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ゼネコンとサブコンの違いは?関係性や業務の違いをわかりやすく解説

ゼネコンとサブコンの違いは?関係性や業務の違いをわかりやすく解説

この記事でわかること

  • ゼネコンとサブコンの違い
  • ゼネコンとサブコンの関係性

建設会社には、発注元から工事を元請けするゼネコンと、専門的な作業を下請けするサブコンがあります。

高層ビルなどの建設には非常に多くの工事が必要で、空調や電気など、サブコンの持つ専門的な技術を要する作業もあります。

一方、個別の工事だけでなく、ゼネコンによる全体的な工程管理なども欠かせません。

建設業界にこれから携わる方は、業界の基礎知識としてそれぞれの違いを把握しておきましょう。

ここではゼネコンとサブコンの違いや関係性、それぞれの特徴などを解説します。

建設業界は重層的ピラミッド構造

建設業界は、以下の階層によるピラミッドのような構造で工事の発注と請け負いの関係が成り立っています

  • 階層(上):発注者
  • 階層(中):発注者からの元請け(ゼネコン)
  • 階層(下):元請けからの下請けA、下請けB、下請けC(サブコン)

発注者からの依頼に基づき、ゼネコンは工事全体をまとめ、監督する役割を担います。

全体を監督するゼネコンが、各部分の工事をそれぞれ専門的な技術を持つ各サブコンに外注します。

大規模な工事では、サブコンの一次下請から二次下請、三次下請へとさらに階層が広がるのが、建設業界におけるピラミッド構造の特徴です。

次章からは、ゼネコンとサブコンの特徴をそれぞれ見ていきましょう。

ゼネコンとは?

ゼネコンとは、総合建設業者である「ゼネラルコントラクター」の略称です。

ゼネコンは、以下の大規模な建築工事や、土木工事の元請を担います。

  • 公共施設や高層ビルなどの建築工事
  • 道路やダムなどの土木工事
  • 都市開発

ゼネコンの主な役割は、元請としての工事の施行全体を管理するマネジメント業務です。

ゼネコンは工事全体の管理者として、各分野の専門工事業者であるサブコンに工事を発注し、指揮監督をして工事の完成を目指します。

ゼネコンは、事業規模(年間の売上高)によって以下の4種類に分けられます。

  • スーパーゼネコン(年間売上高1兆円以上)
  • 準大手ゼネコン(年間売上高3,000億円以上)
  • 中堅ゼネコン(年間売上高1,000億円以上)
  • 地場ゼネコン(特定地域密着のゼネコン)

サブコンとは?

サブコンとは、下請け業者である「サブ・コントラクター」の略称です。

サブコンは、ゼネコンが受注した工事を部分的に下請けし、建設工事における各専門分野の工事を担当する業者を指します。

大規模工事をゼネコン1社で賄うことは不可能で、基本的にはサブコンの協力が欠かせません。

サブコンは下請け業者としてゼネコンをサポートします。

サブコンが担当する工事は、空調工事や電気工事などです。

各専門分野のサブコンが集まり、ゼネコンの指示のもと工事をサポートします。

続いて、ゼネコンとサブコンの違いを見ていきましょう。

ゼネコンとサブコンの違いは?

ゼネコンとサブコンの違いは、以下のとおりです。

  • ゼネコンは大規模な建築工事や土木工事の元請業者
  • サブコンは専門分野ごとにゼネコンをサポートする下請業者

ゼネコンは大規模な工事をまとめる監督役であり、総合力が求められます。

一方、サブコンは大規模工事の中から空調工事や電気工事など得意分野の工事を請け負うため、高い専門性が求められます。

両者の違いは、「総合力のゼネコン」「専門性のサブコン」と区別すると覚えやすいでしょう。

サブコンとゼネコンの関係

サブコンとゼネコンは下請けと元請の関係が基本ですが、工事の発注方式によって双方の関係性が変わる場合があります。

主な工事の発注方式は、以下の3種類です。

  • 一式請負
  • 別途工事
  • コストオン工事

それぞれを詳しく解説します。

一式請負

一式請負とは、ゼネコンが発注者から工事一式を受注した後、各設備工事をサブコンに発注する方式です。

ピラミッド型の最もポピュラーな方式で、双方の関係性をイメージしやすいのではないでしょうか。

工事を請け負ったサブコンは、図面に基づいてゼネコンと調整をしながら仕事を進めていきます。

一式請負方式は、ゼネコン1社に発注するため、発注者にとって工事費の総額や責任の所在がわかりやすく、負担が少ない発注方式です。

別途工事(分離発注方式)

