この記事でわかること
- 建設業の許可を取得した後に住所を変更した場合の手続きの方法がわかる
- 変更届を提出する際に必要となる書類や手続きの進め方を知ることができる
- 建設業許可を取得した後に変更手続きが必要となる場合がわかる
建設業を営む事業者にとって、建設業許可の取得は非常に大きな意味を持ちます。
その一方で、いったん建設業許可を取得してしまえば、その後は大きな手続きは必要ないと考えるかもしれません。
ところが、実際には様々な理由で手続きをしなければならない場合があります。
住所変更もそのような手続きが必要なもののひとつです。
建設業許可を取得した事業者が本店の住所を変更した場合、どのような手続きをする必要があるのでしょうか。
- 目次
- 建設業許可取得後の住所変更には手続きが必須
- 住所変更の手続きは30日以内に
- 「変更届」に必要な書類と手続きの内容
- 都道府県をまたいだ移動の場合
- 他にもある!建設業許可書取得後に変更手続きが必要な場合
- まとめ
建設業許可取得後の住所変更には手続きが必須
建設業許可を取得した事業者は、営業所の所在地についても登録されているため、営業所の住所を変更した場合にはその登録内容を変更する手続きが必要となります。
法人について本店の所在地が変更となった場合、会社の登記内容を変更する必要があるため、まずは法務局でその手続きを行います。
その後、新しい登記簿謄本を使って建設業許可の変更届を行うという流れになります。
また、本店以外の営業所について建設業許可の住所が変更となる場合もあるため、その変更時に必要な書類については後ほど確認していきます。
住所変更の手続きは30日以内に
通常、法人が本店所在地を変更した場合は、まず法務局で移転登記を行います。
住所が変更となった時は、その変更が生じてから2週間以内に変更登記を行う必要があるとされています。
一方、建設業許可を取得した事業者の住所変更については、変更後30日以内に行う必要があります。
本店の移転があった場合は法人の登記事項証明書が必要となるため、できるだけ早く登記を完了させて建設業許可の変更手続きを行わなければなりません。
「変更届」に必要な書類と手続きの内容
それでは具体的に、どのような営業所について建設業許可を取得していると、住所変更の際にどのような書類が必要となるのか確認していきましょう。
主たる営業所が登記上の本店となっている場合
建設業許可を取得する際には、必ず主たる営業所を設ける必要があります。
この主たる営業所とは、文字どおりその事業者の事業の中心的な営業所であり、事業内容を指揮監督する権限を有するものとあるとされています。
法人の場合、通常その事業者の本店を意味し、本店所在地として登記されている場所を指します。
この場合、法人の登記事項証明書の本店所在地と、建設業許可の主たる営業所の所在地は一致することとなります。
建設業許可を取得後に住所変更が行われた場合には、その住所変更にともなって変更された登記事項証明書を変更届出書とともに提出する必要があります。
主たる営業所が登記上の本店と異なる場合
法人の中には、登記上の本店所在地が営業所となっていないケースもあります。
例えば、登記上の本店所在地は創業の地となっているが、本社はすでに別の場所にあるため、登記上の本店に事務所はないといった場合です。
このような場合には、登記上の本店所在地と、建設業許可を取得した際に記載した主たる営業所の住所が一致しません。
建設業許可を取得した後に事実上の本店が移転しても、登記上の本店所在地に変更はないため、登記の内容を変更することはありません。
そのため、会社の登記事項証明書を添付しても、移転の事実を証明することはできません。
このような場合には、新しい営業所の賃貸借契約書などを変更届出書に添付して提出する必要があります。
主たる営業所(本店)以外の従たる営業所の場合
建設業許可を取得する際に、従たる営業所を申請している場合があります。
従たる営業所とは、主たる営業所以外のすべての営業所のことをいい、一般的に支店と呼ばれるものをイメージするとわかりやすいと思います。
建設業許可を取得する際には、主たる営業所は必ず1か所設置しなければなりませんが、従たる営業所については設置してもしなくても構わないとされ、また複数の従たる営業所を設置することもできるとされています。
従たる営業所の変更についても、建設業の変更届出書を提出する必要がありますが、この場合に添付する書類は、その支店が登記されているかどうかによって変わります。
支店についても登記されているのであれば、住所変更の際に登記の内容も変更しなければならないため、変更後の登記事項証明書を添付する必要があります。
一方、支店について登記されていないのであれば登記の変更は行われないため、支店の賃貸借契約書などを添付する必要があるのです。
都道府県をまたいだ移動の場合
建設業許可の申請は、基本的に営業所がある都道府県知事に対して行われます。
ただし、複数の営業所があり、その営業所が複数の都道府県に所在する場合には、国土交通大臣に対して申請を行うこととなります。
住所変更による変更届出書を退出する際も、同一の都道府県内での変更であれば、それぞれの都道府県知事に対して届出書を提出します。
しかし、都道府県をまたいで主たる事務所の住所変更が行われる場合は、手続き内容が異なります。
新たに主たる事務所を設置した都道府県に「許可換え新規」の許可申請を行わなければならないのです。
住所変更に関連して許可換え新規が必要なのは、
- 主たる営業所1か所で営業する事業者が、その主たる営業所を他の都道府県に移転する場合
- 同一の都道府県内にすべての営業所を設置していた事業者が、そのすべての営業所を他の同一都道府県に移転する場合
このふたつです。
許可換え新規の申請を行う際には、新規に建設業許可を申請するのとほぼ同様の書類が必要となります。
法定の手数料の額も、新規に許可申請を行う際と同様、9万円がかかります。
他にもある!建設業許可書取得後に変更手続きが必要な場合
建設業許可を取得した後に、変更の手続きが必要となるケースは住所変更以外にもあります。
ここでは、そのような変更手続きを要するものについてまとめました。
毎年届出が必要なもの
会社の決算が終了したら、毎年「決算変更届」を提出しなければなりません。
都道府県によってその呼び名が違う場合はありますが、内容はすべて同一となっています。
決算変更届は、その事業年度の工事実績や会社の財務状況を国や県に報告するものです。
会社の事業年度終了後4か月以内に提出する必要があります。
変更後2週間以内に手続きしなければならないもの
経営業務の管理責任者や専任技術者、経営業務の管理責任者、建設業法施行令第3条に規定する使用人に関する変更があった場合は、その変更後2週間以内に届出を行う必要があります。
変更後すぐに届出を準備するようにしないと期限に間に合わない可能性もあるため、あらかじめどのようなものがあるのか頭に入れておくといいでしょう。
変更後30日以内に手続きしなければならないもの
営業所の住所変更もこれにあたります。
他には商号・営業所の名称の変更、営業所の新設・廃止、営業所の業種追加、資本金額・役員・支配人の変更があった場合が該当します。
これらの中には、会社の登記事項証明書を添付しなければならないものもあり、順番に手続きを進めないと30日以内に手続きすることが難しくなってしまいます。
まとめ
建設業許可を取得すれば、それで事業の継続は安泰というわけではありません。
住所変更があった場合はもちろんですが、それ以外にも変更にともなって手続きが必要となるものが数多くあります。
これらの手続きは、いずれも期限が明確に定められているため、必ず期限内に手続きを完了することができるよう、変更前から準備しておくことが必要です。