この記事でわかること
- 監理技術者の配置要件
- 下請金額が4,500万円以上の要件ができた時期
一定の請負代金以上の建設工事を行う場合、建設業許可の取得だけでなく、工事現場ごとに監理技術者の設置が必要です。
監理技術者は、工事現場の工程管理や品質管理、下請業者の指導監督などを行い、工事の技術水準を確保します。
2023年1月1日から、請負代金4,500万円以上(一式工事は7,000万円以上)の工事で監理技術者の設置が必要になりました。
ここでは、監理技術者の設置が必要となるケースや監理技術者になるための要件などを解説します。
監理技術者が必要な工事の要件
監理技術者の配置が義務付けられるのは、以下の2つの要件を両方満たす請負工事です。
工事の発注者との関係 | ・元請業者である(工事の発注者から直接工事を請け負っている) ・下請業者ではない(他の建設業者から下請工事を請け負っている関係でない) |
請負代金の合計額 | ・請負代金の合計額が税込4,500万円以上 ・建築一式工事の場合、請負代金が税込7,000万円以上 |
専任の監理技術者を配置する工事の要件
監理技術者の配置が必要な要件とは別に、以下のように専任の監理技術者の配置が求められる要件が設定されています。
工事の請負代金 | ・工事1件あたりの請負代金が税込4,000万円以上 ・建築一式工事の場合、請負代金が税込8,000万円以上 |
工事の内容 | 公共性のある施設や工作物、または多数の人が利用する施設や工作物に関する重要な工事 |
このうち、工事の内容の具体例は以下の通りです。
- 国または地方公共団体が発注者である施設や工作物
- 鉄道や道路、堤防、ダム、飛行場、上下水道などの工事
- 電気事業用施設
- ガス事業用施設
- 学校
- 病院や診療所
- 共同住宅
2020年10月1日に建設業法の改正が行われ、一部の工事現場で監理技術者の兼務が認められるようになりました。
監理技術者が兼務する場合は、それぞれの工事現場に技士補を配置しなければなりません。
技術検定の学科試験合格者である技士補は、監理技術者の補佐を行う者です。
監理技術者の要件
監理技術者になるには、どのような要件が設けられているのでしょうか。
業種によって異なるそれぞれの要件を確認していきましょう。
監理技術者になれる人
監理技術者になれる人は、建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係を結んでいる人です。
一時的に雇用されている人や下請・外注として出入りしている人は、監理技術者になれません。
また、次のように業種によって特定の国家資格の保有や実務経験などが必要になっています。
【7業種】指定建設業での要件
指定建設業となっている以下の7業種で監理技術者になるには、特定の国家資格が必要とされています。
- 土木工事業
- 建築工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- 鋼構造物工事業
- 舗装工事業
- 造園工事業
上記の建設業で監理技術者になるには、1級施工管理技士や1級建築士、技術士の資格が必要です。
施工管理技士が監理技術者になる際は、業種に合った資格でなければなりません。
たとえば、土木工事業で監理技術者になる場合、1級土木施工管理技士の資格が必要です。
【22業種】指定建設業以外での要件
指定建設業の7業種以外に、以下のような22業種があります。
- 大工工事業
- 左官工事
- とび・土木・コンクリート工事
- 石工事
- 屋根工事
- さく井工事
- 鉄筋工事
- しゅんせつ工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 熱絶縁工事
- 電気通信工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 建具工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事
- 清掃施設工事
- 解体工事
この22業種で監理技術者になる場合も、基本的な要件は指定建設業の7業種と変わりありません。
一方で、資格要件は緩和されており、特定の国家資格だけでなく所定の学歴や実務経験を満たす場合も監理技術者になれます。
たとえば大学の専門学科を卒業した場合、3年以上の実務経験(うち、指導的な実務経験を2年以上)があれば要件を満たします。
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- 建設業許可が必要な29業種を詳しく解説
監理技術者制度運用マニュアルとは
監理技術者制度運用マニュアルとは、国土交通省が監理技術者制度を運用するために、制度の基本的な考え方などを示した資料です。
監理技術者の資格要件や設置要件のほか、制度運用のために必要な事項が整理されており、行政指導の指針として利用されています。
建設業者にとっても法令遵守する上で参考となるため、国土交通省のHPで資料を確認しましょう。
参考:国土交通省 土地・建物・建設業 ガイドライン・マニュアル
まとめ
建設業法は、建設業界の物価変動や人材確保などの状況にあわせて改正が行われます。
監理技術者の設置要件も、最新の改正内容を確認しなければなりません。
もし要件を満たした監理技術者を設置できない場合、行政処分や罰則を受ける可能性があるため注意しましょう。
建設業法の改正対応は、専門家である行政書士へ依頼するのも一つの方法です。
特に監理技術者の設置要件は改正によって影響を受けやすいポイントです。
行政書士に確認して、最新の情報を把握しましょう。