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弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所 > コラム > 労働法全般 > 高年齢者雇用安定法とは?改正内容や企業がすべき対応を解説

高年齢者雇用安定法とは?改正内容や企業がすべき対応を解説

この記事でわかること

  • 高年齢者雇用安定法の概要
  • 高年齢者雇用安定法の改正で企業が行うべき対応
  • 高年齢者雇用に活用できる助成金

高年齢者雇用安定法は、少子高齢化に伴う労働力不足を背景に作られた法律です。

企業には高年齢者の雇用確保措置が義務付けられ、2021年の改正では、企業の行うべき対応も変わりました。
国も高年齢者の雇用環境整備を行う企業に対し、助成金を出し、対応を後押ししています。

今回は、高年齢者雇用安定法の概要や企業が行うべき対応、助成金について詳しく解説します。

高年齢者雇用安定法とは

高年齢者雇用安定法とは、高年齢者が働く意欲を持つ限り、働ける環境を整備することを定めた法律です。
少子高齢化の急激な加速や企業の人手不足など、社会情勢の変化を受けて改正を重ねてきました。

働き手である労働者側でも60代以降も働き続けることを希望する者は増えており、まさに時代に合った雇用環境を整えるための法律です。

企業は法令により、定年の引き上げや廃止、継続雇用制度の導入などの措置をとり、高年齢者の雇用を確保する義務があります。

高年齢者雇用安定法の改正内容

2021年に、高年齢者雇用安定法が改正されました。

改正前は定年年齢を60歳未満に設定することの禁止、65歳までの雇用確保義務が定められており、改正後も措置を講じる必要があります。

改正前より義務となっている、65歳までの雇用確保措置は次の3つです。

  • 65歳まで定年年齢を引き上げる
  • 65歳までの継続雇用制度を導入する
  • 定年の定めを廃止

ここでは2021年の改正内容と、対象事業主の範囲について、それぞれ詳しく解説をします。

2021年(令和3年)改正により70歳までの就業機会確保が努力義務に

2021年の改正で、企業は働くことを希望する労働者に対し、65歳から70歳までの就業確保措置を講じることが努力義務となりました。

あくまでも努力義務ですので、対応を取らなかったことで法違反や労基署からの指導対象となることはありません。
しかし、職場内の労働者から希望がある場合は、積極的に取組む姿勢を持つことが求められます。

措置を講じる対象事業主は、定年を65歳以上70歳未満に定めている、あるいは雇用継続制度の上限を65歳までに設定している事業主です。
つまり、65歳以降に労働者が働くための雇用環境整備がされていない企業とも言えます。

対象事業主が取るべき就業確保措置の内容は、次の通りです。

  • 70歳まで定年年齢を引き上げる
  • 70歳までの継続雇用制度を導入する
  • 定年の定めを廃止
  • 創業支援等措置を講じる

なお、70歳までの継続雇用制度を導入する方法は、他の事業主による雇用も含みます。

このうち「創業支援等措置」とは、今回の改正による新設部分です。
続いて詳しく解説します。

創業支援等措置が新設された

「創業支援等措置」は、高年齢者就業確保措置のひとつです。

65歳までの雇用確保義務は雇用を前提としていますが、65歳以降70歳未満の就業確保措置では、雇用に限定されない方法が示されています。
具体的には、70歳まで継続的に活用できる、以下の制度の導入です。

  • 業務委託契約の締結
  • 事業主が実施、委託あるいは出資する社会貢献事業への従事

たとえば、業務委託契約では、労働者は出退勤の時刻などに捉われない働き方が可能となり、自分に合ったペースで仕事ができます。

企業にとっても、経験豊富な高年齢者の技術技量を長く活用できることはメリットと言えるでしょう。

2025年(令和7年)3月に継続雇用制度における経過措置が終了する

65歳までの継続雇用制度では、一定の要件を満たし、かつ労使協定の締結を条件に、対象労働者を限定する基準の設定が認められていました。
2025年3月にこれに関する経過措置が終了し、その後は希望するすべての者が継続雇用制度を利用できることになります。

現在、継続雇用制度の経過措置を取っている企業では、2025年3月以降からは適用されないことに注意しなければなりません。

高年齢者雇用安定法の改正にあたり企業がすべき4つの対応

ここからは、高年齢者雇用安定法の2021年の改正に基づき、企業が行う対応について紹介します。

就業確保措置を労使で検討する

65歳以上70歳未満の就業確保措置を検討するときは、労働者が65歳以降にどのような働き方を希望しているかの意見聴取を行いましょう
その上で、労使双方で講じる措置を協議することが推奨されます。

