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個人事業主が代替わり時に建設業許可を引き継ぐ方法!条件や準備も解説

この記事でわかること

  • 個人事業主の建設業許可を承継する方法
  • 個人事業主が代替わり時に許可番号を引き継ぐ条件
  • 個人事業主が代替わり時に建設業許可を引き継ぐための準備
  • 個人事業主が代替わり時に建設業許可を引き継ぐ際の注意点

建設業界は高齢化が進んでおり、後継ぎ問題を抱えている個人事業主も少なくないようです。
親子で建設業を営んでいるケースでは、「子どもに建設業許可を引き継げない」という悩みもあるでしょう。

個人事業を承継する場合、かつては法人化の手法しかありませんでしたが、現在は建設業許可の譲渡や相続が可能となっています。
建設業の許可番号も承継できるため、親が築いた取引先との信頼関係なども消滅しません。

今回は、個人事業主の建設業許可を親子間で引き継ぐ方法や、承継時の条件などをわかりやすく解説します。

個人事業主の建設業許可は親から子へ引き継げる

個人事業主の建設業許可については、2020年10月1日の建設業法改正により、親から子へ承継可能となりました。
旧法の場合は事業譲渡や合併・分割を行うと、譲渡先などの会社は新たに建設業許可を取得する必要があったため、許可が下りるまでに空白期間が生じていました。

空白期間中は無許可の業者となり、建設業に携われませんでしたが、現在は親から子へ許可番号を承継できるため、代替わりの問題を解消しやすくなっています。

個人事業主が代替わり時に建設業許可を引き継ぐ方法

個人事業主が代替わりする場合、以下の方法で建設業許可を引き継げます

  • 個人事業を法人化して子どもが役員に就任する
  • 建設業の許可ごと子どもに事業譲渡する
  • 親の個人事業を子どもが相続する

法改正前は法人化のみ建設業の許可番号を承継できましたが、現行法では個人事業主同士でも承継可能です
では、建設業許可の引き継ぎ方法について、具体的な内容をみていきましょう。

個人事業を法人化して子どもが役員に就任する

親が個人事業を法人化し、子どもが会社役員に就任すると、建設業許可をそのまま承継できます
事業承継の流れは以下のようになっており、従来から活用されている方法です。

    (1)建設業許可を取得している親が法人を設立する
    (2)役所に事前相談して認可を受ける
    (3)親が会社に事業譲渡する
    (4)子どもを役員に就任させる
    (5)親の引退時に子どもが代表者となる

旧法では新規法人の建設許可を新たに取得しなければなりませんでしたが、現在は先代経営者の許可番号をそのまま使えます

建設業の許可ごと子どもに事業譲渡する

2020年10月1日の法改正以降は、以下の流れで親から子へ建設業許可を承継できます。

    (1)親子間で事業譲渡契約を締結する
    (2)役所に事業譲渡契約書を提出して認可を受ける
    (3)認可が下りたら親の許可番号を子どもが使用する

建設業許可の譲渡は役所の認可を受けなければなりませんが、法人成りが必要ないため、最小限の事務手続きで許可番号を引き継げるでしょう。
事業譲渡する際は、契約書に定めた事業譲渡日から30日以内に役所へ申請します。

子どもがすでに建設業許可を取得している場合は、自分と親の許可番号のどちらかを選択できます。

親の個人事業を子どもが相続する

建設業法の改正により、現在は相続による事業承継も可能になっています。
親の建設業許可を引き継ぐ場合、相続開始日から30日以内に役所へ申請し、認可が下りると親の許可番号を子どもが使用できます。

なお、事業承継には相続人全員の同意が必要になっており、後継者も一定条件を満たさなければなりません。
申請までの期間がかなり短いため、相続による建設業の承継はスピーディな対応が求められるでしょう。

個人事業主が代替わり時に許可番号を引き継ぐ条件

個人事業主が代替わりで許可番号を引き継ぐ場合、以下の条件を満たしている必要があります。
未経験の子どもには建設業許可を承継できないため、十分な準備期間を設けることをおすすめします。

役所との事前相談や認可が必要

建設業許可は法人化や事業譲渡、相続によって承継できますが、いずれも行政庁との事前相談や認可が必要です。
事業譲渡や相続は時間がかかるため、東京都都市整備局の例では「申請日と承継予定日の間には開庁日が25日必要」とされています。

相談を進める間に申請期限を過ぎると申請手続きを受け付けてもらえなくなるため、事前相談にも十分な時間を確保しなければなりません
親子間で事業譲渡を決めたら、都道府県などのホームページで申請書類を確認し、早めに準備を進めておくとよいでしょう。
建設業許可の手引、申請書類等・承継等に係る事前認可申請の必要書類(東京都都市整備局)

