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パワハラで訴えられたときの会社が取るべき対応法と労基署からの指導について

この記事でわかること

  • パワハラに対する労基署の指導
  • パワハラで訴えられたとき企業としての適切な対応
  • パワハラ問題発生時の企業のNG行動

パワーハラスメント(以下パワハラ)問題が発生し、会社が訴えられた場合、迅速かつ適切な対応が求められます。
パワハラの放置や不適切な対応は、法的リスクや企業イメージの低下を招く可能性が高いため、事前に対応策を理解しておくことが重要です。

この記事では、パワハラで訴えられた際の会社に求められる具体的な対応方法や、労働基準監督署からの指導について詳しく解説します。

労働基準監督署がパワハラに介入する範囲

労働基準監督署がパワハラに介入する範囲は、主に労働基準法や労働安全衛生法違反がある場合に限られます

ここでは、そもそもパワハラとは何か、労基署の役割とは何かについて説明します。

パワーハラスメントとは

一般的にパワーハラスメントと呼ばれるのは、以下の3つを満たす場合です。

  • 優越的な関係に基づいて行われる行為であること
  • 業務の適正な範囲を超えて行われること
  • 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

引用:厚生労働省

具体的には、「職場内での地位や立場を利用して、同じ職場で働く人に対して、身体的・精神的苦痛などを与えるもの」を言います。

労働基準監督署の役割とは

労働基準監督署(労基署)は、労働基準法に基づいて労働者の権利を守るための監督・指導を行う行政機関で全国に321署あります。
扱っているのは、労働基準法や労働安全衛生法などの労働関係法令で、以下のことを行っています。

  • 企業を監督
    労働基準法に基づいて、事業所の監督や指導を行い、法令違反があれば是正勧告を行います。
  • 労働者の申告や相談に対応
    労働者からの相談に対してアドバイスを行い、必要に応じて企業への聞き取り調査や立ち入り調査を行います。
  • 労災認定者に対して労災保険給付の手続きを行う
    労災保険に関連する手続きや給付について担当しています。

労働者が労基署にパワハラを訴えるとどうなるか

労働者が労働基準監督署にパワハラを訴えた場合、労働基準監督署の対応は以下のような流れになります。

  1. 相談の受付
    労働基準監督署は、まず労働者からのパワハラに関する相談を受け付けます。
  2. 状況の確認
    労働者から詳細な状況を聴取し、パワハラの内容や証拠の有無を確認します。
  3. 法令違反の判断
    パワハラの内容が労働基準法などの法令違反に該当するかどうかを判断します。
  4. 助言・指導
    労働基準法や労働安全衛生法の違反が認められない場合でも、労働者に対して適切な対処方法や相談窓口についての助言やアドバイスを行います。
  5. 調査・是正勧告
    労働基準法や労働安全衛生法違反が疑われる場合、労働基準監督署は事業所に対して調査を行い、必要に応じて指導や是正勧告を行います。
  6. 他機関の紹介
    パワハラ問題の解決に適した他の相談機関や専門家(弁護士など)を紹介します。

労働基準監督署はパワハラをどこまで取り締まるか

パワハラが行われた場合、労働基準監督署は相談に対する助言や事業所への指導を行うのみで、パワハラそのものを直接取り締まる権限を持っていません。
パワハラ行為自体が労働基準法違反に該当しない限り、労働基準監督署が直接介入できる範囲は限られています

そのため、パワハラ問題の具体的な解決を求める場合は、弁護士に相談し、法的対応策を検討することが望ましいでしょう。

また、2020年6月から施行されたパワハラ防止法(正式名称:「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)により、企業には従業員からのパワハラに関する相談や苦情に適切に対応する体制を整えることが義務づけられています。

労働基準監督署は、この法律に基づいて企業の対応が適切かどうかを確認し、必要に応じて指導を行うこともあります。

従業員から労基署にパワハラで訴えられたときの会社の対応

従業員が労働基準監督署(労基署)にパワハラを訴えた場合、会社としては迅速かつ適切に対応することが求められます。

ここでは、労基署からの調査が行われる際に企業が取るべき対応について、弁護士への相談や社内調査の進め方を中心に解説します。

弁護士への相談

パワハラ問題が労基署に訴えられた場合、まずは、専門的な法的助言を受けることをおすすめします。

弁護士に相談することで、状況に応じた適切な対応策を立てることが可能になります。
特に、訴えが正当かどうかの判断や、労基署からの調査に対する対応方法について、弁護士からのアドバイスは重要です。

