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ガスライティングとは? 企業が負う法的リスクと正しい対処法

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県上越市出身。
労働問題は、一歩対応を誤れば損害賠償だけでなく、企業の信用失墜や従業員の士気低下、ひいては経営基盤を揺るがす重大なリスクとなります。
私は、野村證券をはじめとする金融機関で10年以上にわたり、リテール営業からコンサルティング、金融庁との折衝やリスク管理まで、多方面の業務に従事してまいりました。これらの経験から、企業の数字と法務は密接にリンクしており、労働問題を「点」ではなく「経営の一部」として捉えることの重要性を痛感しております。
経営者側の立場に立ち、財務分析や資金調達の観点も含めた戦略的なアドバイスを行うことが私の強みです。単に紛争を解決するだけでなく、組織の持続的な発展を見据えた強固なガバナンス構築のお手伝いをいたします。経営者の皆様の良き相談相手として、誠実かつ論理的にサポートさせていただきます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/

ガスライティングとは、相手の認識や判断に疑いを抱かせ、精神的に追い詰めていく行為のことです。職場での対応を放置するリスクや、トラブルを防ぐ適切な対処法を弁護士が解説します。

この記事でわかること

  • ガスライティングかどうかの判断基準がわかる
  • ガスライティングへの対応を放置するリスクがわかる
  • ガスライティングが行われているときの対処法がわかる

近年、職場のハラスメント問題の中で「ガスライティング」という言葉が注目を集めています。

ガスライティングとは、相手の認識や判断に疑いを持たせ、精神的に追い詰めていく行為を指します。明確な暴言や叱責がない場合も多く、企業側が問題に気づきにくい点が特徴です。

しかし、対応を先送りにすると、職場環境の悪化や人材流出を招くだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。

本記事では、ガスライティングの基本的な考え方から、企業が負うリスク、適切な対処法までを弁護士がわかりやすく解説します。

目次

ガスライティングとは?

ガスライティングとは、相手の認識や判断に疑いを抱かせ、精神的に追い詰めていく行為を指します。

ガスライティングという言葉は、1938年にイギリスの劇作家パトリック・ハミルトンが発表した戯曲『Gas Light(ガス燈)』に由来します。

作中では、夫が部屋のガス灯の変化を否定し続け、妻の認識を揺さぶる様子が描かれています。この戯曲が映画化されたことで、「他人の認識を意図的に混乱させる行為」を指す言葉として広まりました。

職場では、上司や同僚が発言や態度を通じて部下の自信を奪い、「自分の考えが間違っているのではないか」と思い込ませるケースが問題になります。

目に見えにくいハラスメントの一種

ガスライティングは、言葉や態度を積み重ねて相手の判断力を弱めていく点に特徴があります。

たとえば、過去の発言を否定したり、業務上の指示を曖昧にしたうえで責任を押し付けたりする行為が挙げられます。

こうした行為は一つひとつを見ると軽微に思える場合もありますが、継続すると被害者の精神的負担は大きくなります。

外形的な証拠が残りにくいため、問題が深刻化するまで周囲が気づかないケースも少なくありません。

パワハラ・モラハラとの違い

パワハラは、職務上の地位や権限を背景に、業務の適正範囲を超えた言動を行う行為を指します。

一方、モラハラは、人格や尊厳を傷つける言動を通じて精神的苦痛を与える点に特徴があります。

ガスライティングは、これらと重なる部分を持ちながらも、相手の認識そのものを揺さぶる点に違いがあります。

表面的には穏やかな言動であっても、結果として被害者の判断力や自尊心を損なう場合、ガスライティングとして問題になる可能性があります。

ガスライティングかどうかの判断基準

職場で問題となる言動がガスライティングに当たるかどうかは、単発の発言だけで判断できません。

企業側は、言動の内容や経緯を整理し、複数の観点から総合的に見極める必要があります。

ポイント①:同様の言動が繰り返されているか
ガスライティングの特徴として、特定の言動が継続して行われる点が挙げられます。過去の発言を否定し続ける、評価や指示を後から覆すといった行為が繰り返されると、相手は自分の判断に自信を持てなくなります。一度きりの発言ではなく、一定期間にわたる積み重ねがあるかどうかが重要な判断材料になります。
ポイント②:業務上の必要性や合理性があるか
業務指導や注意は、本来、業務の改善や成果向上を目的とするものです。しかし、内容が曖昧であったり、業務と直接関係しない点まで否定したりする場合、正当な指導とは言えなくなります。言動の目的や内容が、業務上必要な範囲に収まっているかを冷静に確認する必要があります。
ポイント③:当事者の立場や関係性に偏りがないか
上司と部下など、立場に差がある関係では、発言が相手に与える心理的影響が大きくなりやすい傾向があります。立場の強さを背景に、相手が反論しづらい状況を作り出していないかを確認することが重要です。関係性を踏まえたうえで、言動の影響を評価します。
ポイント④:被害者の就業環境に悪影響が出ているか
精神的な不調、業務への支障、職場での萎縮などが生じている場合、問題は個人間の行き違いにとどまりません。言動によって就業環境が悪化していないか、職場全体への影響が出ていないかも重要な判断ポイントになります。

