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残業代請求に強い弁護士とは?会社側が依頼するメリットや選び方、費用を解説

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。イギリス(ロンドン)出身。
企業の価値を支える「人」に関する問題は、ひとたびトラブルに発展すれば、組織の生産性や社会的信用を大きく損なう要因となります。私はこれまで、都内の大規模法律事務所で企業法務の最前線に立ち、多くの法人様の法的課題に向き合ってまいりました。
使用者側の視点に立ち、単に法律を適用するだけでなく、現場の規律維持や企業の持続可能性を重視したアドバイスを心がけています。特に、労使間のトラブルにおいては、迅速かつ正確な初動対応がその後の結果を大きく左右します。
「人生は演劇。あなたが台本を書き、主役を演じ、スポットライトを浴びる。」という言葉を胸に、経営者の皆様が理想とする組織運営を実現できるよう、法務のプロフェッショナルとして最適な台本作成と舞台裏のサポートに尽力いたします。親身なヒアリングを通じて、共に最良の解決を目指しましょう。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

従業員から未払い残業代の請求を受け、タイムカードや勤怠データの法的精査と適正な交渉について弁護士へ相談している企業経営者のイメージ画像

この記事でわかること

  • 残業代請求を受けた会社が弁護士に相談すべき理由がわかる
  • 残業代請求に強い弁護士の選び方がわかる
  • 残業代請求を弁護士へ依頼した場合の費用相場がわかる

従業員から残業代請求を受けた場合は、自社を守るためにも、会社側の労働問題に強い弁護士へ速やかに相談・依頼し、法的な対応を検討することが重要です。請求された残業代をすべて支払わなければならないとは限らず、請求内容や証拠を精査すれば、会社側が適切に反論・主張できるケースもあります。

一方で、「とりあえず支払っておこう」「落ち着くまで様子を見よう」と自己判断することはおすすめできません。対応を誤ると、労働審判や訴訟へ発展するだけでなく、未払い残業代に加え、遅延損害金の発生や、悪質な未払いと判断された場合には労働基準法第114条に基づく付加金の支払いを命じられ、会社の負担が大きくなるおそれがあります。

この記事では、会社側が残業代請求について弁護士へ相談・依頼すべきケースやメリット、弁護士の選び方や費用相場を解説するとともに、会社側が不利になりやすいケースや、残業代請求を未然に防ぐためのポイントなどを、企業側の労務問題にくわしい弁護士がわかりやすく解説します。

目次

残業代請求は会社側も弁護士へ相談・依頼できる

従業員から残業代請求を受けた場合は、会社側も弁護士へ相談・依頼し、代理人として対応してもらうことができます。会社側の労働問題に詳しい弁護士へ依頼すれば、請求内容や証拠を法的観点から精査したうえで、会社にとって適切な対応方針を検討できます。

また、弁護士が代理人となることで、相手方との交渉や労働審判・訴訟への対応を一任できるため、経営者や人事担当者は本来の業務への影響を抑えながら対応を進めることが可能です。

ここでは、会社側が弁護士への相談・依頼を検討すべきケースについて解説します。

従業員から内容証明や弁護士通知が届いた場合

従業員本人や代理人弁護士から内容証明郵便や通知書が届いた場合は、自己判断で回答や支払いをせず、できるだけ早く弁護士へ相談しましょう。

内容証明郵便や弁護士名義の通知書は、労働審判や訴訟などの法的手続きを見据えて送付されているケースが少なくありません。この段階で会社が独自に対応すると、不利な発言をしてしまったり、本来争える点まで認めてしまったりするおそれがあります。

また、請求内容を十分に確認しないまま、未払い残業代の支払いを認めるような回答をしたり、一部の金額を支払ったりすると、民法第152条の「承認」に該当し、時効が更新される可能性があります。その結果、本来であれば時効を主張できた部分についても請求を受けるおそれがあるため、慎重な対応が必要です。

通知書を受け取った場合は、安易に回答や支払いをするのではなく、まずは会社側の労働問題に詳しい弁護士へ相談しましょう。弁護士であれば、請求内容や法的根拠を速やかに精査し、支払うべき金額と争うべき点を整理したうえで、会社にとって適切な対応方針を提案できます。

労働審判や訴訟を申し立てられた場合

労働審判や訴訟を申し立てられた場合は、期日までの準備期間が極めて短いため、速やかに弁護士を代理人として選任することが重要です。

特に労働審判は、原則として3回以内の期日で審理を終えることを目指す迅速な手続きであるため(労働審判法第15条)、第1回期日までの限られた期間で、会社側の主張を整理した答弁書や、勤怠記録・就業規則などの証拠を準備しなければなりません。準備が不十分なまま手続きへ臨むと、適切な反論や立証ができず、会社に不利な判断が下される可能性があります。

