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企業がすべきセクシャルハラスメント防止対策7つ!被害後の対応も

この記事でわかること

  • セクシャルハラスメントの種類・基準
  • 心がけるべきどのようなセクシャルハラスメント防止対策
  • セクハラ被害が起きたときの対応方法

企業にとって、職場内のセクシャルハラスメント(セクハラ)の防止は非常に重要な課題です。
職場内でセクハラが発生すると、被害者の精神的・身体的な健康に深刻な影響を与えます。
さらには、企業の信用や業績にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

従業員が安心して働ける環境を整えるためにも、企業にはセクハラを未然に防ぐ体制づくりが求められるでしょう。

この記事では、企業がすべきセクハラ防止対策を7つご紹介します。
万が一、セクハラが起こった場合の対処法もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

セクシャルハラスメント(セクハラ)の種類・基準

一般的にセクシャルハラスメント(セクハラ)とは、相手の意に反する性的な言動によって不快な思いをさせる行為を指します。

特に職場においては、上司や同僚からの性的な言動に対応したによって不利益を受けることや、就業環境が害される恐れがあります。
たとえ好意によるからかいや気軽なスキンシップのつもりでも、相手が不快に感じればセクハラに当たります。

職場におけるセクハラは、誰もが経験する可能性があります。
上司から部下、男性から女性などの構図に止まらず、その逆も起こり得ます。
時には取引先や顧客、患者、生徒などが加害者になる可能性もあるでしょう。

2種類のセクシャルハラスメント

セクハラには、身体的な接触だけでなく性的な言葉や態度も含まれるとされています。
職場においては、立場を利用したハラスメントを伴う恐れがあり、被害者に精神的な負担を強いる可能性が高いでしょう。

職場におけるセクハラには「対価型」と「環境型」の2種類があります。
それぞれについて、詳しく解説します。

対価型セクハラ

対価型セクハラとは、労働者に何らかの対価を提示して性的な関係を迫る行為です。
労働者が拒否・抵抗した場合、職場において不利益な扱いをする行為も含まれます。

具体的には、次のような行為が挙げられます。

  • 労働者が性的な発言を注意したために、望まない部署に配置転換をする
  • 労働者が性的な行為を拒否したために、昇進・昇格の対象から外す

対価型セクハラは、立場の強い者(上司など)から立場の弱い者(部下など)に対して行われるケースが多い傾向があります。
労働者は相手の性的な言動に抵抗しにくく、被害を訴えずに泣き寝入りしてしまう恐れがあります。

環境型セクハラ

環境型セクハラとは、職場環境そのものが労働者を不快にさせることを指します。

具体的には、次のような行為が挙げられます。

  • 職場内で性的な会話をする、または持ちかける
  • 性的な掲示物が貼られている
  • 容姿を褒める、または貶す発言をする

場を盛り上げるつもり、あるいはコミュニケーションのつもりであっても、職場環境の悪化につながる可能性があります。
直接的な行為を伴わず、加害者に悪気がない場合も多いため、環境の改善が難しいケースも考えられるでしょう。

セクシャルハラスメントの判断基準

セクシャルハラスメントに該当するかどうかの判断には、慎重さが求められます。
労働者が不快に感じるかの基準は曖昧で、個人差が大きいためです。

もちろん、労働者の主観的な感情や意向を尊重する姿勢は重要です。
一方、加害者への処分が下される可能性があるため、個別の事情を客観的に判断する必要があるでしょう。

たとえば、性的な言動の程度や回数、抗議の有無、職場環境への影響などが考慮要素となります。
精神的な苦痛は、一般的な労働者(男性・女性)の感じ方に照らして判断します。
被害者が受けた精神的苦痛が大きいと判断されれば、一度の性的な言動でもセクハラとなるでしょう。

心がけるべきセクシャルハラスメント防止対策7つ

職場におけるセクハラの防止対策は、企業の義務です。
男女雇用機会均等法では、セクハラに対して雇用管理上の措置を講じるよう義務付けています(11条・11条の2)。

セクハラを防ぐには、社内の規定を整備・周知し、労働者の知識不足や認識不足を補う必要があるでしょう。
企業が心がけるべきセクハラ防止対策は、次の7つです。

  • セクハラの基準や社内方針の明確化
  • セクハラ加害者への対処方法の規定
  • 相談窓口の設置
  • 幅広い相談体制の構築
  • プライバシー保護の措置
  • 不利益な取扱いの禁止
  • 定期的な研修の実施