弁護士は、企業の立場を守るために必要な証拠の収集方法や、従業員とのコミュニケーションの取り方についても指導してくれます。
このため、弁護士に相談することは問題の早期解決を図るとともに、訴訟リスクの軽減にもつながります。

社内ヒアリングの実施

弁護士に相談した後に行うのは、社内でのヒアリングです。
パワハラの事実関係を明らかにするため、関係者からの事情聴取が不可欠となります。
この際、パワハラの加害者とされる人物だけでなく、被害を訴えた従業員やその周囲の同僚からも話を聞くことが重要です。

ヒアリングを行う際には、第三者の立場である人事担当者や、可能であれば弁護士の同席を求めるとよいでしょう。
また、記録は詳細に残し、後の調査や判断の基礎資料として使用します。

社内調査の進め方

ヒアリングを通じて収集した情報を基に、パワハラの実態を社内調査によってさらに掘り下げます。
この調査は、労基署からの質問に適切に回答するための準備としても重要です。

社内調査では、以下の点に注意して進めます。

  • 証拠の収集
    メール、メモ、録音などの具体的な証拠を集めることが求められます。
    これらの証拠は、事実関係を明確にするための重要な資料となります。
  • 調査の透明性
    調査は、関係者全員に対して公平に行われなくてはなりません。
    特定の人に偏ることなく、すべての証言や証拠を総合的に判断します。
  • 外部専門家の利用
    必要に応じて、弁護士や労働問題の専門家に調査を依頼することも検討しましょう。
    外部の第三者が関与することで、調査の信頼性が高まります。

調査結果の報告と対応策の実施

調査結果がまとまったら、その内容を労基署に報告し、必要な対応策を講じます。
調査の結果、問題が見つかった場合は、労働基準監督署から是正勧告や指導票が発行されることがあります。
是正勧告や指導票に対しては、迅速に改善策を講じなくてはなりません。

是正勧告や指導票の内容は、具体的には加害者への処分や、職場環境の改善などです。
また、被害者に対しては、適切なケアを行うことが求められます。
精神的・身体的な健康状態の確認や、必要に応じてカウンセリングの機会を提供することも重要な対応策となります。

パワハラで訴えられた人のその後

パワハラで訴えられた人は、訴えが正当と認められた場合、厳しい処分や責任を負うことになります。
ここでは、具体的にどのような結果が待っているのか、会社からの懲罰処分や被害者からの損害賠償請求について解説します。

会社からの懲罰処分

懲罰の内容は、パワハラの程度や会社の就業規則によって異なりますが、以下のような処分が考えられます。

降格・減給

パワハラが発覚すると、加害者は降格や減給の処分を受ける可能性があります。
特に、管理職がパワハラを行った場合の責任は重大であり、降格処分を受けることが少なくありません。
また、減給処分も考えられ、給与が大幅に減ることがあります。

懲戒解雇

パワハラの行為が極めて悪質な場合、懲戒解雇が行われることがあります。
懲戒解雇は、最も重い懲罰処分であり、即時解雇されるだけでなく、退職金の支給がされない場合もあります。
この処分は、加害者の社会的信用も大きく損ないます。

被害者からの損害賠償請求

パワハラの加害者は、被害者から損害賠償を請求される可能性があります。
この損害賠償請求には、精神的苦痛に対する慰謝料や、パワハラが原因で生じた医療費、休業補償などが含まれます。

刑罰を受ける

パワハラの加害者が刑事罰を受ける可能性は、特定の行為が刑法に抵触する場合に生じます

たとえば、暴行や傷害に該当する身体的な攻撃、または脅迫や名誉棄損に該当する言葉による攻撃が行われた場合です。
さらに、強要罪や侮辱罪などに該当する行為も同様に刑事責任を問われることがあり、最悪の場合、加害者には罰金や懲役刑が科されることがあります

会社としてNGなパワハラ対応

パワハラ問題が発生した際、企業がどのように対応するかは、その後のトラブルを防ぐために非常に重要です。
しかし、適切な対応を怠ると、さらなる問題を引き起こし、企業全体に悪影響を及ぼす可能性が高まるでしょう。