会社側の労働問題に精通した弁護士へ依頼すれば、答弁書などの書面作成や証拠整理、裁判所への対応まで一貫して任せられます。また、労働審判特有のスピード感を踏まえた対応が可能なため、会社側の主張を適切な形で裁判所へ伝えられます。

未払い残業代が高額になる可能性がある場合

請求額が高額であっても、時効や労働時間の計算誤りを指摘することで大幅に減額できる可能性があるため、弁護士による法的精査が不可欠です。

従業員から高額な残業代を請求されたとしても、その金額がそのまま認められるとは限りません。労働基準法第115条に基づく消滅時効が完成している部分が含まれていたり、労働時間の計算に誤りがあったりすることで、請求額を減額できる可能性があります。

また、手待ち時間や休憩時間など、本来は労働時間に当たらない時間まで含めて請求されているケースもあります。客観的な勤怠記録やPCログ、入退室記録などを基に実労働時間を正確に算定し直すことで、請求額を適正な水準まで引き下げられる場合も少なくありません。

弁護士へ依頼すれば、労働時間や勤怠記録などの証拠を法的観点から精査し、請求額の妥当性を判断したうえで、会社にとって適切な対応方針や減額交渉を進めることができます。

残業代請求を受けた会社が弁護士に相談すべき理由

残業代請求を放置すると、付加金による支払額の倍増や他従業員への波及など、経営を揺るがす重大な事態に発展するため直ちに弁護士へ相談するべきです。

ここでは、会社側が弁護士へ相談すべき主な理由について解説します。

未払い残業代に加えて遅延損害金や付加金が発生する可能性がある

残業代請求の支払額が2倍以上に跳ね上がる仕組み
未払い残業代には遅延損害金や付加金が加算される可能性があり、交渉や訴訟が不利に進むと最終的な支払額が元の2倍以上に膨れ上がるリスクがあります。

残業代請求が認められた場合、会社が支払うのは未払い残業代だけではありません。未払い残業代には遅延損害金が発生するほか、労働審判や訴訟へ発展した場合には、裁判所から未払い残業代と同額までの付加金の支払いを命じられる可能性があります(労働基準法第114条)。

また、退職した従業員に対する未払い賃金については、賃金の支払の確保等に関する法律第6条に基づき、年14.6%の遅延損害金が発生する場合があります。その結果、遅延損害金や付加金が加わることで、会社が負担する金額が当初の請求額を大きく上回るケースも少なくありません。

こうしたリスクを回避するためには、裁判所の判断が示される前に請求内容を法的に精査し、適切な条件で早期解決を図ることが重要です。会社側の労働問題に詳しい弁護士へ依頼すれば、請求内容の妥当性を検討したうえで、会社の状況に応じた適切な条件で交渉や和解を進められる可能性があります。

労働審判・訴訟対応に時間と労力を取られる

労働審判や訴訟に発展すると、答弁書の作成や証拠収集、裁判所への対応などに多くの時間と労力がかかるため、早い段階で弁護士へ依頼することが重要です。

労働審判は、原則として3回以内の期日で審理を終えることを目指す迅速な手続きです。そのため、第1回期日までに勤怠記録や就業規則などの証拠を収集・整理し、会社側の主張をまとめた答弁書を提出しなければなりません。

また、訴訟へ移行した場合には、解決まで1年以上かかることもあり、経営者や人事担当者は本来の業務と並行して対応を続ける必要があります。さらに、残業代請求が社内に広まると、他の従業員の不信感や同様の請求につながるおそれもあります。

会社側の労働問題に詳しい弁護士へ依頼すれば、書面作成や証拠整理、裁判所との対応を一任できるため、会社の業務への影響を抑えながら、迅速かつ適切な対応を進められます。

他の従業員からの請求に波及するリスクがある

一人の従業員からの残業代請求をきっかけに、他の従業員からも同様の請求を受ける可能性があります。会社全体の労務管理に問題がある場合は、経営へ大きな影響を及ぼすおそれがあるため、早期の対応が重要です。

残業代請求は、一人の従業員だけの問題で終わるとは限りません。長時間労働や固定残業代制度の運用、労働時間の管理方法などに共通した問題がある場合は、他の従業員からも同様の請求を受けるケースがあります。

また、一人の請求への対応が社内で前例となれば、他の従業員が権利行使を検討するきっかけとなることもあります。その結果、会社全体で多額の未払い残業代を請求されるリスクも否定できません。

会社側の労働問題に詳しい弁護士へ相談すれば、目の前の請求への対応だけでなく、就業規則や固定残業代制度、労働時間管理の見直しなど、同様のトラブルを防ぐための労務管理についてもアドバイスを受けられます。

