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付帯工事とは?建設業許可は不要?軽微な工事との違いや要件を解説

この記事でわかること

  • 付帯工事を行うときの建設業許可の要否
  • 付帯工事と軽微な工事の違い
  • 付帯工事として認められるための要件

建設工事を行うにあたって、「付帯工事」が必要となることがほとんどです。
ただ、「付帯工事」と聞いても、どのような工事を指すのか、何のために必要なのかわからない方は多いのではないでしょうか。

この記事では、付帯工事について詳しく解説します。
建設業許可の要否や「軽微な工事」との違い、付帯工事と認められるための要件などを、具体例を挙げながら詳しく説明するのでぜひ参考にしてください。

付帯工事とは

付帯工事とは、建設業の許可を受けた業種にかかる建設工事(主たる工事)に付随して発生する別の建設工事(従たる工事)を指します。

建設業法では、許可業種の工事にともない生じる建設工事、許可業種の工事のために必要な建設工事の2種類が付帯工事と定義されています。
加えて、その工事が独立の使用目的に供されるものではないことが求められます。

ここからは、付帯工事に該当する事例を紹介します。

許可業種の工事にともない生じる建設工事

許可業種の工事にともない生じる工事とは、主たる建設工事を施工することによって発生する別の建設工事を意味します。

たとえば、菅工事業の許可を受けた建設業者がエアコンの取り付け工事を請け負った場合、施工するにあたって熱絶縁工事が発生します。
このケースでは、エアコン工事の施工にともなって生じる熱絶縁工事が付帯工事にあたります。
その他にも、消防施設工事業の許可を受けた建設業者がスプリンクラーの設置工事を請け負った場合は、内装仕上げ工事が付帯工事となります。

許可業種の工事のために必要な建設工事

許可業種の工事のために必要な工事とは、主たる建設工事を施工するにあたって必要となる別の建設工事を意味します。

たとえば、塗装工事業許可を受けた建設業者が建物の外壁塗装工事を請け負った場合、高所を施工する際は足場が必要となります。
この足場を設置するための足場工事が付帯工事となります。

付帯工事に建設業許可は必要ない

付帯工事を行うために建設業許可は不要です。

原則として、建設工事を行うには建設業許可を受ける必要があり、許可を受けていない業種の工事を請け負えません。
たとえば、塗装工事業の許可しか受けていないにもかかわらず、菅工事業許可が必要なエアコン工事を行うことはできません。
しかし、実務上1つの工事を施工するのに複数の専門工事が必要になることがほとんどです。
つまり、原則に従うと注文者は個別に専門工事業者に発注しなければならず、コストや時間がかかり非効率です。
そのため、建設業法では、主たる建設工事を請け負った場合は、許可が無くてもそれに付帯する工事も請け負えると定められています。

ただし、あくまで付帯工事自体に建設業許可が不要なのであり、主たる建設工事に関しては許可が必要なので注意しましょう。

付帯工事と軽微な工事の違い

建設業法で定められる「軽微な工事」とは、建設業の許可を受けなくても請け負うことができる小さい規模の建設工事です。
付帯工事は主たる建設工事にかかる建設業許可が必要であり、さらに主たる工事に付帯している必要があります。
一方、軽微な工事は、いずれの建設業許可を受けていなくても建設工事を請け負うことが可能であり、その工事自体が独立しているという点で、付帯工事と大きく異なります

付帯工事として認められる要件


付帯工事として認められるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 主たる建設工事に付随して行われる工事であること
  • 主たる建設工事と一連または一体の施工が必要または相当であること
  • 主たる建設工事の工事代金より安いこと

ここからは、それぞれの要件を詳しく見ていきましょう。

主たる建設工事に付随して行われる工事であること

付帯工事として認められるには、主たる建設工事に付随して行われる従たる工事であることが必要です。
これは、従たる工事自体が、主たる建設工事の目的を達成するために付随的に必要であり、独立した目的をもたないことを意味します。
つまり、従たる工事は、主たる建設工事と同じ目的で施工されることになります。

たとえば、電気工事業許可をもつ業者が電気配線の設置工事を行うために屋内の天井や壁を剥がし、設置後に壁の復旧工事を行う場合、主たる工事が電気工事、従たる工事が壁工事(内装工事)です。
この場合、電気配線を設置するという目的を達成するために、天井・壁の内装工事が必須であり、尚且つ独立した目的をもたないため、内装工事が付帯工事として認められます。

一方で、電気配線工事とまったく関係のない箇所の内装工事を行った場合、主たる工事とは別の目的をもち、付帯工事ではないと解釈される可能性があるため注意が必要です。

主たる建設工事と一連または一体の施工が必要または相当であること

付帯工事と認められるための2つ目の要件は、主たる建設工事と一連または一体の工事施工が本当に必要または相当といえることです。
この判断は、建設工事の注文者の利便と建設工事の請負契約の慣行等の観点から、一連または一体的に施工することが本当に必要か、相当かどうかで判断されます。

少しわかりにくいため、具体例を挙げながら説明します。

建設工事の注文者の利便

まず、建設工事の注文者の利便を基準に判断されるケースがあります。

先ほどの電気工事の例で考えてみましょう。
電気工事を行うために天井や壁を剥がした場合、原状に戻すための工事を行わなければなりません。
仮に、天井や壁を原状に戻さずそのままにし、後日個別に発注が必要となると、注文者は不便を被ることになるでしょう。
このような場合は、電気工事(電気工事)と天井や壁を原状に戻すための内装工事を、一連・一体的に施工することが必要であり、尚且つ相当であると判断できることになります。

建設工事の請負契約の慣行等

建設工事の請負契約の慣行などから判断されるケースです。

通常の工事は、資材などの準備・現場への搬入→現場の養生→施工→仕上げ・検査→残材搬出・清掃の手順で行われます。
たとえば、先述した電気工事と天井や壁の内装工事を個別の工事として発注した場合、二度手間となり、コストや時間もかかり非効率です。
また、注文者と工事業者ともに無駄な負担を強いられることになるでしょう。

このような場合は、電気工事と内装工事を一連・一体的に施工した方が余分な手間やコストを省けます。
つまり、一連・一体的に施工することが建設工事の請負契約の慣行等に適合すると言えます。

主たる建設工事の工事代金より安いこと

付帯工事と認められるための3つ目の要件は、付帯工事の工事代金が主たる建設工事より安いことです。
付帯工事は、他の建設工事に付随して発生したものであり、また独立の使用目的で供されるものではないことから、主たる建設工事の代金を下回るのは当然とされます。
主たる建設工事の代金と同等である場合や、上回った場合には、付帯工事の要件を満たさない可能性があるので注意が必要です。

まとめ

付帯工事は他の建設工事に付随するものであり、効率的に工事を進められるため、注文者・建設業者ともに便利な制度です。
しかし、複雑な要件を満たす必要があり、付帯工事にあたるかどうか個別具体的に判断する必要があります。
また、付帯工事自体に建設業許可は不要ですが、主たる工事に関しては建設業許可を受けている点にも注意が必要です。
もし付帯工事を行うにあたって不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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