この記事でわかること
- 建設業許可番号の役割とその見方がわかる
- 建設業許可番号を取得すべき理由・必要性がわかる
- 建設業許可番号を取得する流れと手続きの流れがわかる
建設業許可を取得する際に、書類の中に「建設業許可番号」という番号が記載されていることに気付くと思います。
はたしてこの番号にはどのような意味があるのでしょうか。
建設業許可番号の取得方法や手続きの流れをあわせて解説していきます。
- 目次
- 建設業許可番号とは
- 建設業許可番号の見方
- 建設業許可番号を取得するメリット
- 建設業許可番号を取得する手続き・流れ
- 建設業許可番号取得のための6つの要件
- 建設業許可番号を取得する際の注意点
- まとめ
建設業許可番号とは
建設業許可番号とは、建設業を営む会社や事業者がどのような種類の建設業許可を取得しているかを表す番号です。
建設業許可の種類や、誰が建設業許可を出したかという違いが一目でわかるようになっています。
建設業許可を取得した事業者は、許可番号と呼ばれる番号が通知されます。
具体的には「○○県知事許可(般-□□)第※※※※※※号」といったものです。
これが建設業許可番号として、その後の事業を行う際に非常に重要なものとなります。
それぞれの記載内容の意味については、以下で解説していきます。
建設業許可番号の見方
建設業許可番号の役割がわかったところで、その番号の見方を解説していきます。
先ほども紹介した「○○県知事許可(般-□□)第※※※※※※号」を例に、その番号の記載内容の意味を確認してみましょう。
(1)知事許可と大臣許可
建設業の許可を出すのは、都道府県知事または国土交通大臣のいずれかです。
「○○県知事許可」となっている番号は、県知事の許可を受けた事業者であることを表しています。
建設業許可を取得する際に、都道府県知事の許可を受けるか国土交通大臣の許可を受けるかは、営業所の違いによります。
1つの都道府県内に営業所がある場合は、その都道府県知事に許可を受けることとなり、複数の都道府県に営業所がある場合は、国土交通大臣の許可が必要になるのです。
都道府県知事の許可を受けた場合には、建設業許可番号に「○○県知事許可」と記載され、国土交通大臣の許可を受けた場合には、「国土交通大臣許可」と記載されます。
(2)一般建設業と特定建設業
建設業許可番号の「(般-□□)」という部分は、その建設業者が一般建設業者か特別建設業者かを表しています。
建設業許可を取得する際、必ず一般建設業と特別建設業のいずれかの区分で取得しなければなりません。
請け負う工事がすべて下請の場合は、一般建設業許可を取得すればいいことになります。
また、元請となる場合には、4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上の工事を下請けに出すかにより区分が変わります。
4,000万円(建築一式工事の場合6,000万円)以上の工事を下請けに出すためには、特定建設業許可が必要です。
一般建設業の場合は(般-□□)、特定建設業の場合は(特-□□)と記載されます。
(3)取得した年度
建設業許可番号の□□の部分には、建設業許可を取得した年度が記載されます。
例えば、平成31年に一般建設業許可を取得した場合は、「般-31」となるのです。
5年ごとに更新があるため、年度の部分は更新した年度に変わっていきます。
(4)会社ごとの番号
建設業許可番号の「第※※※※※※号」という部分は、建設業許可を取得した会社や事業主に割り振られる番号です。
この番号は、事業者ごとに割り振られるものであり、その番号自体に特別な意味はありません。
なお、建設業許可は5年ごとに更新が行われますが、この番号はその後も変更されることはありません。
建設業許可番号を取得するメリット
そもそも、建設業許可を取得する理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
一定規模以上の工事を請け負えるようになる
建設業許可を取得する理由は、より大規模な工事を請け負うためです。
建設業許可を取得すると、1件あたり500万円以上の請負工事ができるようになります。
また、建築一式工事については1件あたりの金額が1,500万円以上と定められています。
この金額を超える工事についても請け負えるようになれば、結果的に会社の売上拡大や成長につながるでしょう。
ちなみに、1件あたりの金額が500万円(建築一式工事の場合1,500万円)を下回る工事のことを軽微な建設工事といいます。
軽微な建設工事を行う場合、建設業許可は必要ありません。
建設業許可を取得していること自体が信用につながる
建設業許可を取得している会社は、取得要件をクリアしているという行政のお墨付きを得ています。
そのため、建設業許可を取得している事業者は、一定の信用を得られるのです。
建設業許可の取得は信用につながることから、軽微な建設工事を行う際にも、建設業許可が求められる場合があります。
下請工事を発注する際に、工事の規模に関係なく、建設業許可を取得している業者に限定することがあるためです。
元請業者においてコンプライアンスが重視される中で、より確実な工事を行えるよう建設業許可が必須となりつつあるのです。
公共工事を行えるようになる
公共工事の仕事を受注するには、入札に参加する必要があります。
ただ、どの建設業者でも入札に参加できるわけではありません。
入札に参加するためには、経営事項審査(経審)を受けて入札参加資格審査の申請を行う必要があります。
この入札参加の資格の第一歩が、建設業許可の取得です。
経営状態に問題がなくても、建設業許可を取得していなければ経審を受けて入札資格を取得できないのです。
建設業許可番号を取得する手続き・流れ
それでは、実際に建設業許可番号を取得するまでの流れを確認していきましょう。
(1)建設業許可を取得するための要件を確認する
建設業許可を取得するために必要な要件を満たしているか確認が必要です。