企業イメージや採用活動に悪影響が出るおそれがある

残業代請求が労働審判や訴訟へ発展すると、企業の社会的信用や採用活動に影響を及ぼす可能性があります。トラブルが深刻化する前に適切な対応を取ることが重要です。

残業代請求が労働審判や訴訟へ発展すると、その事実がインターネットやSNSなどを通じて広まる可能性があります。その結果、取引先や求職者から労務管理に課題がある企業という印象を持たれ、採用活動や事業活動へ影響が及ぶおそれがあります。

また、労働問題への対応が長期化すると、社内外からの信頼が低下し、既存の従業員の士気や定着率に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、取引先からコンプライアンス体制に不安を持たれ、新規取引や契約更新に影響が生じるおそれもあります。

会社側の労働問題に詳しい弁護士へ相談すれば、法的リスクを踏まえた適切な対応方針を検討し、交渉や早期解決を通じて企業への影響を最小限に抑えられる可能性があります。

会社側が残業代請求を弁護士へ依頼するメリット

残業代請求を受けた場合は、会社側の労働問題に詳しい弁護士へ依頼することで、法的リスクを抑えながら、適切な対応を進められます。

請求内容の精査から交渉、労働審判・訴訟への対応まで一貫したサポートを受けられるほか、労務管理の改善や再発防止に関する助言を受けられる点も大きなメリットです。

ここでは、会社側が弁護士へ依頼する主なメリットを解説します。

請求内容の妥当性を法的に判断できる

従業員から請求された残業代が、そのまま認められるとは限りません。労働時間の計算方法や消滅時効の適用などを法的に精査することで、請求額を減額できる可能性があります。

残業代請求では、労働基準法第32条に定める労働時間の考え方や、労働基準法第115条に定める賃金請求権の消滅時効などが争点となることがあります。また、労働時間の計算方法に誤りがあるケースや、固定残業代制度の有効性、管理監督者に当たるかどうかなどが問題となることも少なくありません。

会社側の労働問題に詳しい弁護士へ依頼すれば、勤怠記録や雇用契約書、就業規則などの証拠を法的観点から精査し、請求内容の妥当性を判断したうえで、会社側に有利な主張や反論を行うことができます。

会社側の反論や証拠整理を任せられる

残業代請求では、会社側の主張を裏付ける客観的な証拠を適切に整理・提出することが重要です。主な証拠には、次のようなものがあります。

  • タイムカード・勤怠管理システムの記録
  • PCのログイン・ログオフ記録
  • 入退室記録
  • 業務に関するメールやチャットの履歴
  • 就業規則・賃金規程

これらの証拠は、労働時間や賃金の支払い状況、勤務条件などを客観的に示す重要な資料です。単に収集するだけでなく、法的な争点に沿って整理・提出しなければ、会社側の主張が十分に認められない可能性があります。

会社側の労働問題に詳しい弁護士へ依頼すれば、必要な証拠の収集・整理から、法的根拠に基づく反論や書面作成まで一貫して任せることができ、会社側に有利な主張を組み立てられます。

従業員や代理人との交渉を任せられる

残業代請求では、会社が従業員や代理人弁護士と直接交渉するよりも、弁護士を代理人とすることで、冷静かつ法的根拠に基づいた交渉を進められます。

残業代請求では、交渉中の発言や対応が、その後の労働審判や訴訟で証拠として扱われることがあります。そのため、経営者や人事担当者が自己判断で交渉すると、不利な発言をしてしまったり、感情的な対立から交渉が長期化したりするおそれがあります。

また、相手が現在または元従業員であるため、感情的な対立に発展すると、職場の人間関係や他の従業員へ悪影響が及ぶおそれもあります。

会社側の労働問題に詳しい弁護士へ依頼すれば、会社に代わって従業員や代理人弁護士との交渉を行い、法的根拠に基づいて会社側の主張を適切に伝えることができます。会社にとって有利な条件での和解を目指せるほか、経営者や人事担当者が交渉対応に時間を取られることもありません。

労働審判・訴訟まで一貫して対応できる

交渉で解決できなかった場合でも、弁護士へ依頼していれば、労働審判や訴訟まで一貫したサポートを受けられます。

労働審判や訴訟では、答弁書などの書面作成や証拠の提出、裁判所での主張・立証など、専門的な対応が求められます。特に労働審判は短期間で審理が進むため、早い段階で会社側の主張や証拠を整理しておくことが重要です。

また、就業規則や賃金規程、勤怠記録などを法的な観点から分析し、会社側に有利となる事実を整理・立証するには専門的な知識や実務経験が必要です。そのため、会社だけで対応すると、必要な主張や証拠を十分に提出できず、不利な判断につながるおそれがあります。

