建設業の許可を取得したあと、次の更新までに何も手続きが必要ないかというとそうではありません。
許可を受けた項目に変更が生じる都度、また、事業年度が終了するごとに各種変更届を提出する必要があります。
変更が生じてから30日以内に
次の事項が変更となった場合には、内容に応じて添付書類をそろえて変更届出書を30日以内に提出する必要があります。
商号又は名称、営業所の名称、所在地、電話番号、営業所の新設、資本金・出資総額、法人役員、個人事業主、支配人、営業所の業種、建設業の廃業に関する各変更
商号や名称等、謄本の絶対的記載事項となっているものについては謄本の添付でこと足りますが、その他の次項については、各種契約書や図面などの添付も必要になりますので、添付書類が非常に多くなります。
廃業については、添付書類はありません。
変更が生じてから2週間以内に
次の事項に変更があった場合には、2週間以内に変更届を提出しなければなりません。
2週間という短い期限が設けられているのは、管理責任者や専任技術者等、日々の営業上非常に重要な事項に関する届け出であるためです。それぞれの変更に応じて、証明書や一覧表を出しなおす必要があります。
経営業務の管理責任者、専任技術者、建設業法施行令第3条に規定する使用人
事業年度終了後から4か月以内に
建設業許可変更届の中で最も提出する頻度が高いものが事業年度終了届になります。
商号や事業所の変更はどの事業所にでも発生するものではありませんが、どんな事業所にも事業年度は存在します。
この事業年度終了届についてはすべての事業所において、事業年度終了の時から4か月以内に提出する必要があるとされています。
株主総会や、その他の特別な理由のない場合には、ほとんどの中小企業において税務申告を事業年度2か月以内に行う必要があります。大企業においては、3か月以内に確定することが多くあります。
ほとんどすべての事業所において3か月後には決算が確定しますから、ここからさらに1か月程度の猶予期間を経て、建設業許可の事業年度終了届の提出期限となります。
4か月という期間は決して長いものではなく、通常の決算報告が完了し一息ついたころには提出期限が迫っている状態ですので、担当者は提出期限に遅れることの無いように、しっかりと用意をしましょう。
添付書類については、提出先の自治体により若干の差があるようです。
例えば、東京都への提出については、個人の場合に事業税の納税証明書が必要とされます。
事業税については、個人事業主から確定申告書の提出を受けた税務署より都税事務所(県税事務所)に事業税を計算するための情報が伝達され、計算されることとなっています。
このため、どうしても納付や納税証明書の発行にタイムラグが生じてしまいます。
具体的には、個人が事業税の納税証明書を取得できるようになるは、遅い場合で7月から8月になることもあります。
所得税の確定申告を期限後に行ったような場合においては、もっと遅い可能性もあります。
このため、8月半ばまでに事業年度終了届を提出するような場合においては、所得税の納税証明書に代えることできます。
また、事業税には免税点制度があります。
一定額以下の所得に関してはまったく課税されません。
従って、事業税の納付もないため納税証明書を取得することができません。
このような場合は、所得税の納税証明書を提出すればよいことになっています。
事業年度終了届については、提出を失念してしまう事業所が多くあります。
提出がないと、建設業法第50条の罰則の対象になる可能性があります。
また、更新や追加の申請を受け付けてもらえなくなります。
東京都においては、東京都都市整備局市街地建築部建設業課より事業年度終了届の未提出について特別に注意喚起の通知が出ています。
上記の内容が通知には記載されており、また、複数年度の書類を綴じ込んで提出することの無いようにとの記載があります。
実務上多くの事業所において複数の事業年度に関する終了届の提出を失念して、更新などの手続きの際にあわてて提出していることが容易に想像できます。
もし万が一、失念していることが発覚した場合には、担当課に一報を事前にいれ、速やかに提出するようにしましょう。
事業年度終了届には多くの添付書類が必要とされています。
これは、一年ごとにしっかりと営業内容の報告をすることが必要なためです。
なぜならば、建設業許可の取り消しの理由の一つには、一年以上の営業停止をした場合という項目があります。
毎年、しっかりと事業年度終了届を提出することによって、建設業に関する営業の継続を報告しているともいえます。