ここでは、特に注意すべきNGなパワハラ対応について解説します。

被害者の訴えを叱責・否定・無視する

パワハラの被害者が勇気を出して申告してきたにも関わらず、それを叱責・無視することは、最悪の対応と言えます。
また、被害者はすでに精神的・肉体的な苦痛を抱えていることが多く、その訴えを叱責や否定することは、さらなる苦痛を与えることになります。

これらの対応により、被害者の会社に対する信頼は完全に失われ、場合によっては社会全体への不信感につながる可能性もあります。
さらに、被害者の訴えを無視することで、被害者が労働基準監督署や弁護士など、外部の専門機関に助けを求める事態に発展することがあり得るでしょう。
こうした外部への訴えは、法的な問題や社会的な評判の低下を招く可能性があります。

加害者の主張を無視する

パワハラ問題が発生した際、被害者の声を優先するあまり、加害者の言い分をまったく聞かないという対応もNGです。

問題の解決には、公正で透明性のある調査が不可欠です。
加害者にも言い分や加害者なりの正当性、事情があるかもしれず、それを無視して一方的に判断することは、誤った結論につながる危険性があります。
加害者の主張を聞かずに処分を下すと、後に不当解雇や不当処分として訴訟に発展する可能性もあります。
また、他の従業員に対しても「公正な対応が期待できない会社」という印象を与えてしまう可能性があり、社内の士気が低下するリスクがあります。

対応の遅れや曖昧な対応

パワハラ問題に対して迅速かつ明確な対応をすることが、会社にとって重要です。
対応の遅れや曖昧な結論で収束した場合、被害者の不満は増大し、問題はさらに深刻化するでしょう
また、会社がパワハラ問題に真剣に取り組んでいないと見なされ、社内外からの信用を失う恐れもあります。

会社がパワハラで訴えられないための対策

2020年にパワハラ防止法が施行されましたが、2023年のパワハラ発生件数は、64.2%となっており、2020年と比べて、+16.0%と増加しています。
パワハラ問題は、企業にとって大きなダメージとなるため、ここでは、パワハラで訴えられないための効果的な対策を解説します。

パワハラ相談窓口の設置

従業員がパワハラを受けた際に、安心して相談できる場所があることで、問題の早期発見と解決が可能になります。

相談窓口は、社内の人事部門や専任のハラスメント担当者に設置するのが一般的ですが、外部の専門機関と提携することも有効です。
外部の窓口を設けることで、従業員が社内の人間関係に気を遣うことなく、安心して相談できる環境が整います。

また、相談窓口の設置だけでなく、その存在を従業員に周知徹底することが大切です。
相談窓口の利用方法や対応の流れを具体的に説明し、従業員が相談しやすい環境を提供しましょう。

パワハラ防止のための研修

定期的なパワハラ防止研修を実施することも、企業にとって有効な対策です。
研修では、パワハラの定義や具体例、発生した場合の対処法などを学びます。
特に、管理職やリーダー層には、パワハラを未然に防ぐためのスキルや知識を深めてもらうことが重要です。

研修の内容は、法律的な知識だけでなく、職場でのコミュニケーションスキルやストレスマネジメントに関するものも含めると効果的です
これにより、職場全体の風通しが良くなり、パワハラの発生を低減させることができます。

職場環境の整備と定期的な見直し

パワハラが発生しにくい職場環境を整備することも、重要な予防策です
たとえば、オープンなコミュニケーションが取れるような環境を作り、従業員同士が互いに尊重し合える文化をつくることが求められます。
また、職場内でのストレス要因を把握し、それに対処するための施策を講じることも効果的です。

さらに、これらの施策を定期的に見直し、改善を図ることで、パワハラの発生を予防し、従業員が安心して働ける環境を維持します。

まとめ

パワハラで従業員が労働基準監督署へ通報しても、労基署には介入する権限はありません。
しかし、そのまま放置すると、被害者からの損害賠償請求など訴訟へ発展するリスクがあります。

パワハラ問題が発生した際には、企業内で対応することはもちろん、必要に応じて専門家の意見を仰ぐことで、企業のリスクを最小限に抑えることができます。

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