

東京弁護士会所属。イギリス(ロンドン)出身。
企業の価値を支える「人」に関する問題は、ひとたびトラブルに発展すれば、組織の生産性や社会的信用を大きく損なう要因となります。私はこれまで、都内の大規模法律事務所で企業法務の最前線に立ち、多くの法人様の法的課題に向き合ってまいりました。
使用者側の視点に立ち、単に法律を適用するだけでなく、現場の規律維持や企業の持続可能性を重視したアドバイスを心がけています。特に、労使間のトラブルにおいては、迅速かつ正確な初動対応がその後の結果を大きく左右します。
「人生は演劇。あなたが台本を書き、主役を演じ、スポットライトを浴びる。」という言葉を胸に、経営者の皆様が理想とする組織運営を実現できるよう、法務のプロフェッショナルとして最適な台本作成と舞台裏のサポートに尽力いたします。親身なヒアリングを通じて、共に最良の解決を目指しましょう。

この記事でわかること
固定残業代(みなし残業代)は、残業代計算の事務負担が軽減され、人件費の予測可能性を高めるメリットがある制度です。
しかし、設計や運用を誤ると、有効性が否定されるリスクが極めて高くなります。
「毎月定額で支払っていれば問題ない」という考えは、よくある誤解です。
法的手続きにおいて、制度が無効となるリスクを軽減するために、計算方法や制度設計のポイントを見直しましょう。
この記事では、法的に有効な制度設計のための3つの条件と、基本的な計算方法、ポイントを解説します。
目次
固定残業代の有効性が争われた裁判では、制度の名称や会社側の意図は重視されていません。
有効性を判断するポイントとして重要な点は、次の3つです。
いずれかひとつでも欠けると、制度が否認される可能性があります。
固定残業代制度では、基本給と固定残業代が明確に区別されていなければなりません。
雇用契約書や賃金規程等において、通常の賃金と固定残業代部分の区別が一目でわかる記載が求められます。
具体的な記載例は、次の通りです。
悪い例では、固定残業代の根拠が明確ではないため、有効性が否定されます。
対価性とは、固定残業代が時間外労働の対価として支払われているかという点です。
雇用契約書等で時間外労働への対価である点が明記されているか、従業員が手当の目的を理解できたかが確認されます。
そのため、雇用契約書等に、何時間分の時間外労働に対応する手当かを明示する必要があります。
固定残業代制度は、事前に設定した時間を超えて残業が発生した場合は、不足分を別途支払うしくみが規則等で明文化されていなければなりません。
適正な勤怠管理に基づく残業時間に応じた額を支払っていなければ、清算されたとはみなされない点に、注意が必要です。
固定残業代を設定する際は、正しい計算が不可欠です。
ここでは、固定残業代の基本的な計算方法と計算例を解説します。
一般的な月給制における固定残業代の計算式は、次の通りです。
月の平均所定労働時間は、次の計算式で求めます。
次の例を用いて、実際に固定残業代を計算します。
【計算例】
基本給から固定残業代を捻出する計算では、最低賃金割れが起こりやすくなります。
次の計算式で、最低賃金を下回っていないか確認しましょう。
計算結果が最低賃金を下回る場合は、再設計が必要です。

固定残業代の設計段階では、法的有効性への意識が重要です。
ここでは、設計ポイントを解説します。
適法な設定時間の目安は、36協定における時間外労働の上限である月45時間です。
この時間を超えていると、違法な長時間労働を前提とするため、制度自体が無効と判断される恐れがあります。
固定残業代を役職手当等に含めて支給するケースもありますが、運用面では注意が必要です。
社内規則において、その手当が時間外労働の対価である点を明記しなければなりません。
名称だけではなく、手当の主旨と計算根拠の明確さも求められます。
固定残業代制度の設計不備は、全従業員からの未払い残業代請求につながりかねません。
問題が表面化してからの対応では、会社側の負担は相当重くなります。
設計段階からプロの支援を受けるとよいでしょう。
VSG弁護士法人では、弁護士と社労士が連携し、就業規則の改定や労働条件通知書の再設計、給与計算の適正化まで一貫して支援します。
自社の固定残業代制度に不安がある場合は、早めに無料相談をご活用ください。