別途工事とは、発注者がゼネコンと専門工事業者のサブコンそれぞれに工事を発注する方式です。

たとえば、以下のようにゼネコンとサブコンに対して、別々に工事が発注されます。

  • 発注者からゼネコンに建設工事のみを発注
  • 空調工事や電気工事などの設備工事を発注者からサブコンに発注

別途工事は一式請負と異なり、発注者がサブコンと直接コミュニケーションが取れるため、以下のようなベネフィットを受けられます。

  • 工事費の透明化を図れる
  • コストを削減できる

一方、サブコンと個別契約を結ぶため、発注者が工事全体の調整や品質管理などの統括責任を負わなければならないといったデメリットがあります。

コストオン方式

コストオン方式は、工事の発注を元請のゼネコンにのみに発注し、専門工事ごとにサブコンを選定する方法です。

発注者は、サブコンとの間で決められた工事費に、現場管理費を上乗せした金額で元請のゼネコンに工事を発注します。

コストオン方式のメリットは、以下のとおりです。

  • サブコンと個別に工事費を決定しているため、工事費の内容が明確になる
  • ゼネコンはサブコンの施行範囲の瑕疵担保責任を負わない

別途工事で課題となっていた工事全体の調整や品質管理などの統括責任も、必要な費用を上乗せし、元請け会社を責任者として契約を結ぶため、リスクが軽減できます。
コストオン方式は、コスト面でのメリットを受けつつ、別途工事のリスク負担のデメリットを軽減できる発注方式です。

ゼネコンの業務

ゼネコンの業務は、以下の通りです。

  • 営業
  • 設計
  • 施工管理
  • 研究開発

それぞれの業務について詳しく解説します。

営業

ゼネコンの営業の仕事は、主に官公庁や大手企業が中心となります。

クライアントから社屋や工場の建築など要望をヒアリングし、設計部門や施工部門など社内の部署と連携して提案内容を作成します。

ときには、コンペ方式といって競合ゼネコンと提案内容を競い合い、案件の獲得を目指す場合もあるでしょう。

案件を獲得した後は、施工に向けてクライアントとの打ち合わせや社内関連部署の調整なども行います。

大きなプロジェクトを扱うケースも多く、総工事費が巨額となるプロジェクトも珍しくありません。

クライアントや社内関連部署と関わりながら、竣工に向けて案件を動かしていくのが仕事の醍醐味となるでしょう。

設計

クライアントの要望を受けて建築物の図面や模型を作成し、具体的な形をデザインする仕事です。

自分がデザインした建築物が街に実現するのは、大きなやりがいとなるでしょう。

通常、ゼネコンの設計部門では以下のように設計する内容によって担当がわかれています。

<建築設計>

  • 意匠設計:建物の外観デザイン、内部の間取りなど
  • 構造設計:建物の構造となる土台や柱など
  • 設備設計:衛生設備、電気設備、空調設備など

<土木設計>

  • 概略設計:計画全体の構造や材料など
  • 詳細設計:構造の詳細など

ゼネコンでは設計から施工までを一貫して行うため、社内施工管理部門と連携しながら設計を進めます。

施工管理

施工管理とは、設計部門が作成した設計図をもとに、現場で建設工事を行う仕事です。

ゼネコンは個々の建設作業を下請け業者へ発注し、全体の進捗を管理します。

特に重要と言われるのが、以下の管理です。

  • 工程管理:工事が期限までに完了するためのスケジュール管理
  • 品質管理:クライアントから求められる品質基準を満たすための管理
  • 原価管理:予算内で工事を完成させるための資材の発注や原価の管理
  • 安全管理:作業員が事故なく作業するための安全面の管理