ひとつの措置に限定せず、労働者の希望に応じて、複数の措置を講じることも可能です。

労使双方で協議を行うことで、同意も得やすくなり、お互いに納得のある制度の構築が期待できるでしょう。

現行の就業規則や雇用契約の見直し

企業の現行の就業規則や雇用契約の見直しは必須です。

2025年3月終了の経過措置に該当していないか、法律の下限を満たしているかを改めて確認しましょう。
改定や雇用契約の再締結が必要かどうかを判断します。

特に、継続雇用制度を導入している場合、就業規則上の決まりが重要です。

労働者が継続雇用制度を希望した場合、企業は原則受け入れなければなりませんが、就業規則に定める退職事由や解雇事由に該当する場合、継続雇用しないことが認められます。
就業規則に定めがあることが前提となりますので、必要があれば改訂を検討しましょう。

また、就業規則の変更は、常時10人以上の労働者を雇用する事業場の場合、事業所所在地を管轄する労働基準監督署へ提出をしなければなりません。
変更届を提出していない就業規則は無効になるので、必ず提出しましょう。

賃金設定などの見直し

60歳以降も働く高年齢者に適用される賃金設定などの見直しを行いましょう。

特に継続雇用制度を導入する場合は、再雇用後の賃金を再設定するケースが多くあります。
日本の企業では、再雇用後に現役時代よりも賃金が引き下げられることが特徴です。
場合によっては、高年齢者の働くモチベーションを下げてしまう恐れがあります。

企業の実態に即した内容を検討することが重要ですが、高年齢者が働く意欲を持ちやすい賃金制度を構築することで、継続雇用制度への前向きな効果が期待できます。

高年齢者の働きやすい環境整備

企業の業態や職種に合わせて、高年齢者が働きやすい環境整備の検討をしましょう。

問題点や具体的な対策はそれぞれの事業により異なりますので、労働者が就労に対して抱える不安を聞き取ることが重要です。

一般的には、高年齢者は身体機能の低下による健康被害や労働災害の不安を持つことが多くあります。
暗所作業や段差の多い職場環境では、転倒による労災が起きやすくなります。
照明の増設や照度の調整、職場内のバリアフリーや美化などの対応を検討しましょう。

また、高年齢者の中にはパソコンなどの機械機器を使用した業務に苦手意識を持つ人が多いことも特徴です。

慣れない機械を使用する業務でも、働きやすいように教育や研修を行うなど、高年齢者にとって働きやすい環境を総合的に整備する視点を持ちましょう。

高年齢者雇用に活用できる助成金

高年齢者雇用環境改善に取り組む活動に対して、国の助成金を申請することができます。

ここでは、高年齢者の雇用に関する助成金について紹介をします。

65歳超雇用推進助成金

「65歳超雇用推進助成金」は、65歳を超える雇用を推進する事業に対する助成金で、以下の3つのコースに分かれます。

65歳超継続雇用促進コース

65歳以上への定年の引上げ、定年の廃止、希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入等を行った事業主が対象です。
取り組みの内容や制度を利用した労働者の数に応じて、対象労働者一人につき、10万円から160万円が助成されます。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高年齢者の活用促進のため、賃金規定や人事評価制度などの改定により、雇用管理を改善した事業主が対象です。
規定や評価制度の改定や雇用管理にかかった費用の45%から60%が助成されます。

高年齢者無期雇用転換コース

50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用労働者に転換させた事業主に対して、23万円から30万円が助成されます。

高年齢労働者処遇改善促進助成金

60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇改善に取り組む事業主が対象の助成金です。
就業規則等を作成または改定し、高年齢労働者に適用される賃金規定等の増額に取り組むことで、一定額が助成されます。

まとめ

高年齢者雇用安定法は、いつまでも働きたいという労働者の希望と、人手不足に悩む企業双方のニーズに合った法律です。
高年齢者の働きやすい環境を整えることで、企業の経営上の問題解決と、労働者の充実した人生設計への効果が期待できます。

また、企業が積極的に取り組むことで、高年齢者だけでなく今の現役世代にとっても、その企業で長く働き続ける前向きな理由になるでしょう。

企業に合った取り組みを労使で協議し、助成金を活用しながら、積極的に取組んでいきましょう。

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