この記事でわかること
- 建設業許可の名義貸しは違法
- 名義貸しが発覚した場合の罰則について
- 建設業許可を取得するためにできること
建設業許可の取得には、管理者や技術者の要件があり、要件を満たさなければ許可はおりません。
「建設業許可を取りたいけれど、自社の人員では申請は難しそう」と悩む企業もあるでしょう。
しかし名義貸しだけはしてはいけません。
建設業法違反に当たる犯罪行為であるためです。
今回は建設業における名義貸しについて、詳しく解説します。
建設業許可を取得するためのテクニックもあわせて参考にしてください。
建設業許可の名前貸し・名義貸しは違法
建設業許可を取得するための要件の一つに、経営業務の管理責任者と専任技術者が常勤していることというものがあります。
それぞれの要件は、以下のとおりです。
経営業務の管理責任者 | ・建設業の経営管理経験、または経営者に準ずる地位での管理経験が5年以上あるもの ・建設業で経営管理者の補佐業務経験が6年以上あるもの ・建設業で役員経験が2年以上、他業種で役員経験が5年以上あるもの ・5年以上の役員経験、かつ建設業の経験が2年以上あるもので、5年以上の財務・労務・運営管理経験者を補佐におく場合 |
専任技術者 | ・該当業種の国家資格取得者 ・所定学科の卒業後、実務経験が3年以上あるもの ・該当業種の実務経験が10年以上あるもの |
どちらも経験や資格がなければ要件を満たすことは難しく、すぐに取得できるものではありません。
建築業の名義貸しとは、この要件を満たした知り合いや知人の名前を借り、あたかも自社で要件を満たしているようにして建設業許可を申請することです。
しかしこれは建築業法違反の犯罪行為であり、絶対にしてはいけません。
管理責任者や技術者は、申請のデータ上で管理されているためすぐにバレます。
また、建設業許可取得後も名義貸しには注意が必要です。
工事によっては、現場に監理技術者や主任技術者の配置が義務付けられている場合があります。
こちらも当然、名義貸しは認められません。
建設業許可の名前貸し・名義貸しの罰則
建設業許可取得で名義貸しを行うと、これは虚偽申請になります。
許可は取り消しとなり、その後5年間は建設業許可が取得できません。
悪質な場合は建設業法違反により、6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処されることにもなります。
営業停止処分や許可取り消しなどにより、会社自体の社会的信用を失うことにもなるでしょう。
名義貸しのペナルティは会社にとって大きな代償となります。
建設業許可を取得する裏ワザ
結論から言うと、建設業許可を取得するための裏ワザはありません。
公平性を確保するための許可取得要件であり、それを無視して申請することはできません。
要件を満たす以外の方法はないと言えます。
そうはいっても、要件を満たすためのテクニックがいくつかあります。
一つずつ見ていきましょう。
資料をそろえる
建設業許可申請には、今までの工事履歴や実務経験を証明するために多くの資料をそろえる必要があります。
しかしこれがなかなか難しく、多くの人がつまずくポイントです。
実務経験は今までの職歴を通して、経験を通算できます。
前職での経験がある場合、勤務証明などの証明を出してもらえないか問い合わせてみましょう。
工事履歴は契約書、請負書、請求書、注文書などで証明できます。
もし自社に残っていない場合は、取引先にコピーをもらえないか問い合わせてみましょう。
中には通帳のコピーをセットにすれば、一部の書類で認められるケースもあります。
過去の確定申告書類が見当たらない場合は、顧問税理士に相談しましょう。
未申告があった場合は、過去の分を確定申告する必要があります。
経験者を採用する
実務経験が足りない場合は、必要期間が経過するまで待つ、自社で人材を育てるというのが一つの方法です。
しかしすぐに建設業許可が必要な場合は、経験者の採用を検討しましょう。
人材不足の建設業界で、必要経験をもった人材を見つけることは難しいことです。
そのため、以下のような紹介による採用が近道になるでしょう。
- 知人や知り合いに紹介してもらう
- 親族で経験者がいれば自社に入ってもらう
もし途中で退職してしまうと許可要件を満たさなくなるため、入社後のフォローも必須です。
申請先の都道府県に相談する
どうしてもそろえられない資料があるときや、証明が難しい場合も諦めず、まずは申請先の窓口で相談しましょう。
建設業許可は申請先の都道府県や担当者によって、必要書類や認められる内容が変わることがあります。
現状を説明して相談すれば、申請を通すためのアドバイスをもらえることがあるでしょう。
まとめ
建設業許可取得の要件は、簡単にクリアできるものではありません。
しかしだからと言って、名義貸しは絶対にしてはいけません。
必要書類がそろわない場合や申請が難しそうな場合も諦めず、まずは申請先へ相談することをおすすめします。