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逆パワハラとは?事例から対処法まで弁護士がわかりやすく解説

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県上越市出身。
労働問題は、一歩対応を誤れば損害賠償だけでなく、企業の信用失墜や従業員の士気低下、ひいては経営基盤を揺るがす重大なリスクとなります。
私は、野村證券をはじめとする金融機関で10年以上にわたり、リテール営業からコンサルティング、金融庁との折衝やリスク管理まで、多方面の業務に従事してまいりました。これらの経験から、企業の数字と法務は密接にリンクしており、労働問題を「点」ではなく「経営の一部」として捉えることの重要性を痛感しております。
経営者側の立場に立ち、財務分析や資金調達の観点も含めた戦略的なアドバイスを行うことが私の強みです。単に紛争を解決するだけでなく、組織の持続的な発展を見据えた強固なガバナンス構築のお手伝いをいたします。経営者の皆様の良き相談相手として、誠実かつ論理的にサポートさせていただきます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/

この記事でわかること

  • 逆パワハラに該当する事例がわかる
  • 逆パワハラかどうかの判断基準がわかる
  • 企業が逆パワハラに適切に対処するためのポイントがわかる

職場におけるハラスメントというと、一般的には上司から部下への言動が問題となるケースをイメージする方が多いでしょう。

しかし近年では、部下が上司に対して不当な言動を行う「逆パワハラ」も問題視されています。注意や指導に対して過剰に反発したり、業務命令を拒否したりするなど、適切な指導が困難になるケースも少なくありません。

もっとも、「どこまでが正当な意見表明で、どこからが逆パワハラに当たるのか」が分かりにくく、対応に悩む企業や管理職も多いのが実情です。対応を誤ると、逆に上司側がパワハラと評価されるリスクもあるため、慎重な判断が求められます。

本記事では、逆パワハラの基本的な考え方や具体的な事例、判断基準を整理したうえで、企業がとるべき適切な対処法について弁護士がわかりやすく解説します。

目次

逆パワハラとは?

逆パワハラとは、部下が上司に対して優位な立場を利用し、不当な言動によって就業環境を害するハラスメントをいいます。

一般的には上司から部下へのパワーハラスメントが問題となりますが、実際の職場では、知識・経験の差や人数の力関係などにより、部下が上司に対して優位に立つ場面もあります。

このような場合に、部下の言動が行き過ぎると、上司が被害者となる逆パワハラが成立する可能性があります。

逆パワハラが成立する要件

逆パワハラは、部下が上司に対して優位な立場を背景に不当な言動を行い、その結果として職場環境に悪影響が生じた場合に成立します。

厚生労働省によると、職場におけるパワーハラスメントが成立するためには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

【要件①】優越的な関係を背景とした言動
部下が上司よりも実質的に優位に立っており、上司が抵抗・拒絶しにくい状況にあることが必要です。たとえば、業務に不可欠な専門知識を部下が握っている場合や、複数の部下が集団で上司に対して行動する場合などがこれに当たります。形式的な役職ではなく、実質的な力関係が重視されます。
【要件②】業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
社会通念上、明らかに業務上の必要性がない、または方法・態様が行き過ぎている言動であることが求められます。たとえば、業務に必要な情報を意図的に教えない、過度に反抗的な態度を取り続けるといった行為は、この要件に該当する可能性があります。
【要件③】就業環境が害されること
その結果、上司の業務遂行に重大な支障が生じたり、精神的な負担により休職に至るなど、就業上看過できない影響が出ていることが必要です。単なる不快感にとどまらず、能力の発揮に重大な悪影響が及んでいるかがポイントとなります。

このように、逆パワハラに当たるかどうかは、単なる意見の対立ではなく、3つの要件を満たすかどうかを踏まえて総合的に判断することが重要です。

逆パワハラに該当する事例・具体例|逆パワハラかどうかの判断基準は?