例えば、営業所が複数の都道府県にある場合は国土交通大臣の許可が必要となりますが、そうでなければ都道府県知事となります。
また、行う建設工事の内容によって、一般建設業か特定建設業かの違いがあります。
要件を満たしているかとともに、どのような許可を取得する必要があるのかも確認しておきましょう。
(2)許可申請書や添付書類を準備する
建設業許可を申請する際には、数多くの申請書類が必要です。
申請書類には、様式第一号「建設業許可申請書」、同別紙一「役員等の一覧表」、同別紙四「専任技術者一覧表」などがあります。
多くの申請書類は、いずれも国土交通省や都道府県のサイトからダウンロードできます。
どのサイトからでも基本的には同じ書類を入手できますが、様式が異なる場合もあるため、必ず提出先のサイトから申請書を入手するようにしましょう。
添付書類として印鑑証明書や預金残高証明書など、多くの書類の提出が求められます。
こちらも提出先のホームページから内容を確認し、漏れのないように提出しましょう。
(3)予備審査と申請書類等の提出
東京都など、都道府県によっては申請書類の提出前に予備審査を設けている場合があります。
予備審査がない場合には、書類を郵送ではなく持参しなければならない場合もあります。
各提出先のホームページで具体的な提出方法を確認してから提出するようにしましょう。
建設業許可番号取得のための6つの要件
建設業許可番号を取得するためには、要件をクリアする必要があります。
ここでは、その6つの要件の内容について確認していきます。
経営業務管理責任者を配置する
建設業許可を取得するためには、一定の経営経験を有する人が取締役や事業主として経営にあたることが求められます。
一定の経営経験とは、許可を受けようとする業種において5年以上経営に関する実務経験が必要となります。
また、許可を受けようとする業種以外の建設業で実務経験がある場合には6年以上が必要です。
その他、経営業務の補佐を行っていた場合にも要件を満たすことがあるため、事前に確認しておきましょう。
専任技術者を配置する
一定の実務経験や学歴、あるいは資格を保有している人が事業主やその会社にいることが求められます。
ここでの実務経験は、業種に応じた10年以上の経験、あるいは大学や高等専門学校を卒業した後3~5年の経験を指します。
経営業務管理責任者と専任技術者を兼務できますが、要件に該当する人がいない場合は要請が必要です。
財産的基礎を有する
建設業許可を取得するためには、一般建設業の場合500万円以上の自己資本を保有していることが求められます。
そのため、預金口座に500万円以上の残高がある、もしくは決算書の純資産の額が500万円以上あることが必要です。
法人として建設業許可を取得する場合は、資本金を500万円以上として開業するようにしましょう。
誠実性を有する
請負契約の締結や履行に際して誠実に対応することが求められます。
しかし特別な対応が必要なわけではありません。
不正行為や不誠実な行為を行うおそれが明らかな場合には、許可が認められないというものです。
普通に営業をしている法人やその役員については、誠実性が問題になることはまずありません。
欠格要件に該当しない
建設業法には、建設業許可を取得することが認められない役員や事業主について定められています。
例えば、過去に建設業許可を取り消された、営業の停止を命じられたなどの項目が欠格要件に該当します。
不正行為などを行った人がいなければ、欠格要件に該当することはまずありません。
社会保険に加入する
建設業の事業者に対する社会保険の加入が、2020年から義務化されました。
これまで、労働者の管理が難しいことや社会保険料の負担が大きいことから、建設業で社会保険を整備していない事業者が数多く存在していたためです。
これに伴い、建設業許可を取得するためには、社会保険に加入する必要があります。
義務化の対象となる社会保険は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険です。
ただし、事業所の形態や労働者の状況により、加入すべき保険の条件が異なります。
国土交通省のホームページで条件を確認し、適切な社会保険に加入しましょう。
なお、社会保険に未加入の場合、建設業の許可が下りないばかりか、今後更新できない可能性があるので、注意が必要です。
建設業許可番号を取得する際の注意点
建設業許可番号を取得するためには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
いくつかのポイントを確認しておきましょう。
許可が通らない場合はその原因を考える
建設業許可を取得しようとしても、許可がスムーズに通らない場合があります。
この場合、やみくもに許可の申請をしても建設業許可を取得することは難しいでしょう。
大事なのは、どのような理由で建設業許可が取得できないのかを分析することです。
特に経営業務管理責任者や専任技術者の要件は、条件をクリアしているのかわかりにくいため、事前に確認するといいでしょう。
専門家に相談して進める
建設業許可を取得するためには、多くの書類を記載し、添付書類を準備しなければなりません。
このような作業に自信がない人や、建設業許可の要件を満たしているか不安な人は、まず専門家に相談することをおすすめします。
建設業許可の取得については、行政書士に相談できます。
数多くの申請に関わっている行政書士に相談し、その指導のもと建設業許可を取得するようにしましょう。
まとめ
建設業許可番号を取得していない業者でも、軽微な建設工事を行うことはできます。
しかし金額的な上限があるため、どのような仕事も無条件で請け負うことができるわけではありません。
そのため、建設業として仕事を行っていく上では、建設業許可番号を取得することは必須ともいえます。
6つの要件を確認した上で、専門家に相談しながら建設業許可番号を取得するようにしましょう。