また、交渉段階から対応している弁護士であれば、これまでの経緯や証拠、会社側の主張を十分に把握しているため、労働審判や訴訟へ移行した場合でも、改めて事情を説明したり証拠を整理し直したりする負担を抑えながら、スムーズに対応できます

会社側の労働問題に詳しい弁護士へ依頼すれば、交渉から労働審判・訴訟まで一貫した対応を任せられるため、会社側の負担を軽減しながら、適切な解決を目指すことができます。

残業代請求に強い弁護士の選び方

残業代請求への対応では、会社側の労働問題に精通した弁護士を選ぶことが重要です。弁護士の経験や対応力によって、交渉や労働審判・訴訟の結果が左右されることがあります。

ここでは、会社側が残業代請求に強い弁護士を選ぶ際のポイントを解説します。

使用者側(会社側)の労働問題を多く扱っている

残業代請求への対応では、会社側(使用者側)の労働問題を数多く取り扱っている弁護士を選ぶことが重要です。会社側特有の法的リスクや経営上の課題を踏まえた対応を期待できます

労働問題を取り扱う弁護士の中には、労働者側の代理を中心に活動している弁護士もいます。一方、会社側の案件では、未払い残業代への対応だけでなく、労務管理や事業への影響も考慮した解決が求められるため、使用者側の実務経験が重要になります。

会社側の労働問題を数多く取り扱っている弁護士であれば、請求内容の精査や交渉、労働審判・訴訟への対応はもちろん、再発防止に向けた労務管理の改善まで見据えたアドバイスを受けることができます。

依頼する際は、法律事務所のホームページなどで、企業法務や使用者側労務の取扱実績、解決事例などを確認するとよいでしょう。また、企業側の労働問題に特化した専門サイトを運営している法律事務所であれば、会社側案件への注力状況や情報発信の充実度を判断する一つの目安になります。

残業代請求の解決実績が豊富である

残業代請求には労働時間の認定や固定残業代制度、管理監督者性など特有の争点があるため、解決実績が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。

残業代請求では、労働基準法や裁判例を踏まえ、労働時間の該当性や固定残業代制度の有効性、管理監督者に該当するかどうかなどが争点となることがあります。そのため、残業代請求の対応経験が少ない弁護士では、会社側にとって適切な主張や反論が十分に行えない可能性があります。

残業代請求の解決実績が豊富な弁護士であれば、これまでの対応経験や裁判例を踏まえながら、会社の状況に応じた解決方針を提案し、交渉から労働審判・訴訟まで適切に対応できます。

依頼する際は、法律事務所のホームページで、残業代請求に関する解決事例や取扱分野、企業向けの労働問題の実績などを確認するとよいでしょう。

交渉・労働審判・訴訟に対応できる

残業代請求は交渉だけで解決するとは限らないため、労働審判や訴訟まで一貫して対応できる弁護士を選ぶことが重要です。

残業代請求では、交渉で合意に至らなければ、労働審判や訴訟へ移行することがあります。そのため、初期の交渉段階から裁判手続まで見据えて対応できる弁護士であれば、状況に応じた適切な戦略を立てながら手続きを進めることができます。

また、途中で代理人を変更すると、これまでの経緯や証拠を改めて説明・整理する必要が生じ、時間や労力がかかる場合があります。一方、交渉段階から継続して対応している弁護士であれば、会社側の主張や証拠を十分に把握しているため、労働審判や訴訟へ移行した場合でもスムーズに対応できます。

なお、顧問契約がない場合でも依頼は可能ですが、継続的に労働問題が発生する可能性がある企業では、顧問契約を検討することも有効な選択肢です。

費用体系が明確である

弁護士へ依頼する際は、費用の安さだけで判断するのではなく、料金体系が明確で、事前に十分な説明を受けられる法律事務所を選ぶことが重要です。

弁護士費用は、法律相談料や着手金、成功報酬、実費などで構成されることが一般的です。事務所によって料金体系は異なるため、どのような費用が発生するのか、追加費用が生じる場合はどのようなケースなのかを事前に確認しておきましょう。