厚生労働省が示すパワハラ6類型(精神的攻撃・過大な要求・人間関係からの切り離しなど)を踏まえると、部下から上司への行為でも同様に問題となる場面があります。

ここでは、典型的な事例ごとに「逆パワハラになるケース」と「ならないケース」の判断ポイントを整理します。

注意・指導に対して「パワハラだ」と過剰に反発するケース

上司が適切な業務指示や指導を行っているにもかかわらず、複数の部下が「パワハラだ」「訴えるぞ」などと過剰に反発し、指示に従わない場合は、逆パワハラに該当する可能性があります。特に、集団で圧力をかけるような場合には、上司が抵抗しにくい状況が生まれやすくなります。

一方で、上司が実際に人格否定や侮辱などの不適切な指導をしている場合には、部下の反発には一定の合理性が認められるため、逆パワハラとは評価されにくいでしょう。

具体例

  • 適切な業務指導に対し、「パワハラだ」「訴えるぞ」と繰り返し発言し、指示を拒否する
  • 複数の部下が結託し、上司の指導を一切受け入れないよう圧力をかける
  • 指導内容を歪めて社内外に拡散し、上司の評価を意図的に下げる
  • SNSなどに「パワハラ上司だ」と書き込み、評判を落とす

業務命令を拒否し仕事をしないケース

部下の協力が不可欠な業務において、正当な業務命令を繰り返し拒否し、その結果として業務が滞る場合には、逆パワハラに該当する可能性があります。特に、その影響で上司が強いストレスを受けるなど、就業環境に悪影響が出ている場合は問題となりやすいといえます。

もっとも、他の従業員で代替可能な場合など、上司の業務遂行に重大な支障が生じていない場合には、逆パワハラとまでは評価されないこともあります。

具体例

  • 上司の指示に対して「あなたの命令には従わない」と明確に拒否し続ける
  • チーム業務において、自分の担当作業を意図的に放棄し業務を停滞させる
  • 業務に必要な報告・連絡・相談を行わず、上司の業務遂行を妨げる
  • 上司の指示を無視し、独断で業務を進めトラブルを発生させる

上司の異動や解雇を求めるケース

部下が集団で特定の上司の排除を目的として、繰り返し異動や解雇を求める場合には、逆パワハラに該当する可能性があります。その結果、上司が精神的に追い込まれ、休職に至るような場合は、就業環境が害されていると判断されやすいでしょう。

一方で、単独の部下が意見として異動希望などを伝える程度であれば、直ちに逆パワハラと評価される可能性は低いと考えられます。

具体例

  • 複数の部下が連名で「この上司がいる限り働けない」と繰り返し訴える
  • 上司の異動を求める署名活動を行い、組織的に圧力をかける
  • 上司の評価を下げるための情報を集め、意図的に上層部へ報告する
  • 上司のミスを過度に強調し、解雇を求めるような働きかけを行う

集団で上司を無視・孤立させるケース

複数の部下が結託して上司を無視したり、他の従業員に対して「上司の指示に従わなくてよい」と働きかける場合は、「人間関係からの切り離し」に該当し、逆パワハラとなる可能性が高いといえます。集団による行為は、上司にとって心理的な圧力が強く、抵抗が困難になりやすい点が特徴です。

ただし、上司自身に違法・不当な言動がある場合には、その対応としての行為と評価される余地もあり、個別の事情に応じた判断が必要です。

具体例

  • 複数の部下が上司の指示や話しかけを無視し続ける
  • 「あの上司の言うことは聞かなくていい」と周囲に働きかける
  • 会議や業務連絡から意図的に上司を外す
  • 必要な情報共有を行わず、上司を業務から孤立させる

虚偽のハラスメント申告を行うケース

上司を陥れる目的で、部下が虚偽のハラスメント申告を行う場合には、業務上の必要性がなく、上司の就業環境を著しく害するため、逆パワハラに該当する可能性が高いといえます。特に、複数人で虚偽の申告を行うケースでは、「優越的な関係」が認められやすくなります。

単独の部下による虚偽申告の場合には、逆パワハラの成立が否定されることもありますが、その場合でも名誉毀損など別の法的問題が生じる可能性があるため、企業として適切な対応が求められます。

具体例

  • 実際には存在しないパワハラ・セクハラをでっち上げて申告する
  • 複数の部下が口裏を合わせ、虚偽の証言を行う
  • 上司の評価を下げる目的で、事実と異なる内容を人事部に報告する
  • 外部機関に虚偽の通報を行い、上司の信用を毀損する

逆パワハラに関する裁判例

(1)アンシス・ジャパン事件(東京地裁平成27年3月27日判決)

この事案では、2人体制のチームにおいて、部下が独自の考えを押し通し、上司であるチームリーダーの指示に従わないなどの問題行動を繰り返していました。チームリーダーが注意・指導を行ったところ、当該部下は「パワハラを受けた」と会社に訴えるなどして態度を改めず、結果としてチームリーダーは対応に窮し、退職に追い込まれました。

