この記事でわかること
- 建設業許可の事業年度終了届とは
- 事業年度終了届の書き方
- 事業年度終了届の提出期限や必要書類
建設業許可を取得したら事業年度終了届の提出が必要ということがわかったものの、初めて届出を出すときには、こんな疑問が出てくるでしょう。
- どうやって書けばいいの?
- いつまでにどんな書類が必要?
今回は建設業許可の事業年度終了届の書き方から必要書類まで、概要をくわしく解説します。
建設業許可の事業年度終了届とは
建設業許可を取得するとその後は年に1回、事業年度終了届を提出しなければいけません。
事業年度終了届とは、事業年度内に行った工事経歴や直前3年間の工事施工金額、決算書類などをまとめて提出する届出のことです。
建設業法により法人・個人問わず、建設業許可を取得している事業者は全員提出することが義務付けられています。
なお、地域によって決算変更届と呼ばれていることもありますが、内容はほぼ同じものです。
事業所を管轄する都道府県の仕様にしたがって進めましょう。
建設業許可の事業年度終了届の必要書類
事業年度終了届は添付書類を過不足なくそろえて提出する必要があります。
必要書類は以下のとおりです。
【法人】
- 表紙
- 工事経歴書
- 直前3年間の工事施工金額
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 法人事業税納税証明書
- 事業報告書
【個人事業主】
- 表紙
- 工事経歴書
- 直前3年間の工事施工金額
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 個人事業税納税証明書
表紙や経歴書など、添付書類の様式は各都道府県で定められていることがほとんどです。
HP等でダウンロードする、または提出先の担当窓口に問い合わせてみましょう。
管轄ごとにフォーマットが少しずつ異なるため、必ず自身の事業を管轄する都道府県の様式を利用してください。
建設業許可の事業年度終了届の書き方
ここでは、一例として東京都の書式を参考に書き方を解説します。
(書式は法改正等により変更されることがあるため、必ず最新の情報を確認してください。
東京都都市整備局HP)
東京以外の事業所の場合は、各都道府県のHPを確認しましょう。
様式が少しずつ異なる場合もありますが、基本的に書き方は同じです。
決算書類の記載は特殊
貸借対照表、損益計算書などの決算書類は、決算書をそのまま書き写すだけでは足りないことに注意が必要です。
建設業は工事の完成や原価の確定が、年単位でまたがるということも少なくありません。
そのため建設業法により、一般会計と異なる会計基準が設けられています。
特に売上計上の基準や原価の計算方法は、通常の決算書とは異なります。
事業年度終了届用の提出書類は、建築業法に則った書き方で作成しましょう。
工事経歴書の書き方
工事経歴書は事業年度内に行った工事を種類ごとにまとめて作成します。
たとえば大工、電気の2種類の工事で建設業許可を持っている場合は、それぞれの種類ごとに工事経歴書が必要です。
建設業許可を持っていない種類の工事を請け負ったときは、その他としてまとめて1つの経歴書を作成します。
書き方はまず、請負代金の大きい方から順に10件、もしくは工事全体の売り上げの6割を超える分までを表に記載し、小計欄へ工事の件数と金額の合計を記載します。
下部の合計欄には11件目以降、もしくは6割に入らなかった分の件数と金額を合わせた全体の数値を記載します。
工事経歴書を作成する際の注意点として、その他工事としてまとめた中に500万円を超える工事が含まれていれば、これは建設業法違反となります。
無許可で500万円を超える工事を請け負うことは絶対にやめましょう。
また、注文者や工事名は○○○○新築工事やA様宅のように、個人を特定できないように記載する必要があります。
配置技術者(主任技術者)に関しては、建設業許可を受けている種類の工事において設置が義務付けられているため、必ず記載するようにしましょう。
また、請負金額4000万円以上の工事では、複数の現場を兼務することができないため注意が必要です。
工事経歴書は種類ごとに注文者、工事名、工事期間、工事売上などを一覧にする作業です。
1年分をまとめて仕分けるのは大変な作業であるため、日頃からこまめにまとめるようにしておくと、届出作成の手間が省けます。
事業報告書は任意の形式で
事業報告書は、法人のみ提出が必要な書類です。
決まった様式はなく、任意の形式で作成することになります。
とは言え、目安になるものがなければ何を書けばよいかわかりにくいため、参考までに大阪府で提示されているサンプルを使って解説します。
記載すべき内容としては、以下のような内容です。
- 会社名
- 許可番号
- 決算日と期数
- 会社概要(役員・従業員数、株主、営業所など)
- 概況
- 実績・見込みを含む過去3期程度の業績
サンプルのように表ではなく、箇条書きでまとめても問題ありません。
もし不安な点や疑問がある場合は窓口で事前確認する、または専門家に依頼してもよいでしょう。
建設業許可の事業年度終了届の提出期限
事業年度終了届は、事業年度終了から4カ月以内に提出しなければいけません。
法人は決算月の4カ月後の月末(3月決算なら7月末)、個人事業主は毎年4月末が提出期限です。
もし未提出のまま事業を続けていると、6カ月以下の懲役又は100万円以下の罰金を科される可能性があります。
実際には即罰則を科されることはありませんが、そもそも未提出のままだと5年ごとの建設業許可更新が受けられません。
許可更新は毎年事業年度終了届を提出していることが条件であるため、提出していないと更新ができずに事業が継続できなくなることも考えられます。
許可更新以外に業種追加や各種変更手続きに関しても、毎年事業年度終了届を提出していることが条件となります。
事業年度終了届が未提出だと様々なところで影響が出るため、必ず提出期限内に提出するようにしましょう。
提出先は、建設業許可を申請した建設事務所です。
まとめ
建設業許可の事業年度終了届は、届出が義務付けられている重要な書類です。
事業年度が終了したら4カ月以内に提出できるように、すぐに作成に取りかかりましょう。
必要書類のフォーマットは更新されることもあるため、各都道府県のHPを確認し、最新のものをダウンロードして作成します。
建設業許可を適切に保持するためにも、未提出や提出遅れがないようにしましょう。