また、費用だけでなく、委任契約の範囲や交渉・労働審判・訴訟まで対応してもらえるかについても確認しておくことが大切です。

費用体系や委任内容について丁寧に説明してくれる法律事務所であれば、安心して依頼できるだけでなく、後から費用面でトラブルになるリスクも抑えられます。

残業代請求を弁護士へ依頼した場合の費用相場

弁護士へ依頼する際の費用は、法律事務所や案件の内容によって異なります。また、交渉のみで解決する場合と、労働審判や訴訟まで対応する場合では費用も変わります。

たとえば、企業側の労務問題に強いVSG弁護士法人では、残業代請求への対応について以下の料金体系を採用しています。

項目費用(税別)内容
法律相談料30分5,000円・30分超過ごとに5,000円加算
・案件によっては初回30分無料
・事件を受任した場合は初回相談料が着手金から差し引かれ、実質無料
紛争前の対応1時間3万円就業規則・社内規程の整備、労務相談、労働基準監督署への対応など
紛争後の対応
着手金労働者との交渉30万円~弁護士が代理人として示談交渉を行う場合
示談交渉+関係機関対応40万円~示談交渉に加え、関係機関への対応を含む場合
団体交渉30万円~労働組合との団体交渉に対応する場合
労働審判60万円~労働審判の代理人として対応する場合
保全手続30万円~仮処分などの保全手続に対応する場合
通常訴訟(第一審)50万円~5期日までを含む。6期日以降は1期日ごとに3万円を加算
民事調停・個別労働紛争あっせん40万円~民事調停や個別労働紛争あっせんに対応する場合
不当労働行為救済申立事件個別見積もり案件内容に応じて見積もり
報酬金案件に応じて変動【金銭請求を阻止した場合】
請求額に応じて算定
【地位確認請求を阻止した場合】
30~40万円
【和解による解決】
30万円
事務手数料交渉:1万円
労働審判・訴訟:3万5,000円
着手金・報酬金とは別に発生する手数料

上記はあくまでVSG弁護士法人の料金体系の一例です。実際の費用は、請求額や争点の多さ、手続きの内容などによって異なります。

残業代請求で会社側が不利になりやすいケース

タイムカードなどの勤怠記録が整備されていない場合や、名ばかり管理職、固定残業代制度の運用に問題がある場合など、客観的な証拠や法的要件を欠いているケースでは、会社側が不利な判断を受ける可能性が高くなります。

ここでは、残業代請求で会社側が不利になりやすい代表的なケースを解説します。

客観的な勤怠記録や証拠が不足している

タイムカードや勤怠管理システムの記録など、労働時間を裏付ける客観的な証拠が不足している場合、会社側が不利な判断を受ける可能性が高くなります。

残業代請求では、「実際に何時間働いたのか」が重要な争点となります。裁判所や労働審判では、タイムカードや勤怠管理システムの記録、PCログ、入退室記録などの客観的な証拠を重視して労働時間を判断するのが原則です。

そのため、会社がこれらの記録を適切に管理していない場合は、労働時間を客観的に立証することが難しくなります。その結果、従業員が提出した勤務メモやメール、チャットの履歴などの証拠をもとに労働時間が認定され、会社側に不利な判断が下される可能性があります。

管理職として扱っていた従業員が「名ばかり管理職」と判断される

労働基準法上の管理監督者の3大要件を示す図解。①経営への関与(重要な意思決定)、②勤務の裁量(出退勤の自由)、③十分な待遇(見合う基本給・手当)の3つすべてを満たさない場合、「名ばかり管理職」と認定され過去に遡って未払い残業代が発生するリスクを解説
役職手当を支給しているだけでは、法律上の「管理監督者」には該当しません。労働基準法上の要件を満たさなければ、「名ばかり管理職」と判断され、残業代の支払い義務が生じる可能性があります。

労働基準法第41条第2号の「管理監督者」に該当するためには、単に管理職という肩書があるだけでは足りません。一般的には、次のような要件を総合的に満たしているかが判断されます。

①経営に関する重要な権限や意思決定に関与していること
②出退勤や労働時間について大きな裁量が認められていること
③管理職としての責任に見合う十分な賃金や役職手当などの待遇を受けていること
参照:[27] 労基法 41 条 2 号の管理監督者の該当性 |厚生労働省

これらの要件を満たしていない場合は、「名ばかり管理職」と判断され、会社側に残業代の支払いが命じられる可能性があります。裁判所は、役職名ではなく、実際の権限や勤務実態、待遇などを総合的に考慮して判断するため、会社の認識だけで管理監督者性が認められるわけではありません。

固定残業代制度の運用に不備がある

固定残業代制度が無効化された場合の二重払いリスク図解。適法な場合と無効な場合を比較し、手当が基本給とみなされることで基礎時給が急上昇し、引き上げられた時給で過去の全残業代を再計算・二重払いさせられる落とし穴を説明
固定残業代が基本給と明確に区分されていないなど、制度の運用に不備がある場合は、固定残業代制度自体が無効と判断され、多額の未払い残業代を支払わなければならない可能性があります。

固定残業代制度を導入していても、適法に運用されていなければ有効とは認められません。裁判例の傾向を見る限り、固定残業代制度が有効と認められるためには、次の3つの要件を満たす必要があると考えられています。