チームリーダーは、会社に対して状況の改善を求めていましたが、十分な対応がなされなかったため、会社の安全配慮義務違反を理由に損害賠償を請求しました。

裁判所は、会社が適切な対応を取らなかった点を問題視し、安全配慮義務違反を認めました。この事例は、部下の言動が逆パワハラまたはそれに類する行為となり得る場合に、企業が適切に対応しなければ責任を問われる可能性があることを示しています。

(2)小田急レストランシステム事件(東京地方裁判所平成21年5月20日判決)

この事件は、職員が精神障害を発症して自殺したことについて、労災認定の可否が争われた事案です。部下が、自らの処遇への不満から、上司に対して「食券を再利用して売上げを着服している」「管理する金庫から1万5,000円を盗んだ」「部下の女性職員に対するセクハラをした」「小田急百貨店の酒売場倉庫から窃取されたビールを飲んだ」などの訴えを繰り返し行いました。上司はこれらの対応に追われ、事情聴取や始末書作成などに忙殺され、精神的に追い詰められた結果、自殺に至りました。

裁判所は、この自殺について業務起因性を認め、遺族補償給付を認めなかった行政処分を取り消しました。

この判決は、直接的に逆パワハラの責任を認定したものではありませんが、部下による訴えや行動が上司を精神的に追い詰める要因となり得ること、そして企業の対応のあり方が重大な影響を及ぼすことを示す重要な事例といえます。

逆パワハラが発生する理由とは?

逆パワハラは、単に部下の問題行動によって生じるものではなく、職場環境や組織体制、価値観の変化など、複数の要因が重なって発生するケースが多いといえます。ここでは、代表的な原因について整理します。

管理職の指導力やマネジメント力の低下

管理職の指導力やマネジメント力が十分でない場合、部下との信頼関係や指揮命令系統が機能しにくくなります。たとえば、指示の内容が曖昧で一貫性がない、注意や評価の基準が不明確であるといった状況では、部下は上司の判断に納得しにくくなります

また、部下とのコミュニケーションが不足している場合、業務上の意図や背景が共有されず、不満や誤解が蓄積しやすくなります。その結果、部下が指示に従わなくなったり、過度に反発したりするなど、上司の統率力が低下するおそれがあります。

加えて、問題行動に対して適切な注意や指導ができない場合、職場全体に「上司の指示に従わなくてもよい」という誤った認識が広がる可能性があります。

部下との経験・能力の逆転が生じている

近年では、業務の専門化が進み、必ずしも上司が部下よりも知識や経験で優位に立つとは限らなくなっています。特にIT分野や専門職では、現場に近い部下の方が実務に精通しているケースも多く見られます。

このような場合、上司が業務を円滑に進めるために部下の協力に依存せざるを得ず、実質的な力関係が逆転することがあります。その結果、部下が優位な立場を利用して不適切な言動を取っても、上司が強く指導できない状況が生じやすくなります。

能力差があること自体が問題なのではなく、それが適切にマネジメントされていない点が問題です。役割分担や権限の整理が不十分なまま放置されると、部下が上司の指示を軽視したり、独断で行動したりするようになり、逆パワハラにつながるおそれがあります。

ハラスメント意識の高まりによる過剰反応

近年はハラスメントに対する社会的関心が高まり、企業においても防止意識が浸透してきています。しかし、その一方で、正当な指導や注意まで過度に「パワハラ」と捉えられるケースも見られます。

たとえば、業務上必要な指摘や改善指導に対して、「パワハラだ」と強く反発し、指示に従わないといった行動が繰り返されると、上司が適切なマネジメントを行いにくくなります。特に、こうした主張が集団で行われる場合には、上司に対する心理的な圧力が強まり、指導を控える状況に陥ることもあります。

ハラスメント防止の重要性を踏まえつつも、正当な指導との違いを適切に理解し、バランスの取れた運用を行うことが重要です。

経営層の対応姿勢やガバナンスの問題

経営層や人事部門の対応が不十分な場合、逆パワハラが発生・深刻化しやすくなります。たとえば、上司からの相談に対して十分な調査や対応が行われない、部下の一方的な主張のみを重視するといった対応が続くと、組織としての公平性が損なわれます

また、ハラスメントに関するルールや対応フローが整備されていない場合、現場任せの対応となり、問題が長期化しやすくなります。その結果、上司が孤立し、精神的な負担を抱え込むことにもつながります。

