建設業の許可を受けた場合、そのことを第三者に証明するものが建設業許可票です。
この建設業許可票は、建設業の許可を受けた際に交付されるものではないため、自分で準備しなければなりません。
では、建設業許可票には具体的にどのような内容を記載しなければならないのでしょうか。
建設業許可票の仕様や、掲示しなかった場合のペナルティーなどもあわせて確認しておきましょう。
- 目次
- 建設業許可を取得するためには
- 建設業許可票が必要な理由
- 建設業許可票を掲示する場所とは
- 建設業許可票に記載する内容とは
- 掲示する許可票のサイズや材質
- 建設業許可票を掲示しない場合のペナルティー
- まとめ
建設業許可を取得するためには
建設工事のうち、建築一式工事で1,500万円以上、それ以外の工事で500万円の工事を請け負う際には建設業許可が必要となります。
また工事を下請けに出す際に、その金額が3,000万円以上となる場合は特定建設業許可が、3,000万円未満の場合は一般建設業許可が必要となります。
以下の3点をすべて満たすと建設業許可を取得することができ、建設業許可票を掲示することができるようになるのです。
- (1)経営者としての十分な経験がある(経営業務の管理責任者の要件)
- (2)技術者として十分な経験がある(専任技術者の要件)
- (3)お金が十分にある(財産要件)
建設業許可票が必要な理由
建設業を行うためには、前もって行政機関で業種ごとの許可を取得しなければなりません。
その許可がなければ、一定の規模以上の建設工事を行うことはできないので注意してください。
一方、建設工事を依頼する立場からすれば、大きな建設工事を依頼する際は、必要な建設業の許可を取得している業者に依頼する必要があります。
しかし、実際に業者がその許可を得ているかどうか確認するのは簡単なことではありません。
そこで、建設業許可票を誰でも見える場所に掲示しなければならないこととして、建設業許可を受けた業者であることが確認できるようにしているのです。
建設業許可を受けることによって、金額の大きな工事を請け負うことができるメリットがあるうえ、安心して工事を任せられるという社会的な信用も得られます。
建設業許可を受けたという事実を明らかにする建設業許可票を掲示することは、建設業者としての信頼・信用を示すものと考えられるのです。
建設業許可票を掲示する場所とは
建設業許可票を掲示する場所についても、法律で細かく定められています。
建設業許可を取得したら、その店舗(本店・支店・営業所)に掲示しなければなりません。
また、実際に工事を行っている場合には、その工事現場の見やすい場所に掲示しなければならないとされています。
店舗に掲示する建設業許可票と、工事現場に掲示する建設業許可票では、その記載内容や大きさに違いがあるため、それぞれ確認しておきましょう。
建設業許可票に記載する内容とは
建設業許可票に記載すべき内容は、法律で定められています。
店舗に掲示するものと工事現場に掲示するものでは、その内容にわずかながら違いがありますので、次にご説明します。
店舗に掲示する建設業許可票の記載内容
- (1)一般建設業または特定建設業の別
- (2)許可年月日
- (3)許可番号及び許可を受けた建設業
- (4)商号または名称
- (5)代表者の氏名
このうち(3)の許可番号は、5年ごとの更新によって新たな番号となります。
そのたびに記載内容が変わるため、注意しなければなりません。
工事現場に掲示する建設業許可票の記載内容
- (1)一般建設業または特定建設業の別
- (2)許可年月日
- (3)許可番号及び許可を受けた建設業
- (4)商号または名称
- (5)代表者の氏名
- (6)主任技術者または監理技術者の氏名
店舗に掲示するものとの大きな違いは、(6)の主任技術者または監理技術者の氏名を記載しなければならないことです。
これ以外の記載内容について大きな違いはありません。
掲示する許可票のサイズや材質
掲示する建設業許可票は、その大きさが決められています。
長らく許可票は「縦40センチ以上×横40センチ以上」の大きさがなければならないと定められていました。
しかし、2011年に規則の変更があり、店舗に掲示するものについては「縦35センチ以上×横40センチ以上」、工事現場に掲示するものについては「縦25センチ以上×横35センチ以上」とされることになりました。
建設業許可票は、金属素材を用いて作られるのが一般的です。
一度作成すれば、更新によって許可番号が変わるまでの5年間はそのまま使用することができるため、劣化しにくい丈夫な素材で作るのです。
記載内容や大きさ以外は特に法律で定められているわけではないため、その素材や色は自由に選択することができ、手書きで作成しても問題はありません。
ただ、工事現場で使用するものは風雨にさらされる屋外に掲示することが多く、また汚れやすいため、ある程度しっかりとした素材で作る必要があります。
そのため、看板業者などに頼んで制作してもらうケースが多いのです。
建設業許可票を掲示しない場合のペナルティー
もし建設業許可票を掲示しないと、どのような罰則があるのでしょうか。
建設業許可を受けた建設業者が建設業許可票を掲示しなかった場合、過料10万円以下が課されることがあります。
許可票を掲示していなかったからといってすぐに過料が課されるとは限りませんが、多くの建設現場を抱えているような場合であっても、その現場一つひとつに建設業許可票が必要とされるため、忘れないようにしなければなりません。
また、5年ごとの更新により許可番号が変わった場合は、その都度正しい建設業許可票を作成し掲示しなければなりません。
更新して許可番号が変わったのに、前の番号のまま放置することがないようにしましょう。
まとめ
建設業許可票は、厳しい要件をクリアして建設業許可を得たことを第三者に証明するものです。
建設業許可票は法律で必ず掲示しなければならないと決められており、自らの信用の高さをアピールできるものとも考えられます。
ただ、建設業許可票は普通の看板と異なり、記載内容や大きさなどが細かく決められています。
また、掲示する場所についても定められているため、漏れのないようにしなければなりません。