①明確区分性
基本給と固定残業代が明確に区分されていること
②対価性
固定残業代が時間外労働などの対価として支払われていることが明確であること
③差額支払の規定・実態
固定残業時間を超える残業が発生した場合に、その差額を支払う仕組みと実際の運用があること

これらの要件を満たさず、固定残業代制度が無効と判断された場合には、それまで固定残業代として支払っていた金額が基本給の一部として評価されることがあります。その結果、残業代の算定基礎となる賃金(基礎時給)が上がり、未払い残業代がさらに高額になる可能性があります。

残業禁止命令を出していても黙示の残業指示があったと判断された場合

口頭や就業規則で残業を禁止していても、過大な業務量を与えたり、残業を黙認したりしている場合は、「黙示の残業指示」があったと判断され、残業代の支払い義務が生じる可能性があります。

会社が「残業は禁止」と指示していても、それだけで残業代の支払い義務を免れるとは限りません。裁判例では、形式的な残業禁止命令よりも、実際の勤務実態を重視して判断されます。

たとえば、次のような事情がある場合は、黙示の残業指示が認められる可能性があります。

  • 所定労働時間内では終わらない業務量を与えていた
  • 管理者が残業を把握しながら黙認していた
  • 残業による成果を会社が受け入れていた

このような場合には、会社が残業を禁止していたとしても、残業代の支払い義務を免れない可能性があります。

手待ち時間や朝礼などを労働時間として扱っていない

会社が労働時間ではないと考えていても、使用者の指揮命令下に置かれている時間は労働時間と判断され、未払い残業代が発生する可能性があります。

労働時間とは、労働基準法上、使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。そのため、会社の運用や認識だけで労働時間かどうかが決まるわけではなく、実際の勤務実態に基づいて判断されます。

たとえば、次のような時間は労働時間と認められる可能性があります。

  • 業務開始前の朝礼や清掃
  • 制服や作業着への着替え
  • 機械やパソコンの立ち上げ作業
  • 業務開始前の準備作業
  • 指示があればすぐに業務へ対応しなければならない手待ち時間

これらの時間を労働時間として適切に管理していない場合は、会社が想定していなかった未払い残業代を請求されるおそれがあります。

今後の残業代請求を防ぐために会社ができること

今後の残業代請求を防ぐためには、労働時間を適切に把握・管理するとともに、就業規則や社内制度を法令に沿って運用し、必要に応じて弁護士などの専門家による定期的なチェックを受けることが重要です。

ここでは、残業代請求を未然に防ぐために会社が取り組むべきポイントを解説します。

労働時間を適切に管理する

残業代請求を防ぐためには、労働時間を客観的に把握・管理することが不可欠です。適切な勤怠管理は、未払い残業代の発生を防ぐだけでなく、万が一紛争になった場合の重要な証拠にもなります。

労働安全衛生法第66条の8の3では、事業者に労働時間の状況を適切に把握することが求められています。そのため、労働時間は従業員の自己申告だけに頼るのではなく、客観的な方法で管理することが重要です。

たとえば、次のような方法を組み合わせて管理するとよいでしょう。

  • タイムカードや勤怠管理システムの記録
  • PCのログイン・ログオフ記録
  • ICカードなどによる入退室記録
  • 業務日報やメール・チャットの送受信履歴

また、サービス残業や打刻漏れがないかを定期的に確認し、実際の勤務実態と勤怠記録に乖離が生じていないかを点検することも重要です。制度を導入するだけでなく、実際に適切に運用されていることが、裁判所や労働審判でも重視されます。

固定残業代制度や就業規則を見直す

固定残業代制度や就業規則は、一度整備すれば終わりではありません。法改正や裁判例を踏まえて定期的に見直し、実際の運用と一致させることが、残業代請求の予防につながります。

固定残業代制度を導入している場合は、最高裁判例が求める要件を満たしているかを定期的に確認することが重要です。具体的には、基本給と固定残業代が明確に区分されていること(明確区分性)、固定残業代が時間外労働などの対価として支払われていること(対価性)、固定残業時間を超えた場合の差額を支払う旨が就業規則や雇用契約書に定められ、実際にもそのとおり運用されていることが求められます。

また、就業規則についても、労働基準法などの法令や最新の裁判例を踏まえ、現在の労務管理の実態に合った内容となっているかを定期的に確認しましょう。制度だけを整備していても、実際の運用が異なれば、裁判所や労働審判では勤務実態を重視して判断される可能性があります。