さらに、経営層がハラスメント問題に消極的であると、「問題を起こしても適切に対処されない」という認識が広がり、職場の規律が乱れるおそれがあります。逆パワハラを防止するためには、経営層が主体的に関与し、公平かつ迅速に対応する体制を整備することが重要です。

ハラスメントに関する社内教育の不足

ハラスメントに関する社内教育が十分に行われていない場合、何が許される言動で、何が問題となるのかについて共通認識が形成されにくくなります。その結果、正当な指導とハラスメントの区別があいまいになり、不要な対立が生じやすくなります。

たとえば、業務上必要な注意や指導であっても、「パワハラだ」と誤解されて過剰に反発するケースや、逆に明らかに不適切な言動が問題視されず放置されるケースもあります。こうした状況は、職場の秩序を乱すだけでなく、逆パワハラの温床にもなり得ます。

また、管理職に対する教育が不足していると、適切な指導方法や対応手順が理解されず、問題が発生した際の初動対応が遅れるおそれもあります。ハラスメント防止のためには、従業員だけでなく管理職も含めた継続的な研修や教育を通じて、正しい知識と対応力を身につけることが重要です。

指導の仕方を誤ると上司側がパワハラになる可能性もある?

逆パワハラが問題となる一方で、上司の指導の仕方によっては、逆に上司側がパワハラと評価されるリスクもあります。部下への指導は必要不可欠ですが、その方法や態様を誤ると違法・不適切な言動と判断されるおそれがあるため、注意が必要です。

まず、パワハラに該当するかどうかは、「業務上必要かつ相当な範囲を超えているか」という観点から判断されます。したがって、業務上の必要性があり、相当な方法で行われている指導であれば、原則としてパワハラには該当しません

一方で、たとえばミスを繰り返す部下に対して、次のような言動を行うと、パワハラと評価される可能性が高くなります。

  • 「お前は小学生以下だな」など、人格を否定する発言を繰り返す
  • ほかの従業員の前で「お前なんかいてもいなくても同じだ」などと侮辱する
  • 必要以上に執拗な叱責を続け、精神的な負担を与える

これに対し、同じ場面であっても、次のような指導であれば、業務上必要かつ相当な範囲内と評価されやすいといえます。

  • 「ミスの原因は何か」「どの点でつまずいているのか」と事実ベースで確認する
  • 「これまで指導した内容は理解できているか」と理解度を丁寧に確認する
  • 「同じミスが続くと業務に支障が出るため改善してほしい」と具体的に伝える

このように、重要なのは「人格ではなく行為に着目すること」と「感情ではなく事実に基づいて指導すること」です。部下から「パワハラだ」と指摘されることを過度に恐れて指導を控えるのではなく、適切な方法で指導を行うことが求められます。その際には、次のような点を意識するとよいでしょう。

  • できている点は具体的に評価し、適切に褒める
  • 問題点は事実に基づいて指摘し、改善策を共有する
  • 上司自身にミスがあれば、率直に認めて謝る
  • 業務は適切に権限委譲し、過度な介入を避ける
  • 上司からも積極的に報告・相談を行い、双方向の関係を築く

上司と部下が相互に尊重し合う関係を築くことが、パワハラや逆パワハラの双方を防止するうえで重要なポイントとなります。

逆パワハラを放置することで生じるリスク

逆パワハラは、個人間のトラブルにとどまらず、職場全体や企業経営にも深刻な影響を及ぼすおそれがあります。適切な対応を行わず放置した場合、次のようなリスクが現実化する可能性があります。

職場の秩序や指揮命令系統が機能しなくなる

部下が上司の指示に従わない状態が常態化すると、職場の指揮命令系統が崩れます。誰の指示に従うべきかが不明確となり、業務の進行に支障が生じるおそれがあります。このような状態が続くと、組織としての統制が取れなくなり、管理職の役割そのものが形骸化してしまいます

上司のメンタルヘルス不調や休職につながる

逆パワハラを受け続けることで、上司が強いストレスを抱え、メンタルヘルスに不調をきたすケースがあります。特に、集団による無視や過度な反発が続く場合には、精神的な負担が大きくなりやすいといえます。その結果、休職や退職に至ることもあり、人材の損失という観点でも大きな問題となります。