職場におけるガスライティングの具体例

職場でのガスライティングは、日常的なやり取りの中で起きやすく、指導や助言と区別しにくい点が特徴です。

企業側が問題に気づきにくい一方で、被害が続くと就業環境に深刻な影響を及ぼします。

過去の発言や指示を否定し続ける場合
上司が以前に出した指示を後になって否定し、「そのような指示は出していない」「あなたの理解が間違っている」と繰り返すケースです。このような言動が続くと、部下は自分の記憶や判断に自信を持てなくなります。結果として、適切な判断を下すことが難しくなります
評価や指摘の内容が一貫しない場合
成果を出しても評価せず、評価基準を明確に示さないまま否定的な言葉を重ねるケースも見られます。何を改善すべきかが分からない状態が続くと、業務への意欲が低下し、心理的な負担が大きくなります
業務上の問題を人格や資質の問題に結びつける場合
業務内容の改善点を示さず、「考え方に問題がある」「仕事に向いていない」といった表現を用いるケースです。業務指導の範囲を超え、相手の自己認識を揺さぶる結果につながります。
周囲の前で認識や判断を否定する場合
会議や打ち合わせの場で事実関係を否定し、被害者だけが誤っているかのような印象を与えるケースもあります。こうした対応は、職場での孤立を招きやすく、精神的な負担を増大させます。

ガスライティングへの対応を放置するリスク

職場でガスライティングが疑われる状況を放置すると、個人の問題にとどまらず、組織全体にさまざまな悪影響が及びます。

初期段階で対応しない場合、後から是正することが難しくなり、企業にとって大きなリスクにつながります。

職場環境が悪化し、組織全体の士気が低下する

ガスライティングが続く職場では、当事者だけでなく周囲の従業員も萎縮しやすくなります。

「意見を言うと否定されるのではないか」「次は自分が標的になるのではないか」といった不安が広がり、職場の雰囲気が悪化します。

その結果、従業員同士の信頼関係が損なわれ、組織全体の士気や生産性が低下するおそれがあります。

メンタル不調による休職・離職が増え、人材流出につながる

ガスライティングは、被害者の精神面に大きな負担を与えます。

自分の判断や能力に自信を持てなくなり、不安や抑うつ状態に陥るケースも少なくありません。その結果、休職や退職を選択する従業員が増え、企業にとって重要な人材が流出するリスクが高まります。

人材の入れ替わりが激しくなると、業務の安定性にも影響が出ます

ハラスメントとして労務トラブルに発展するリスクが高まる

対応を取らないまま被害が続くと、ガスライティングはハラスメント問題として表面化しやすくなります。

社内相談にとどまらず、労働基準監督署や外部機関への相談、労働審判や訴訟に発展する可能性もあります。

問題が公になると、企業側の対応姿勢そのものが問われることになります。

会社の安全配慮義務違反を問われる可能性がある

企業には、従業員が心身ともに安全に働ける環境を整える責任があります。

ガスライティングの兆候を把握しながら適切な対応を取らなかった場合、安全配慮義務を果たしていないと評価されるおそれがあります。

結果として、損害賠償請求など法的責任を問われるリスクも否定できません

企業イメージの低下や採用活動への悪影響を招く

ハラスメント問題が外部に知られると、企業イメージに大きな影響を与えます。

従業員を大切にしない企業という印象が広がると、採用活動にも悪影響が及びます。

応募者が集まりにくくなるだけでなく、取引先や顧客からの信頼を損なう可能性もあります。

ガスライティングが行われているときの対処法

職場でガスライティングが疑われる場合、感情的な対応や放置は問題を深刻化させます。

企業は、事実関係を丁寧に整理したうえで、段階的かつ冷静に対応することが重要です。

当事者双方からヒアリングし、客観的な証拠を整理する

最初に行うべきは、被害を訴える側と指摘を受けた側の双方から話を聞くことです。一方の主張だけで判断すると、誤解や行き違いを見落とすおそれがあります。

ヒアリングでは、具体的な言動の内容や時期、頻度を確認し、メールやチャット、業務記録など客観的な資料を整理します。事実を時系列で把握することで、冷静な判断が可能になります。

人事・コンプライアンス部門が主導して対応方針を決める

個別の部署や上司任せにすると、対応にばらつきが出やすくなります。人事やコンプライアンス部門が中心となり、社内規程やハラスメント防止方針に基づいて対応方針を整理することが重要です。