それぞれについて、具体的に見ていきましょう。

セクハラの基準や社内方針の明確化

職場におけるセクハラ対策はまず、セクハラの基準や社内方針の明確化から始めましょう。

セクハラの基準は、個人の主観で曖昧になってしまいがちです。
加害者が「このくらいなら大丈夫だろう」と思っていても、被害者にとっては許容できない行為である恐れがあります。
職場内の基準を統一すれば、労働者が「何がセクハラに当たるか」を具体的に理解できるようになります。

さらに、会社としてセクハラを許さない姿勢を示すのも非常に重要です。
会社全体においてセクハラに対する認識が一致すれば、被害者が声を上げやすくなり、職場環境の改善につながるでしょう。

セクハラ加害者への対処方法の規定

セクハラ加害者への対処方法はあらかじめ規定しておきましょう。
セクハラ被害が発生した場合の対処をスムーズにし、労働者間の不公平感の解消にも繋がります。
特に、懲戒処分などの厳正な対処をする場合には、就業規則などの文書に記載するのが原則です。

ただし、処分内容は慎重な取り決めが求められます
悪質性の低い性的な言動でもすぐに解雇できるとなると、加害者が反省の機会を得られないまま、生活の糧を失ってしまいます。
重すぎる処分は社内のコミュニケーションを妨げ、かえって労働者に負担をかける可能性があるため、注意しましょう。

なお、就業規則は社内ネットワークに掲示するだけでは周知されたとは言えません。
全社員にメールや文書を送り、必要に応じて研修を実施するなどの工夫が必要です。

相談窓口の設置

職場内でセクハラが発生した場合に迅速な対応ができるよう、誰でも利用できる相談窓口の設置をおすすめします。

せっかくセクハラ被害に対する社内方針や処分規定を整えても、相談する場所がなくては実際の被害に対処できません。
被害を受けた本人や、目撃した労働者が相談できる窓口を備えておくようにしましょう。

ただし、名ばかりの相談窓口を設置するだけでは意味がありません。
いつでも相談に対応できる体制を整え、労働者が気軽に利用できるよう周知する必要があります。
できるだけ早い段階で相談に繋がれば、企業としての対処方法の幅も広がります。

幅広い相談体制の構築

相談窓口を設置したら、できるだけ幅広い相談を受け付けられるような体制を整えていくようにするとよいでしょう。

特に、職場におけるセクハラはパワーハラスメント(パワハラ)と複合的に起こる恐れがあるため、一度に相談できると安心です。
実際の被害があるか判断しづらい場合や、未発生の段階であっても、気軽に相談できる体制があれば被害者の負担を軽減できます。

また、人事部や労働組合、カウンセラー、産業医などと連携し、相談した労働者をフォローできるようにしておくことが望ましいです。
労働者によっては相談窓口に入りにくいと感じる方もいるため、メールや電話でも相談できるとなおよいでしょう。

プライバシー保護の措置

セクハラ問題に対処する際には、プライバシー保護の措置を講じる必要があります。
相談窓口に相談した内容がすぐに社内に広まってしまうようでは、安心して相談ができません。

セクハラの被害を受けた事実が知れ渡ると、かえって被害者の精神的な苦痛を増幅させてしまいます。
被害者だけでなく、加害者のプライバシーにも配慮が必要です。
セクハラ発生後も当事者双方が働き続けられるよう、相談内容の共有は必要最低限にとどめるようにしましょう。

不利益な取扱いの禁止

セクハラ被害は、なかなか相談しづらいものです。
「加害者から逆恨みされないか」「周りから白い目で見られないか」と心配して、相談に踏み切れない方も少なくありません。

セクハラ相談による不利益な取り扱いを禁止する旨をあらかじめ周知しておけば、労働者が被害を相談しやすくなります。
特に、二次被害や加害者からの報復には注意し、会社として厳正に対処する姿勢を明確にしておきましょう。

