この記事でわかること
- 本店移転した場合にどのような手続きが必要なのか
- 本店移転の手続きに必要な書類とは
建設業許可を取得する事業者は、許可行政庁に営業所の専任技術者や本店所在地などの情報を登録します。
本店の移転を含め、登録した内容に変更があるときは許可行政庁に届け出をしなければなりません。
特に他県に移転する場合などは、新しい許可行政庁に許可替えをするための手続きが必要です。
本店所在地の変更は、許可行政庁だけでなく法務局での手続きも必要です。
それぞれの変更手続きには期限があり、もし忘れてしまった場合は罰則を受ける可能性もあるため注意しましょう。
ここでは、建設業許可を取得した会社が本店移転する場合に必要な手続きなどをご紹介します。
建設業許可取得後に本店移転したときはどうすればいい?
建設業許可の取得後に本店移転したときは、以下2つの手続きが必要です。
- 建設業許可の変更届の提出
- 本店所在地変更の登記
それぞれの手続きについて見ていきましょう。
建設業許可の変更届の提出
建設業許可を取得するときは、申請書に商号や本店所在地などを記載します。
許可の取得後、申請内容に変更があったときは変更届を提出しなければなりません。
変更届の提出は、建設業法に義務として定められています。
変更届の提出を忘れてしまった場合、注意や始末書の提出など行政指導を受ける可能性があります。
さらに提出をしないでいると、行政処分や建設業許可の更新が認められない恐れがあるため、必ず提出しましょう。
本店所在地変更の登記
会社を設立するとき、商号や本店所在地などを定め、法務局へ法人設立登記の申請をします。
法人登記の記載事項についても、変更があった場合は移転登記を申請しなければなりません。
法人設立登記では、会社の本店所在地を管轄する法務局へ申請します。
本店移転によって管轄が変わった場合、移転前と移転後の両方の管轄法務局で手続きが必要です。
法務局の手続きでは変更後の本店所在地が記載された株主総会議事録などが必要になるため、申請までに準備しておきましょう。
建設業許可の変更届の手続き方法
ここからは建設業許可の変更届の手続き方法について解説します。
建設業許可の変更届のフォーマット
建設業許可の変更届のフォーマットは、以下の通りです。
参考:【許可申請に必要となる書類の一覧】〈令和4年3月31日より適用〉
建設業許可の変更届の必要書類
本店を管轄する行政の建設業課に、以下の必要書類をまとめて提出します。
必要書類 | 必要/不要なケース |
---|---|
①本冊 ・変更届出書 |
すべてのケースで必要 |
②別とじ ・登記事項証明書(履歴事項証明書) ※発行日から3カ月以内 ※住所の変更日が確認できないときは 閉鎖事項証明書も提出 |
本店移転では、登記上と事実上のどちらの住所変更でも必要 |
③営業所の確認資料 ・写真(外観、内観、入口、表札など) ・移転先の本店付近の案内図 ・郵便番号、電話番号、FAX番号が確認 できる資料 ・賃貸借契約書など |
登記上の住所を、届出済みの事実上の住所と同一に変更するケースでは不要 |
建設業許可の変更届の申請期限
通常、法人が本店所在地を変更した場合は、まず法務局で移転登記を行います。
住所が変更となった時は、その変更が生じてから2週間以内に変更登記をしなければなりません。
一方、建設業許可を取得した事業者の住所変更は、変更後30日以内に行う必要があります。
本店の移転があった場合は法人の登記事項証明書が必要となるため、できるだけ早く登記を完了させ、建設業許可の変更手続きをしましょう。
建設業許可の本店所在地変更の登記の手続き
本店移転の登記は、移転先によって必要書類が変わります。
必要書類 | 必要/不要なケース |
---|---|
登記申請書(現在の法務局用) | |
委任状(現在の法務局用) | |
株主総会議事録 | 定款変更がある場合のみ必要 |
株主の一覧 | |
取締役会議事録または取締役会の決定書 | |
登記申請書(移転先の法務局用) | 管轄外へ移転する場合のみ必要 |
委任状(移転先の法務局用) | |
印鑑届出(移転先の法務局用) |
現在の本店所在地を管轄する法務局とは別の管轄地域へ移転する場合、登記申請書と委任状は移転先の法務局の分も用意しましょう。
現在の本店所在地用と移転先用としてそれぞれ書類を用意する場合でも、移転先の法務局に出向いて書類を提出する必要はありません。
管轄内移転と管轄外移転のいずれの場合も、すべての書類をまとめて移転前の管轄の法務局へ提出します。
建設業許可の本店移転に関するよくある質問
建設業許可の本店移転に関するよくある質問は、以下の通りです。
- 建設業許可の住所変更にかかる費用は?
- 建設業許可は営業所ごとに必要?
- 建設業許可取得後に他県に本店移動した場合はどうする?
それぞれの質問に回答します。
建設業許可の住所変更にかかる費用は?
建設業許可の変更届は、行政書士に作成を依頼して申請するのが一般的です。
申請代行の費用は行政書士事務所によって異なりますが、相場は5万円ほどです。
建設業には知事許可と大臣許可がありますが、大臣許可の場合は費用に数千円~1万円程度上乗せされるケースがあります。
なお、住所変更の場合は許可行政庁への手数料などは必要ありません。
建設業許可は営業所ごとに必要?
建設業許可は一部の営業所のみ取得できますが、取得していない営業所では請負契約を締結できません。
複数の営業所がある場合、営業所ごとに別々の業種で建設業許可を取得できます。
本店のみ建設業許可を取得した場合、請負契約の契約当事者は本店になります。
この場合でも、従たる営業所で工事をする場合は主任技術者や監理技術者などの設置が必要です。
建設業許可取得後に他県に本店移動した場合はどうする?
住所変更による変更届出書は同一の都道府県内での変更であれば、それぞれの都道府県知事に対して提出します。
都道府県をまたいで主たる事務所の住所変更が行われる場合は、移動先で「許可換え新規」の申請をしなければなりません。
住所変更に関連して許可換え新規が必要なのは、以下のケースです。
- 主たる営業所1か所で営業する事業者が、その主たる営業所を他の都道府県に移転する場合
- 同一の都道府県内にすべての営業所を設置していた事業者が、そのすべての営業所を他の同一都道府県に移転する場合
法定の手数料として、新規に許可申請を行う際と同様に9万円がかかります。
まとめ
建設業許可は、取得した後も更新や変更などのタイミングで届け出が必要になります。
本店移転をした場合も、変更の届け出を忘れてしまうと行政指導や罰則などを受ける可能性があるため注意しましょう。
建設業許可に関する変更届は様々なケースで提出が必要になるため、対応に手間や時間がかかるケースは珍しくありません。
建設業許可の対応は、専門家である行政書士への依頼がおすすめです。
行政書士に依頼すると、対応に必要な手間や時間を削減でき、本業に専念できるでしょう。