業務の生産性が低下し、組織全体に悪影響が及ぶ

逆パワハラにより上司と部下の関係が悪化すると、業務の円滑な遂行が困難になります。指示が伝わらない、連携が取れないといった状況が生じ、業務効率が低下します。

また、トラブル対応に時間や労力が割かれることで、本来の業務に集中できなくなり、組織全体のパフォーマンスにも悪影響が及びます。

他の従業員にも不適切な言動が波及する

逆パワハラが放置されると、「上司に対しても強く出てよい」という誤った認識が職場に広がる可能性があります。その結果、不適切な言動が他の従業員にも波及し、職場環境がさらに悪化するおそれがあります。このような負の連鎖は、企業文化の悪化にもつながるため、早期の対応が重要です。

企業の安全配慮義務違反が問題となるおそれがある

企業には、従業員が安全かつ健康に働ける環境を整える義務(安全配慮義務)があります。逆パワハラを認識しながら適切な対応を取らなかった場合、この義務に違反したと評価される可能性があります。その結果、従業員から損害賠償請求を受けるなど、法的リスクが生じるおそれがあります。

ハラスメント対応の不備として企業責任を問われる可能性がある

ハラスメントへの対応体制が不十分である場合、企業としての管理体制が問われることになります。調査や是正措置が適切に行われなかった場合には、企業責任が認められる可能性があります。

また、対応の不備が社外に明らかになれば、企業の信用低下やブランド毀損といったリスクにもつながるため、組織としての適切な対応が不可欠です。

企業が逆パワハラに適切に対処するためのポイント

逆パワハラは、個人間の問題として放置するのではなく、企業として組織的に対応することが重要です。初動対応を誤ると、問題が深刻化し、職場環境や企業責任に大きな影響を及ぼすおそれがあります。

ここでは、企業が取るべき対応のポイントを整理します。

上司が萎縮しないよう毅然とした対応を徹底する

逆パワハラが発生すると、上司が「パワハラと指摘されるのではないか」と不安を感じ、必要な指導を控えてしまうことがあります。しかし、正当な指導まで萎縮してしまうと、職場の秩序が維持できなくなります。

企業としては、適切な指導は正当に評価されるべきであるという方針を明確にし、問題行動には毅然と対応する姿勢を示すことが重要です。

上長や人事部門を巻き込み、組織として対応する

逆パワハラは、当事者間だけで解決しようとすると、かえって対立が深まるおそれがあります。そのため、上長や人事部門など第三者を関与させ、組織として対応することが重要です。

複数の視点で状況を把握することで、公平性のある判断が可能となり、当事者の負担軽減にもつながります

逆パワハラも想定したハラスメント対策を整備する

多くの企業では上司から部下へのハラスメント対策が中心となっていますが、部下から上司への逆パワハラも想定した制度設計が必要です。

たとえば、相談窓口の整備や対応フローの明確化、行為類型の整理などを行い、どのような言動が問題となるのかを社内で共有することが重要です。

注意・指導の内容や経緯を記録として残す

逆パワハラへの対応では、事実関係を裏付ける証拠が重要となります。上司による指導内容やその経緯を記録として残しておくことで、後から客観的に状況を検証することが可能となります。

具体的には、指導の日時や内容、部下の反応などを文書やメールで記録しておくことが有効です。

事実関係を客観的に調査し、公平に判断する

逆パワハラの有無を判断する際には、一方の主張だけで結論を出すのではなく、関係者へのヒアリングや資料の確認などを通じて、事実関係を客観的に把握する必要があります。

特に、部下からのハラスメント申告がある場合でも、その内容を鵜呑みにせず、双方の言い分を踏まえて慎重に判断することが求められます。

社内研修や教育を通じてハラスメント理解を深める

ハラスメントに関する正しい理解を社内に浸透させることは、逆パワハラの予防にもつながります。従業員だけでなく管理職も含めた研修を実施し、適切な指導方法やハラスメントの判断基準を共有することが重要です。

継続的な教育を通じて、職場全体で共通認識を持つことが、健全な組織運営につながります。

逆パワハラに関して弁護士に相談するメリット

逆パワハラは、判断が難しく、対応を誤ると企業責任や労務トラブルに発展するおそれがあります。早い段階で弁護士に相談することで、法的観点から適切な対応を取ることが可能となります。

逆パワハラに該当するか法的に判断してもらえる

逆パワハラに該当するかどうかは、「優越的関係」「業務上の必要性」「就業環境への影響」といった複数の要素を踏まえて判断する必要があります。判断は専門的であり、現場だけで結論を出すのは容易ではありません