多くの人と関わる現場では、トラブルなど苦労も伴う場面もあるでしょう。

その分、大規模な建物を竣工したときには大きな達成感があります。

研究開発

ゼネコンの研究開発部門では、他社との差別化を生み出すための新しい技術の研究・開発を行っています。

たとえば、より耐震性の高いコンクリートの研究や、生産性向上のための建築工法の開発などです。

他社が模倣できない独自の技術があれば、それだけ競争の優位性を確保できるため、積極的な投資が行われています。

いわゆるスーパーゼネコンになると、自社の技術研究所や実験場など大規模な設備も備えています。

こうした研究開発は、ゼネコンの資金力や蓄積されたノウハウによって可能となるため、この研究開発部門の存在がゼネコンの特徴であるといえるでしょう。

サブコンの業務

サブコンはゼネコンから各専門分野の工事を受注し、工事に参加します。
各専門分野の工事の種類は主に以下の4つに分類されます。

  • 電気設備工事
  • 空調設備工事
  • 衛生設備工事
  • 消防設備工事

それぞれの工事について詳しく解説します。

電気設備工事

電気設備工事は、建物内に電気を引き込み、分電盤からコンセントや証明に電気を届けて使用できるようにする工事です。

商業施設など規模の大きな建物には、高圧の電気を引き込みます。

しかし、そのままだと使用できないため、実際に使用できる電圧に変換するための「受変電設備」を設置しなければなりません。

電気設備工事業者はこの受変電設備を設置する工事や、電話やインターネット回線などの通信設備の設置工事などを担当します。

空調設備工事

建物内の温度や湿度調整をするための設備を取り付ける工事です。

身近なところだと「家庭用エアコンの工事」などをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。

空調設備工事には、室内機と室外機の設置、それらをつなぐ配管とエアコンを動かすための電気工事などが含まれます。

サブコンの工事対象は、スーパーやショッピングモール、オフィスビルや病院などの建物です。

取り付けだけでなく、工事完了後のメンテナンス作業も担当します。

衛生設備工事

衛生設備工事は、給水や排水、給湯などの各衛生設備を取り付ける工事です。衛生設備工事は、給水工事と排水工事の2種類です。

給水工事

給水工事は、オフィスビルや商業施設などのさまざまな場所で水道が使えるように、給水設備や給湯設備に上水道を引き込むための工事です。

  • 直結式給水(給水管につなげたパイプから直接給水する方法)
  • 中高層直結式給水(増圧ポンプで水圧を高める方法。中高層マンションなどで用いられる)
  • 受水槽式給水(屋上などに設置した高架水槽を用いて給水する方法)

これらの給水設備を設置して、水を供給できるようにします。

排水工事

排水工事は、各施設から出る下水を公共下水道まで流すための装置や配管を設置する工事です。

排水工事の種類は大きく分けて以下の2つあります。

  • 屋内配管工事
  • 屋外排水管工事

屋内配管工事とは、建物内部の排水を下水道に流すための工事です。

屋外排水管工事とは、敷地内に溜まった雨水などを排出するための工事を指します。

消防設備工事

消防設備工事は、以下のような建物や施設内での火災から安全を確保するための工事です。

  • 建物内の火を消すための屋内消火設備やスプリンクラー設備の設置
  • 火災が起こったことを知らせるための火災報知機の設置

上記以外に、避難はしごなどの避難設備の設置工事も行います。

消防設備工事の種類は、以下の通りです。

  • 屋内消火栓設置工事
  • スプリンクラー設置工事
  • 水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体または粉末による消火設備工事
  • 屋外消火栓設置工事
  • 動力消防ポンプ設置工事
  • 火災報知設備工事
  • 漏電火災警報器設置工事
  • 非常警報設備工事
  • 金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋または排煙設備の設置工事

まとめ

サブコンには専門性があり、所属するサブコンによって自分が磨いていくスキルや将来のキャリアプランも変わるでしょう。

基本的には、専門分野のスペシャリストとしてゼネコンから仕事を請け負うイメージです。

ゼネコンは元請け業者として建設現場の全体を管理する役割を担います。

建設現場では、多種多様な関係者をまとめる力や、工事の工程、品質、原価、安全管理など幅広い知識が求められます。

研究開発では、新しい技術の開発にチャレンジしていく機会もあるかもしれません。

これから建設業界に携わる方にとって、ゼネコンとサブコンのどちらがよいか、どのような業務が向いているか、悩むときもあるでしょう。

まずはそれぞれの役割や特徴を理解し、自身のキャリアを考えていきましょう。

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