業界を驚かせた型破りな挑戦!20代だけで新オフィスを出店。
2023年4月、渋谷にベンチャーサポート税理士法人の新たなオフィス、渋谷グロースオフィスが誕生しました。コンセプトは「20代の若手スタッフで構成するクラウド会計専門オフィス」。
税理士業界で通常新オフィスを出すとなれば、「社歴・年齢の高いベテランメンバー」を中心にリスクを最小限にして出すのが常識です。
その常識をひっくり返すような挑戦は業界でも話題になり、他の税理士事務所からも問い合わせが来ました。
「なぜ若手スタッフだけでオフィスを出したのか?」
「どうやって運営をしているのか?」
「リスクや失敗はなかったのか?」
今回は、渋谷グロースオフィス代表税理士の垣見啓太さんに開設1年の歩みや渋谷グロースオフィスの特徴について語ってもらいます。
ベンチャーサポート税理士法人
渋谷オフィス 代表税理士
21歳まで飲食業に従事していたが、将来への不安から、税理士資格の取得を目指すことに。大阪の会計事務所を経て、ベンチャーサポート税理士法人へ入社。顧問先担当、営業担当に従事した後、渋谷オフィス代表税理士に就任。
── まず、渋谷グロースオフィス開設の経緯を教えてください。
組織の規模が拡大していく中で、若手スタッフを中心に「自分より上の年次の人が多いからこの先のキャリアが停滞しそうで心配」という声が上がるようになりました。
やる気や能力があっても、上のポジションが詰まっているためキャリアアップのチャンスを見込めないと悲観する若手が生まれている状況になってきそうだったんです。
そこで、前年度の顧客紹介件数ランキング全国1位を獲得し、ずば抜けた成果を挙げてきた当時27歳の宮村をオフィスリーダーに据え、彼のような若手が「切磋琢磨」しながら成長=growthできる環境を提供することを目的に、渋谷グロースオフィスが生まれました。
▲左から渋谷グロースオフィスリーダーの宮村翔大さん、代表税理士の垣見啓太さん
── グロースオフィスのスタッフはどのように選ばれたのですか?
「スタッフの成長にフォーカスする」というコンセプトのもとに、都内の各オフィスに所属する20代を中心としたスタッフから「目標や仕事のゴールを自ら設定し、主体性をもって意欲的に仕事を進められる」と思われる人に声をかけました。
メンバー選抜にあたっては、お客様からの満足度が高いスタッフを選ぶことも重視しました。
具体的には既存の契約をしているお客様から、新しい新規のお客様のご紹介が多いかどうかを見ています。
ただし、いくら紹介が多くても、解約や減額も多ければ意味がありません。
「紹介で増えた売上の金額」と「増額できた売上の金額」から、「解約で減った売上の金額」と「減額になった売上の金額」を引いた金額で判断します。
社内では「個人PL」という呼び方で、スタッフごとに集計しているものです。
── スタッフ数は何名ですか?
約20名です。内訳は担当者10名にアシスタントが7、8名ほど。
運営メンバーは私と宮村の2名です。
ベンチャーサポート本体のオフィス(以下、本体オフィス)は1オフィス当たり50名前後ですので、小人数オフィスの部類になります。
── オフィスの内装にもこだわったと聞きました。
働くメンバーが働きたいと思える環境づくりにこだわり、精鋭メンバーが揃っているオフィスとして、スタイリッシュな空間を作りました。
かっこいいオフィスで働いている方がやはりテンションも上がると思いますし、そこに ふさわしい人物になりたいと思ってもらえるような環境的な効果も狙いました。
── 精鋭メンバーに選ばれた特別感も感じますよね(笑)。その他、本体オフィスにはない特徴はありますか?
一つは「クラウド会計専門オフィス」ということです。
クラウド会計というのは、一言でいればAIを使った自動化会計ソフトのことですね。
最先端の会計ソフトであるマネーフォワード、freee、弥生会計オンラインを専門に取り扱うことで単純作業を減らし、付加価値の高い「コンサルティング」の部分をより深掘りすることが出来ています。
もう一つは、「WEB広告を出していない」ということです。
ベンチャーサポートと言えば、WEB広告を駆使してお客様を増やしていることが特徴です。
ですが、敢えてお客様からの紹介など自分たちで新規のお客様を獲得することにこだわりました。
── 昨年4月にオープンして1年が経ちますが、本体オフィスと比べて成長スピードはどうですか?
