するケースもあります
制度の有効性は会社の主観ではなく、法律上の要件や解釈、会社の制度運用の実態に照らして判断されるため、注意が必要です。
たとえば固定残業代制度が正しく運用されていなければ、制度自体が無効とされる恐れがあります。
また、肩書きでは管理監督者であっても、実態が伴わない「名ばかり管理職」として争われるケースも少なくありません。

未払い残業代の有無を正しく判断するためには、労働法に精通した弁護士への相談・依頼が有効です。

和解交渉をする

調査により残業代請求が正当であると判断された場合、会社は未払い残業代を支払わなければなりません。
支払いを怠る、あるいは先送りにすると、労働審判や裁判など法的トラブルに発展するリスクが高まります。

このときに会社が取れる選択肢のひとつに、従業員との和解があります。
和解は請求額の一部を「和解金」として支払い、未払い残業代トラブルを解決させる手続きです。
和解が成立すれば、裁判リスクを回避しつつ、会社の負担も一定程度抑えられるメリットがあります。

なお、和解金の額に一律の相場はなく、従業員からの請求額や証拠の有無などの要素によって決定されます。

未払い残業代でトラブルを防ぐための対処法

未払い残業代によるトラブルを防ぐためには、リスクに備えた事前の整備と、従業員から請求があった際の適切な対応が重要です。
具体的には、次の対処法が挙げられます。

  • 適切な労務管理を行う
  • 請求に早期に対応する

ここでは、それぞれの対処法について詳しく解説します。

適切な労務管理を行う

未払い残業代トラブルを避けるためには、会社が日々の労務管理を適切に行い、未払い残業代そのものを発生させない体制づくりが重要です。
具体的には、以下のような対策があります。

  • タイムカードなどを活用し、正確な労働時間を記録する
  • 就業規則や雇用契約書などを見直し、残業代や勤務条件に関するルールを明文化する
  • 従業員への教育や研修を通じて、残業代のルールを周知する

従業員から「残業代が未払いではないか」と疑念を抱かれるリスクを抑え、安心して働ける環境づくりにもつながります。

請求に早期に対応する

従業員から未払い残業代の請求があった場合に対応を先送りにすると、労働審判や裁判などの法的トラブルに発展しかねません。
裁判に発展すると時間や費用の負担がかかる上に、未払い残業代と同額の付加金の支払いを命じられる可能性もあります
さらに遅延損害金と併せて請求された場合、会社は甚大な金銭的ダメージを負うため、注意が必要です。

また、請求してきた従業員だけに残業代を支払うなど場当たり的な対応をすると、他の従業員との間でトラブルを招く恐れもあります。
早期に調査・対応すれば、従業員との不必要な対立を避けつつ、トラブルを最小限に抑えられます。

まとめ

残業代は計算方法や制度の適用方法で判断が分かれるケースも多くあります。

未払い残業代の請求は、会社にとって金銭的負担だけでなく、従業員との信頼関係や企業イメージにも直結します。

だからこそ「様子を見る」ではなく、勤怠や給与記録を整理し、正確な調査を始めることが重要です。

リスク軽減と早期解決のためにも、弁護士などの専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。

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