中立的な立場で判断することで、当事者双方にとって納得感のある対応につながります。

加害行為が疑われる場合は、業務上の接触を一時的に制限する

被害の拡大を防ぐため、必要に応じて当事者同士の業務上の接触を一時的に制限する方法も検討します。

席替えや担当業務の調整など、負担が過度にならない範囲で環境を整えることで、冷静な調査と対応が進めやすくなります。

早期の環境調整は、被害者の心理的負担を軽減する効果もあります。

注意・指導・配置転換など、段階的な是正措置を講じる

事実関係を踏まえ、問題が確認できた場合は、注意や指導など軽度な措置から検討します。

改善が見られない場合や影響が大きい場合には、配置転換などの対応を段階的に進めることが重要です。

いきなり重い処分を選ばず、状況に応じた対応を取ることで、後のトラブルを防ぎやすくなります

再発防止のため、管理職教育や社内研修を実施する

個別対応だけで終わらせず、再発防止策を講じることも欠かせません。

管理職向けの教育や社内研修を通じて、ガスライティングの考え方や注意点を共有します。

職場全体の理解が深まることで、問題の早期発見や予防につながります。

ガスライティングが認められる場合に弁護士に相談するメリット

ガスライティングが認められる状況では、企業の対応一つひとつが後のトラブルに直結します。自己判断で対応を進めると、意図せず法的リスクを高める可能性もあります。

弁護士に相談することで、企業はより確実で安定した対応を取りやすくなります。

会社の対応が「法律的に問題ないか」を事前に確認できる

注意や指導、配置の見直しといった対応が、法的に許される範囲に収まっているかどうかは専門的な判断を要します。

弁護士に相談すれば、対応内容が不当な扱いや権利侵害に当たらないかを事前に確認できます。後から「対応が行き過ぎていた」と評価されるリスクを抑えられる点は大きなメリットです。

懲戒・配置転換などを「安全な形」で進められる

ガスライティングへの対応では、懲戒処分や配置転換を検討する場面もあります。

しかし、手順や理由付けが不十分だと、別の労務トラブルを招くおそれがあります。

弁護士の助言を受けながら進めることで、就業規則や過去の事例を踏まえた無理のない対応が可能になります。

訴訟や労働審判に発展した場合も見据えて対応できる

問題が深刻化すると、労働審判や訴訟に発展するケースもあります。

早い段階から弁護士に相談しておけば、証拠の整理や記録の残し方も含め、将来の紛争を見据えた対応ができます。結果として、企業にとって不利な状況を避けやすくなります。

ガスライティングに関してよくある質問(Q&A)

被害者の主観が強い場合でも、会社は調査を行う必要がありますか?

被害者の受け止め方に主観的な要素が含まれていたとしても、企業は調査を行う必要があります。

ガスライティングは目に見えにくい行為であり、初期段階では客観的な証拠がそろわないケースも少なくありません。そのため、申告内容を軽視せず、事実関係を整理する姿勢が重要です。

調査を通じて問題が認められなかった場合でも、対応した事実そのものが企業のリスク管理につながります。

証拠が乏しい場合、企業はどこまで対応すべきですか?

証拠が十分にそろっていない場合でも、何もせず放置する対応は適切とは言えません。ヒアリングを行い、言動の傾向や継続性を確認したうえで、注意喚起や環境調整など負担の少ない対応を検討します。

早い段階で一定の対応を取ることで、被害の拡大を防ぎ、後のトラブルを回避しやすくなります。

管理職によるガスライティングが発覚した場合、会社の責任は問われますか?

管理職は、一般の従業員よりも職場環境の維持や部下への配慮が求められる立場にあります。そのため、管理職によるガスライティングが発覚した場合、企業には適切な調査や是正措置を講じる責任が生じます。

問題を把握しながら十分な対応を取らなかった場合、職場環境配慮の観点から企業の責任が問われる可能性があります。

管理職が関与するケースほど、早期に事実関係を整理し、再発防止策を含めた対応を進めることが重要です。

ガスライティングを理由に懲戒処分や配置転換は可能ですか?

ガスライティングが確認でき、就業規則に照らして問題がある場合、懲戒処分や配置転換を検討することは可能です。

ただし、事実関係の整理や手続きが不十分なまま進めると、不当な対応として争われるおそれがあります。

まとめ ガスライティングに関する悩みは弁護士に相談を

ガスライティングは、表立った暴言や威圧を伴わないケースも多く、企業が問題に気づきにくいハラスメントです。

ただし、対応を後回しにすると、職場環境の悪化や人材流出、労務トラブルへと発展するおそれがあります。

企業には、従業員が安心して働ける環境を整える責任があります。そのため、問題の兆候を把握した段階で、早めに適切な対応を取ることが重要です。

VSG弁護士法人」では、企業側の労働問題に豊富な実績があり、案件によっては初回無料相談も受け付けています。

トラブルの予防から解決まで徹底的にサポートさせていただきますので、ガスライティングへの対応や労務リスクの判断に迷われた際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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