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土木工事を受注する流れ・提出書類【必要な許可や申請とは?】

この記事でわかること

  • 土木工事の受注高の傾向がわかる
  • 土木工事に必要な許可や申請がわかる
  • 土木工事を受注する流れが理解できる

日本のインフラを支える土木工事。

「公共工事を受注して安定した売上を確保したい」「仕事の幅を広げたい」など、土木工事に興味を抱く建設業経営者は多いのではないでしょうか。

本記事では、建設業経営者向けに土木工事に必要な許可や申請、工事を受注するまでの流れについて詳しく解説します。

土木工事の受注高の推移

国土交通省が大手50社を対象に実施している「建設工事受注動態統計調査」によると、令和4年の建設工事受注総額は2年連続で増加しており、4.8%増の16兆5,482億円という結果が出ています。

一方で、土木工事の受注高については、5兆498億円で2.5%減少という結果になっています。

土木工事の受注高の減少は4年ぶりとのことです。

種類別では、土木その他、鉄道、港湾・空港等が増加し、道路、電線路、土地造成等が減少しています。

また、土木工事の受注高減少の他にも、物価高による材料価格の高騰や人手不足の影響から、倒産件数が大幅に増加するといった問題が建設業界全体で起きています。

建設業界全体の受注額は増加傾向にあるため、今後の建築需要には期待が持てるものの、新たな問題が浮上するなど課題も多くあります。

長期的な成長を見据えた場合、今後の課題解決に向けた建設業界全体の取り組みが重要になると言えるでしょう。

土木工事を受注する際に必要な許可・申請

土木工事を受注する際、請負金額が500万円未満の軽微な工事であれば許可の取得や申請は必要ありません。

ただし、「500万円以上の土木工事を受注したい」「公共工事を受注したい」といった場合には、以下の許可や申請が必要となります。

  • 建設業許可の取得
  • 経営事項審査の申請

それぞれについて解説します。

建設業許可とは

建設業許可は、500万円以上の土木工事を受注する際に必要となる許可です。

建設業許可がない場合、500万円未満の軽微な工事しか請負うことができません。

そのため、大規模な土木工事を受注したい場合や、売上げを増やしたい場合には建設業許可を取得しておいた方がいいでしょう。

建設業許可を取得すれば、発注者や金融期間からの信用も得られるため、工事を受注しやすくなり、また融資を受けやすくなるといったメリットが得られます。

経営事項審査とは

経営事項審査は、国や地方公共団体等が発注する公共工事の入札に参加する場合に受けておかなければならない審査です。

下請の立場で公共工事に参加するのであれば、経営事項審査は必要ありません。

ただし、元請として公共工事を受注したいとお考えであれば、経営事項審査の申請は必須となります。

経営事項審査を受けることで公共工事の元請になれることはもちろんのこと、民間企業のような貸し倒れの心配がなくなるなどのメリットが得られます。

土木工事を受注する流れ・必要書類


土木工事の種類は多岐にわたり、主に以下の種類があります。

  • 道路工事
  • 河川工事
  • 橋梁工事
  • ダム建設工事
  • トンネル工事
  • 空港建設工事
  • 土地区画整理工事
  • 土地造成工事
  • 公道下の下水道工事
  • 農業土木工事
  • 森林土木工事
  • 砂防工事

土木工事はインフラ整備工事が多いのが特徴で、発注者のほとんどが国の省庁や地方自治体となります。

そのため、こちらでは公共工事を受注する流れについて解説していきます。

土木工事を受注する流れは以下のとおりです。

  1. 建設業許可を取得する
  2. 経営事項審査を受ける
  3. 入札参加資格申請
  4. 公共工事の入札参加

それぞれ詳しく解説します。

1.建設業許可を取得する

公共工事を受注するためには、建設業許可の取得と経営事項審査を受けることが必要です。

ただし、経営事項審査は建設業許可を取得しなければ受けられないため、最初に建設業許可を取得しなければなりません。

また、経営事項審査を受けるには、「決算変更届」と「経営状況分析申請」も必要となります。

決算変更届と経営状況分析について

建設業許可を取得したら、決算日から4ヶ月以内に決算変更届を提出しなければなりません。

決算変更届は経営事項審査とは関係なく、建設業許可を取得した会社の義務となります。

決算変更届の提出は毎年行わなければならず、未提出の場合は許可の更新ができないこともあるため注意が必要です。

決算変更届には、以下の書類が必要となります。

  • 変更届出書
  • 工事経歴書
  • 納税証明
  • 事業報告書
  • 健康保険等の加入状況

続いては、経営状況分析についてです。

経営状況分析は許可行政庁や役所ではなく、分析機関に依頼します。

必要書類は以下のとおりです。

  • 経営状況分析申請書
  • 財務諸表
  • 税務申告書(別表16(1)(2))
  • 建設業許可証明書または許可通知書の写し

建設業許可を取得したら、経営事項審査を受ける前に決算変更届と経営状況分析の2つも行わなければならないことを覚えておきましょう。

2.経営事項審査を受ける

建設業許可の取得、決算変更届、経営状況分析がすべてクリア出来たら経営事項審査を受けます。

経営事項審査は、建設事業者の経営状況を点数化するための審査です。

  1. 経営状況
  2. 経営規模
  3. 技術力
  4. その他の審査項目(社会性等)

経営事項審査を受けることで、上記4項目ごとに点数が付けられます。

3.入札参加資格申請

経営事項審査を受けた後は、発注者に対して入札参加資格申請を行わなければなりません。

公共工事は入札によって発注先が決められるため、経営事項審査を受けただけでは受注できないからです。

入札参加資格申請をすると、発注者は経営事項審査の点数と個別評価の合計点によって各業者の格付けを行います。

入札に参加できる工事の規模は格付けによって変わるため、高額な工事を受注するには高い格付けであることが必要となります。

4.公共工事の入札参加

経営事項審査を受け、入札に参加したい自治体や公共機関への入札参加資格申請がクリアできれば、いよいよ入札です。

  • 一般競争入札
  • 指名競争入札
  • 随意契約

入札方法は工事の規模や内容によって上記3つに分類されます。

一般競争入札とは

入札する際に制限を設けず案件を広く公表し、入札参加を求める方法です。

最も安い金額を付けたものが落札できるというシンプルな入札方法です。

一般競争入札は、価格勝負のため中小企業や一人親方でも受注できるチャンスがある点がメリットと言えます。

ただし、参入障壁が低いことから低価格になりやすく、利益が出にくいといったデメリットもあります。

指名競争入札とは

指名競争入札は、発注元で入札参加者を指名して行う入札制度です。

地元企業や、特定の技術が必要な工事実績がある企業を選びたい場合に用いられます。

企業の絞り込みができるため、発注者側にとっては技術力がわかった企業を選べるというメリットがあります。

一方、新規参入者にとってはチャンスが回ってこないというデメリットにもなります。

随意契約とは

入札ではなく、発注元が工事請負先を指定する方法です。

少額、簡易な工事、緊急性の高い工事などに利用されます。

まとめ

土木工事の多くの案件は公共工事のため、受注先の拡大や売上の増加を望むのであれば「建設業許可の取得」および「経営事項審査の申請」を検討することをおすすめします。

とはいえ、建設業許可、経営事項審査ともに資料の収集や作成には非常に手間と時間がかかります。

複雑でわかりにくいことも多々あるため、不安のある方は専門家に相談してみるのもいいかもしれません。

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