弁護士に相談することで、具体的な事実関係をもとに法的な観点から整理してもらうことができ、適切な対応の方向性を明確にすることができます。

適切な対応方針や社内対応の進め方をアドバイスしてもらえる

逆パワハラへの対応では、初動の進め方が重要です。対応を誤ると、問題が長期化したり、別のトラブルを招いたりするおそれがあります。

弁護士は、事実調査の進め方や関係者への対応方法、社内での処理手順などについて具体的なアドバイスを行うことができ、組織として一貫性のある対応を取ることが可能になります。

懲戒処分や人事対応のリスクを回避できる

問題行動に対して懲戒処分や配置転換などの人事対応を行う場合、その内容が適切でなければ、後に不当処分として争われるリスクがあります。

弁護士に事前に相談することで、処分の相当性や手続の適法性について確認でき、不要な紛争リスクを回避することにつながります。

証拠の収集や記録の残し方について具体的に指導を受けられる

逆パワハラの有無を判断する際には、客観的な証拠が重要となります。しかし、どのような情報をどのように記録すべきかは、現場では判断が難しい場合もあります。

弁護士から、記録の取り方や証拠として有効な資料の整理方法について具体的な指導を受けることで、後の紛争対応にも備えることができます。

トラブルが深刻化した場合の交渉や訴訟に対応してもらえる

逆パワハラをめぐる問題が深刻化すると、従業員との間で紛争に発展することがあります。場合によっては、損害賠償請求や労働審判、訴訟に至るケースもあります。

弁護士に依頼しておけば、交渉や法的手続きにおいて専門的な対応を任せることができ、企業側の負担を軽減しつつ、適切な解決を図ることが可能となります。

逆パワハラに関してよくある質問(Q&A)

モンスター社員による逆パワハラはどこまで許される?

許される範囲は「業務上必要かつ相当な言動」に限られます。正当な意見や改善提案は問題ありませんが、指示拒否や過度な反発、虚偽の申告などは逆パワハラに該当する可能性があります。行き過ぎた言動は懲戒の対象となることもあります。

リモートワーク環境でも逆パワハラは起こり得る?

リモートワークでも逆パワハラは発生します。たとえば、上司の指示を無視する、必要な報告を行わない、チャットで侮辱的な発言をするなどの行為が該当し得ます。対面でなくても、業務に支障が出れば問題となります。

逆パワハラを理由に部下を解雇することはできる?

可能ですが、慎重な判断が必要です。逆パワハラの内容や程度が重大であり、改善の見込みがない場合などに限り、解雇が有効と判断される可能性があります。処分の相当性や手続の適正が重要となるため、トラブルを防ぐためにも弁護士に相談することをおすすめします。

逆パワハラで仕返しをしたら問題になる?

問題となる可能性が高いです。部下の言動に問題があっても、上司が感情的に報復的な言動を行えば、上司側のパワハラと評価されるおそれがあります。冷静に事実を整理し、組織として対応することが重要です。

逆パワハラで上司が部下を訴えることはできる?

可能です。名誉毀損や不法行為に該当する場合には、損害賠償請求を行うことができます。ただし、実際に訴訟に至るケースは多くないため、まずは社内対応や交渉での解決を検討するのが一般的です。

まとめ 逆パワハラがあったら放置せず適切な対応を

逆パワハラは、部下から上司への言動であっても、一定の要件を満たせばパワーハラスメントとして問題となります。単なる意見の対立や不満の表明と区別し、「優越的な関係」「言動の相当性」「就業環境への影響」という観点から適切に判断することが重要です。

また、逆パワハラを放置すると、職場の秩序の崩壊や上司のメンタルヘルス不調、企業の法的責任といった重大なリスクにつながるおそれがあります。そのため、問題を認識した段階で、組織として速やかに対応することが求められます。

もっとも、対応を誤ると、上司側のパワハラや不当な人事処分と評価されるリスクもあるため、慎重な判断が必要です。事実関係の整理や対応方針に不安がある場合には、早い段階で弁護士に相談し、適切な対応を検討することが重要です。

VSG弁護士法人」では、企業側の労働問題に豊富な実績があり、案件によっては初回無料相談も受け付けています。トラブルの予防から解決まで徹底的にサポートさせていただきますので、労務管理に関してお悩みごとがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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