管理監督者の扱いを見直す

管理監督者に該当するかどうかは、人事異動や組織改編などによって変わることがあります。一度判断したままにせず、定期的に運用状況を見直すことが重要です。

原則として時間外・休日労働に対する残業代を支払う必要がない「管理監督者(労働基準法第41条第2号)」に該当するかどうかは、肩書ではなく、実際の職務内容や権限、勤務実態などを踏まえて判断されます。そのため、組織変更や役職変更によって業務内容が変わった場合には、これまでの運用が適切とはいえなくなることもあります。

管理監督者として扱っている従業員については、実際の業務内容や権限、待遇が現在の運用と一致しているかを定期的に確認し、必要に応じて人事制度や就業規則を見直すことが、将来の残業代請求を防ぐことにつながります。

残業の事前許可制を適切に運用する

残業の事前許可制を導入していても、それだけで残業代の支払い義務がなくなるわけではありません。制度を実際の運用と一致させることが重要です。

残業の事前許可制を導入していても、無許可残業を日常的に放置していると、裁判所や労働審判で制度が形骸化していると判断される可能性があります。また、管理者が無許可残業を把握しながら改善措置を講じていない場合は、会社が残業を容認していたと評価され、無許可残業についても残業代の支払い義務が生じるおそれがあります。

そのため、残業が必要な場合は事前申請・承認を徹底するとともに、無許可残業が発生した場合には、その原因を確認したうえで是正指導を行い、指導内容を記録として残すことが重要です。

管理職への労務教育を行う

管理職の労務管理に対する理解不足は、会社全体の法的リスクにつながります。管理職への継続的な労務教育を行い、現場で適切な労務管理を徹底することが重要です。

労働基準法では、時間外労働や労働時間の管理に関するルールが定められています。しかし、管理職が法令や社内ルールを十分に理解していないと、サービス残業を黙認したり、残業申請を認めないまま業務だけを指示したりするなど、不適切な運用が生じるおそれがあります。

そのため、管理職に対しては、労働時間の管理方法や残業命令・事前申請のルール、労働基準法の基本的な知識について定期的な研修を実施するとともに、管理職向けの労務マニュアルを整備し、長時間労働や無許可残業が発生した場合の対応方法を周知することが重要です。

また、労務担当者や顧問弁護士などの専門家が運用状況を定期的に確認し、問題点があれば改善する体制を整えることで、労務管理の質を維持しやすくなります。

制度を整備していても、現場で適切に運用されていなければ、裁判所や労働審判では勤務実態をもとに判断される可能性があります。

顧問弁護士へ定期的に相談する

残業代請求を未然に防ぐためには、問題が発生してから相談するのではなく、顧問弁護士へ定期的に相談し、労務管理体制を継続的に見直すことが重要です。

労働基準法をはじめとする労働関係法令は、法改正や裁判例の積み重ねによって解釈や実務上の注意点が変化することがあります。そのため、一度就業規則や労務管理体制を整備したとしても、その内容が現在の法令や実務に適合しているとは限りません。

顧問弁護士がいれば、就業規則や固定残業代制度の見直し、労働時間管理の方法などについて継続的なアドバイスを受けられるほか、労務管理上の問題点を早期に発見し、残業代請求につながるリスクを未然に防ぐことができます

また、万が一従業員から残業代請求を受けた場合でも、会社の状況を把握している顧問弁護士であれば、初動から迅速かつ適切な対応を行いやすく、トラブルの拡大を防ぐことにもつながります。

労務トラブルは、発生後に対応するよりも、発生前に予防する方が企業の負担を大きく軽減できます。継続的な法的サポートを受けられる体制を整えておくことが、会社を守るための有効な対策といえるでしょう。

【裁判例】ヴィドウ事件「東京地裁令和6年9月17日判決(労働判例1340号80頁)」

東京地裁令和6年9月17日判決(ヴィドウ事件)の教訓を示す図解。始業前のトレーニング指導やシフト表の公休記載が無効と判断され約630万円の支払命令が下された流れと他業種での注意点を解説
ここでは、残業代に関する最新の裁判例を紹介します。

ヴィドウ事件「東京地裁令和6年9月17日判決(労働判例1340号80頁)

事案の概要
  • 本件は、パーソナルジムを運営する会社に勤務していたトレーナーが、始業前の業務や休日労働に対する未払い残業代などを請求した事案です。
  • 会社は、始業時刻前に顧客対応が行われることを把握していたほか、日曜日に勤務した従業員について、シフト表に「公休」と記載することで振替休日として取り扱い、休日労働割増賃金を支払っていませんでした。
争点
  • 始業時刻前に行ったトレーニング指導が労働時間に当たるか。
  • シフト表に「公休」と記載した運用が、適法な振替休日として認められるか。
裁判所の判断
  • 会社が始業前の予約を把握・容認し、代表者自身も始業前に顧客対応を行っていたことから、始業前のトレーニング指導は会社の指揮命令下で行われた労働時間に当たる。
  • 振替休日については、シフト表に「公休」と記載されているだけでは、どの休日をどの日へ振り替えたのかが明らかではなく、労働者への事前通知も十分ではないため適法な休日の振替は成立していない。