後継者も建設業許可の条件を満たす必要あり

代替わりで建設業許可を引き継ぐときは、後継者も以下の条件を満たす必要があります。

  • 経営業務管理責任者
  • 専任技術者
  • 常勤役員(取締役や執行役など)
  • 財産要件
  • 誠実性の欠格要件
  • 社会保険の加入

後継者の許可は新たな建設業許可と同じ基準になるため、経営業務管理責任者の経験が5年以上あり、専従者として働いている期間が6年以上必要です。
専従者の期間については、確定申告書の専従者欄に氏名を記載した場合や、建設業許可申請書があると容易に証明できます

財産用件は預金残高が証明資料になるため、金融機関に残高証明書を請求してください。
税務署に提出する開業届や、親の廃業届は事業承継の完了後に手続きします。

個人事業主が代替わり時に建設業許可を引き継ぐための準備

個人事業主が代替わりで建設業許可を引き継ぐときは、以下の準備が必要です。
後継者育成には少なくとも5年以上かかるため、余裕のある準備期間を設定しましょう

後継者を会社役員に就任させる

建設業を法人化して事業承継する際は、後継者を会社役員に就任させることが必要です。
役員に就任した後継者は商業登記簿に記載されるため、登記事項証明書で就任期間を証明できます

就任期間が5年以上になると常勤役員等の条件を満たし、建設業許可の代替わりがスムーズになります。

後継者が専任技術者になる

建設業許可を引き継ぐ場合、後継者も専任技術者になる必要があります。
専任技術者は以下の要件を満たさなければならないため、未経験者には許可番号を承継できません

  • 一定の国家資格または実務経験があること
  • 営業所で常時勤務できること
  • 営業所の専任となっていること

建設業は営業所ごとに専任技術者の配置が義務付けられているため、後継者が要件を満たさないうちに相続が発生すると、建設業許可を維持できなくなります
後継者が建設業とは無関係な会社に就職しており、事業を引き継ぐ意思がある場合は、早めに実務経験を積み、必要な国家資格も取得しておきましょう

確定申告書の専従者欄に後継者の氏名を記載する

後継者に経営業務管理責任者の補佐経験があれば、確定申告書の専従者欄と給与欄に氏名を記載します。
経営業務管理責任者の補佐経験が6年以上ある場合、常勤役員等の資格要件を満たします。

後継者を支配人として登記する

後継者を支配人として登記した場合、5年以上の経験年数で経営業務管理責任者になれるため、建設業許可を承継できます。
法人を設立する必要がなく、手続きは支配人の登記申請のみとなります。

なお、支配人の業務を行っていたかどうかの証明が難しいため、支配人登記の方法で事業承継するときは、行政書士に相談しておくとよいでしょう

個人事業主が代替わり時に建設業許可を引き継ぐ際の注意点


個人事業主が代替わりで建設業許可を承継する場合、以下の注意点を理解しておく必要があります。
許可番号の引き継ぎ以外にも様々な手続きが発生するため、漏れがないように注意してください。

後継者は従前の許可をすべて引き継ぐ

譲渡や相続で建設業を承継する場合、従前の許可をすべて引き継ぎます。
一部事業だけの承継は認められておらず、以下のように行政処分なども後継者に引き継がれます

  • 許可番号
  • 許可業種
  • 行政処分や刑事罰などの履歴
  • 経営事項審査などの結果

一部の事業だけ引き継ぐときは廃業届を提出し、必要があれば後継者が新規で取得します。
行政処分や刑事罰は履歴のみの引き継ぎとなっており、罰則は先代が受けるため、後継者には影響ありません

事業承継日の翌日が建設業許可更新の起算点

建設業許可は5年ごとに更新する必要があり、後継者に事業を引き継いだ場合、有効期間の起算点は承継日の翌日です
更新を忘れると建設業許可が失効するため、最初から取得しなければなりません。

建設業許可を承継した際は、更新期限日を過ぎないようにスケジュール管理しましょう。

行政機関への届出を忘れないこと

建設業許可を後継者に引き継いだときは、行政機関に以下の届出が必要です

【先代経営者の届出】

  • 廃業届
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書
  • 事業廃止届出書 など

【後継者の届出】

  • 開業届
  • 所得税の青色申告承認申請書
  • 青色事業専従者給与に関する届出書
  • 社会保険に関する届出 など

従業員を雇用しておらず、代表者1人だけの事業所でも社会保険の名義変更が必要になるため、早めに手続きを済ませておきましょう。

まとめ

建設業法の改正により、一人親方などの事業承継は選択肢が多くなりました。
親子で建設業を営んでいる場合、技術と許可番号の両方を承継できるため、親が築いた事業の歴史も子どもに受け継いでもらえます。

なお、建設業許可を承継する場合、後継者が経営業務管理責任者などの要件を満たしている必要があり、様々な提出書類も短期間で準備しなければなりません。

建設業許可の代替わりや各種手続きなどに困ったときは、ぜひベンチャーサポート行政書士法人の無料相談を活用してください。

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