数字的な面でお話しますと、個人PLのオフィス別累計が他の本体オフィスと比べ約8倍の結果となりました。
全オフィスのスタッフを対象とした「年間紹介ランキング」でも、2023年の全国1位はグロースメンバーでしたし、TOP20にグロースメンバーが5人ランクインしました。
成長意欲の高いメンバーを集めていますので、自分の成長と数字に貪欲な人が多いですね。
WEB集客に頼らずとも収益が成り立つことを証明し、本体オフィスのスタッフにも良い影響を与えることができていると感じます。
── 20代スタッフが中心ですが教育面はどうしていますか?
メンバーの選考時に、教育は不要で自走できるか?という点も加味し最終決定しましたので、基本的には実務面の教育が必要なメンバーはいないです。
もちろん補填として、税務知識の豊富なベテランメンバーを2名配置していますので、困った時にはそのスタッフに相談できる体制にしています。
モチベーションなど意識付けの部分は主にオフィスリーダーの宮村が行っています。
あとはベンチャーサポートには『アドバイザー』という各オフィスを回って、オフィスリーダーとは違う立ち位置から担当者の課題解決のサポートをしてくれる役割の方がいるのですが、グロースメンバーも管理メンバー以外は全員アドバイザーがついてくれています。
── グロースオフィスで得られることはなんだと思いますか?
精鋭メンバーが集まって切磋琢磨することによって、個人の能力をさらに伸ばしていけるところがメリットの一つでもあるんですけど、実は個人結果主義だけじゃなく相互協力も生まれオフィスの一体感も高まっています。
グロースメンバーには、個人の成果が出たら良し!ではなく、個人成果を出したら次はオフィス全体の状況を見て、個人PLがマイナスの人がいたら今月は自分がその分を取り返す!といった助け合いの文化ができています。
小人数だから出来ているのかなと思いますが、本当にみんなが「グロースオフィスのために」という主体的な行動をしてくれています。
── 今後グロースメンバーにはどんなことを期待していますか?
一定期間グロースオフィスで経験を積んだあとは本体オフィスに戻り、グロースオフィスで学んだ経験を組織に還元し、周りを引っ張っていけるリーダーとなってもらう育成をしています。
すでにオープン当初のメンバーは3名ほど本体オフィスに異動し、第2期生が入ってきました。
今後、営業リーダーやオフィスリーダーといったキャリアステップを積んでいくスタッフを多く輩出できたらと思います。
── グロースオフィスの次の展開はどんなことを考えていますか?
渋谷に続く、新たなグロースオフィスを生み出していく予定です。
まず2024年4月、新宿に第2のグロースオフィスを開設しました。
新宿の次は未定ですが、東京であれば銀座になるかと思います。
ただし「出店計画ありき」では考えていません。
若いスタッフから「もっと上に行きたいのに上が詰まっていてチャレンジできる場がないんじゃないか」という声が上がることが大事なんです。
まずは若手スタッフたちの熱量をどれだけ高められるかが、1つのきっかけになってくるではないでしょうか。
▲渋谷グロースオフィス初期メンバー
── 最後に伝えたいことはありますか?
グロースオフィスを作ったきっかけの一つでもありますが、今の20代は一社に長く勤めてキャリアアップというより、より自分らしいキャリア育成をすることがごく一般的となっています。
だからか自分の経験値を広げ、どの会社でも通用する能力を求めている人が多いと感じます。
そう考えた時に、グロースオフィスというのは早い段階で裁量を持たせ、様々な経験ができることがメリットになっています。
「自分は将来こうなりたいから、今からこれをやってみたい」と自分の意志で取り組んでいける環境。
それを用意できたことが、ベンチャーサポート税理士法人の面白いところだと思います。