会社には未払い残業代約630万円に加え、遅延損害金や労働基準法第114条に基づく付加金の支払いが命じられました。

ポイント
この判例は、会社が把握・容認していた始業前の業務は労働時間と判断される可能性があること、シフト表に「公休」と記載するだけでは適法な振替休日とは認められないことを示した重要な事例です。

労働基準法の各規程および厚生労働省の行政通達によると、適法に振替休日を運用し、休日労働割増賃金の支払いを不要とするためには、①就業規則などに振替休日に関する定めがあること、②振替日を事前に特定すること、③その内容を事前に労働者へ通知すること、④同一週内で休日を振り替えることが必要とされています。

会社としては、始業前業務を行わせる場合は労働時間として適切に管理するとともに、振替休日についても制度を設けるだけでなく、法令に沿って適切に運用することが、未払い残業代請求を防ぐうえで重要といえます。

残業代請求と弁護士についてよくある質問(Q&A)

残業代請求は弁護士に依頼されたら会社は必ず支払わなければならない?

いいえ、弁護士から残業代請求を受けたとしても、会社が必ず支払わなければならないわけではありません。請求内容に法的根拠があるかどうかを精査し、適切に反論できるケースもあります。

請求された残業代が法的に認められるかどうかは、労働時間の実態や勤怠記録、固定残業代制度の有効性、管理監督者への該当性など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。

そのため、弁護士から通知が届いた場合でも、すぐに請求を認めるのではなく、会社側の労働問題に詳しい弁護士へ相談し、請求内容を確認することが大切です。

従業員から残業代請求を受けたら、いつ弁護士に相談すべき?

残業代請求を受けた場合は、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。初動対応が、その後の交渉や労働審判・訴訟の結果を左右することがあります。

特に、内容証明郵便や弁護士名義の通知書が届いた場合や、労働審判・訴訟を申し立てられた場合は、速やかに弁護士へ相談しましょう。

初動対応によって、その後の交渉や労働審判・訴訟の進め方が大きく変わることがあります。

顧問契約を結んでいなくても弁護士に依頼できますか?

はい、顧問契約を結んでいなくても、残業代請求について弁護士へ相談・依頼することは可能です。必要な案件だけスポットで依頼できる法律事務所も多くあります。

多くの法律事務所では、残業代請求など個別の案件についてスポットで相談・依頼することが可能です。

継続的な労務相談を希望する場合は顧問契約を検討する方法もありますが、まずは現在のトラブルについて相談したいという場合でも問題ありません。

退職した従業員からも残業代を請求されることはありますか?

はい、退職した従業員からであっても、残業代を請求されることがあります。労働基準法第115条で定められた消滅時効が完成していなければ、退職後でも請求を受ける可能性があります。

残業代請求権には消滅時効があり、労働基準法第115条に基づき、2020年4月1日以降に発生した賃金請求権(残業代請求権を含む)の消滅時効期間は3年間です。

そのため、退職後であっても、時効が完成していない残業代については、内容証明郵便や労働審判、訴訟などによって請求される可能性があります。

まとめ|残業代請求を受けたら早めに弁護士へ相談を

従業員から残業代請求を受けた場合は、自己判断で対応せず、会社側(使用者側)の労働問題に特化した弁護士へ速やかに相談することが、自社を守るための最善の対応です。

残業代請求は、請求された金額をそのまま支払わなければならないとは限りません。しかし、対応を誤ると、未払い残業代に加えて、賃金の支払の確保等に関する法律第6条に基づく遅延損害金や、労働基準法第114条に基づく付加金の支払いを命じられる可能性があり、会社の負担が大きくなるおそれがあります。

また、内容証明郵便や弁護士からの通知を安易に受け入れたり、独自の判断で回答したりすると、その後の交渉や労働審判、訴訟で会社に不利な結果を招くこともあります。

会社側の労働問題に詳しい弁護士であれば、請求内容の法的な精査から交渉、労働審判・訴訟への対応、さらには再発防止のための労務管理体制の見直しまで、一貫したサポートを受けることができます。手遅れになる前に専門家へ相談し、会社を守るための適切な防衛策を講じることが重要です。

VSG弁護士法人」では、企業側の労働問題に関する豊富な実績をもとに、残業代請求への対応から労働審判・訴訟、再発防止のための労務管理まで幅広くサポートしています。従業員から残業代請求を受けてお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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