定期的な研修の実施

セクハラの防止対策は、一度実施するだけでは足りません。
継続的にセクハラを防止するためにも、定期的な研修の実施をおすすめします。

管理職を中心に、すべての正社員、パート・アルバイトなどの非正規雇用者に対してセクハラ対策の周知を図る必要があります。
新入社員が入社する4月や、異動の多い9月〜10月頃に合わせて研修を行うとより効果的です。

セクハラ問題は、時代によっても認識が変わってきます。
労働者が最新の情報を共有し、必要に応じて相談につなげられるよう工夫しましょう。

セクハラ被害が起きたときの対応


セクシャルハラスメントの防止措置を周知していても、被害が発生してしまう可能性があります。
実際にセクハラ被害が起きたとき、企業はどのように対応すればよいのでしょうか。

基本的な流れは次の通りです。

  1. 事実確認
  2. 被害者への配慮
  3. 加害者への対処
  4. 再発防止

セクハラを受けた被害者は精神的な苦痛を感じている場合が多く、放置しておくと深刻な問題に発展しかねません。
相談を受けたらすぐに調査を開始して被害者をサポートするなど、問題解決に向けた迅速な対応が求められます。

事実確認

セクハラの被害者や第三者から相談を受けた場合、まずは相談者の言葉によく耳を傾け、事実関係を整理していくようにしましょう。
必要に応じて人事部や専門家と連携しながら、具体的な状況を把握します。

この時点では、被害者に寄り添いつつも、公平な立場で客観的に調査していく必要があります。
被害者と加害者の両方の言い分をよく聞き、セクハラが発生した経緯や内容を詳細に確認します。
当事者の意見は食い違う可能性があるため、状況を知る第三者の意見を取り入れるのも重要です。

被害者への配慮

セクハラの事実が確認できたら、できる限り早急に被害者と加害者を引き離し、被害者が安心して働ける環境を整えましょう。
このとき、求める配慮について被害者の希望を聞いておくとスムーズです。

基本的には、加害者と被害者の配置転換をします。
セクハラ被害の相談後も当事者同士の接点があると、被害者の不安やストレスが軽減されません。
結果として、休職や退職に繋がってしまう可能性があります。

また、セクハラ被害を原因として、すでに心身に支障を来たしているケースも考えられます。
会社は、被害者のメンタルヘルス不調に対しても配慮する必要があります。
被害者の状態に応じて、産業医への相談や休職・復職のサポートをするようにしましょう。

加害者への対処

セクハラ加害者に対しては、厳正な対処が求められます。
加害者への対処は就業規則に沿って行うのが原則ですが、セクハラの程度や状況に応じてケースバイケースで判断します。

ただし、不当に重い(あるいは軽い)処分にならないよう注意が必要です。
重すぎる懲戒処分をしてしまうと、加害者から訴えられるリスクがあります。

比較的悪質性が低いケースでは、被害者への謝罪や始末書の提出、戒告・けん責・減給などの軽い処分を検討します。
その上でセクハラ防止の指導を行い、改善のチャンスを与えるとよいでしょう。

一方、セクハラを繰り返している場合や強制わいせつなどの重大な事案では、より重い懲戒処分を検討する必要があるでしょう。
たとえば、一定期間の出勤停止や降格、諭旨解雇などが挙げられます。
被害者に報復をするような悪質なケースでは、ペナルティーとして懲戒解雇も視野に入れるべきです。

再発防止

セクハラ被害が発生したら、改めて社内規定や相談体制を見直し、再発防止に努める必要があります。

再発防止は加害者への処分だけでは足りません
加害者が加害を繰り返さないだけなく、新たな加害者が発生してしまわないよう、社内全体でセクハラ防止に取り組みましょう。

実際の事例を検証・評価して新たな規定を盛り込めば、より効果的な社内ルールを作成できます。
なお、事実確認の結果、セクハラの事実がなかったとしても、同様の対処が求められます。

まとめ

セクハラが放置されている職場では、労働者は安心して働けません。
セクハラの判断基準や社内規定を明確にし、労働者がセクハラ被害を報告しやすい環境作りに努めましょう。

また、セクハラ被害の対応を誤ると、法的責任を問われるリスクがあります。
特に、被害発生後の被害者への配慮や加害者への処分については慎重な対応が求められます。
労働トラブルに発展する前に弁護士に相談するようにしましょう。

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