この記事でわかること
- 建設現場で行われる安全ミーティングとはどのようなものかわかる
- 安全ミーティングの目的や実施する際の手順を知ることができる
- 安全ミーティング報告書の記載内容や作成方法を知ることができる
建設現場では、日々危険と隣り合わせの状態で仕事を行っています。
そのような状況の中で、災害や事故の発生を防ぐ安全ミーティングが非常に重視されています。
ここでは安全ミーティングではどのようなことを行うのか、そしてその目的は何かを解説していきます。
また、安全ミーティングで作成する報告書の書き方や記入例についても確認していきます。
安全ミーティングとは
安全ミーティングとは、建設現場ですべての作業員が参加して行う会議や打ち合わせのことです。
通常、建設現場では全体で安全朝礼が実施されます。
その後、同一の職種や関連する作業を行うものが集まり、より細かな打ち合わせを行います。
これが安全ミーティングと呼ばれるものです。
安全ミーティングを実施したら、その内容について記載した報告書を作成します。
この報告書を作成することで、日々の作業の中で発生した問題点を共有し、事故を未然に防ぐことができるのです。
安全ミーティングの目的
安全ミーティングを行う目的は建設現場での安全な環境づくりであり、事故のない作業現場の実現にあります。
安全な現場を実現するためには、どのような危険が潜んでいるのか、気づいた人から全体に向けて発信することが重要です。
そこで、一部の人だけの打ち合わせではなく、全作業員が参加する安全ミーティングでその情報を共有することとされているのです。
安全ミーティングは、建設現場における危険予知活動(KY活動)の一環ととらえられています。
ここで話し合われた内容は、前述したように安全ミーティング報告書にまとめられ保管されます。
この安全ミーティング報告書は、労務安全書類の1つとして作成され、会社に保管しておく書類となります。
安全ミーティングを行う流れ
それでは、実際にどのように安全ミーティングを実施するのか、そのポイントを確認していきましょう。
おおまかな流れや注意点を知っておけば、書類の作成までスムーズにミーティングを進めることができるはずです。
誰が実施するのか
安全ミーティングを実施するのは、職長・安全衛生責任者や作業主任者、作業責任者など、各事業者における責任者です。
安全ミーティングは、基本的に請負事業者ごとに分かれて行われ、かつ職種や作業ごとに行われます。
そのため、それぞれの責任者となる人が中心となって安全ミーティングを行うことになるのです。
実際に安全ミーティングに参加するのは、すべての作業員です。
意見を出したり発言したりするのも、責任者だけでなくすべての人に機会が与えられるようにしなければなりません。
いつどこで実施するのか
建設現場では、毎朝作業を開始する前に朝礼が行われます。
その朝礼が終わった後に、引き続き安全ミーティングを行うこととなります。
実際に安全ミーティングを行う場所は、その建設現場の中の作業場所や作業工区になります。
他にも分かれて安全ミーティングを行っているグループがあるので、お互いに邪魔にならないように場所を確保する必要があります。
どのような内容が行われるのか
安全ミーティングで、実際にどのような内容の話し合いを行うのかについては、おおよそ以下のような内容となります。
(1)元請事業者からの連絡や指示
元請事業者から下請事業者に対して、作業に関する連絡や指示が出されることが想定されます。
そのような内容をすべての人に周知するため、安全ミーティングの場で全員に伝えるようにします。
(2)安全工程打合せ結果に関する連絡
安全工程打合せは、毎日、元請事業者が下請事業者の職長や安全衛生責任者を呼んで開催されます。
その内容は、当日の作業の進行状況や翌日の作業予定など、日々の作業にあわせて変化していきます。
そこで話し合われた内容の中に、すべての作業員に伝えておくべき内容があれば、翌日の安全ミーティングで伝えられます。
(3)安全指示書の内容
安全指示書は、安全工程の打合せや作業間の連絡事項をまとめた書類です。
作業を安全で効率的に行うとともに、法令を遵守した作業の徹底のために作成されます。
安全指示書は、通常一次下請の事業者が作成します。
その内容を、すべての下請事業者に伝達することとされているのです。
具体的には、作業内容・作業時間・作業場所・資格確認・危険有害対策・元請からの指示事項などが伝えられます。
(4)服装チェック・健康チェック
もっとも基本的なことですが、現場での作業を安全に行うために非常に重要なことです。
服装に問題がないか、あるいは体調は万全かといったことを確認するのです。
安全ミーティング報告書の書き方・記入例
安全ミーティングを実施した際には、必ず安全ミーティング報告書を作成することとなります。
この報告書があることで、安全管理の実施状況を後から確認することができるのです。
ここでは、安全ミーティング報告書の書き方や記載例についてご紹介します。
安全ミーティング報告書の書式
安全ミーティング報告書は、法律によりその書式や記載内容が定められているわけではありません。
しかし、一般的には全建統一様式第8号と呼ばれる書式が利用されています。
この書式は、以下のようなものです。
なお、元請業者が独自の書式を定めている場合もあるため、必要に応じて使い分ける必要があります。
記載例(1)
それでは、実際の記載例から、何を書いたらいいかわかりにくい箇所をいくつかご紹介していきます。
まずは、いつどこで何をするかという作業の内容や方法について書く欄です。
作業日、作業場所、作業内容、作業方法、作業人員について記載していきます。
ここに記載した内容をもとに、書類の下部に記載をすることとなるため、なるべく具体的に記載するようにしましょう。
記載例(2)元請からの連絡調整事項
次に、元請からの連絡調整事項の欄です。
ここには、元請業者からの指示や連絡事項を記載します。
一般的な内容であっても、元請業者からの指示があった場合には、必ず記載するようにします。
記載例(3)実施したリスクマネジメント
安全ミーティング報告書の中では、最も分かりにくい部分かもしれません。
またこの箇所こそが、安全ミーティング報告書の最も重要な部分ともいえます。
作業にあたってどのような危険が予測されるのか、その危険度はどれくらいなのかを判定します。
そして危険度の高いものから順に、その対策を講じることが求められるので、具体的な措置を記載します。
その結果、どの程度まで危険度が下がったのかを記載するのです。
安全ミーティングで、作業中にどのような危険があり、どういった事故が起こる可能性があるのか、認識する必要があります。
また、その危険を放置せず、必要な対策を講じることが大切なのです。
参考:全国建設業協会
まとめ
安全ミーティング報告書は、事業者が保存しなければならない労務安全書類(グリーンファイル)の1つとされます。
そのため、建設現場で従事する事業者は必ず作成しなければなりません。
安全ミーティングは毎日実施するものであることから、日々の作業の1つとして形骸化しやすいものとも言えます。
しかし、安全ミーティングは安全管理のために非常に重要なものであることから、適当に終わらせることのないようにしましょう。