税理士業務は社会に欠かせないインフラ
銀座オフィス 税務コンサルタント 白井尚
さっそくお伺いしたいのですが、税理士法人の仕事とはどんな仕事ですか?
コロナ禍でとくに感じたのは、僕たちの仕事は社会に欠かせないインフラだということです。給付金や支援金など行政のさまざまな支援策は、僕たちなしでは企業経営者に正しく行き渡っていなかったことを実感しました。
具体的に、どのようなことで役に立ったと感じたのでしょうか?
一番は、経営者の不安に寄り添えるということですね。コロナという、誰も予想できなかった・誰も経験したことのない危機に直面して、経営者ほど孤独で不安を感じた存在はいなかったと思います。その不安を吐き出してもらえる数少ない相手の1人が自分だったことは嬉しかったし、役に立てたと思っています。
なるほど。経営者の心の支えになることが大事な仕事なんですね。
そうですね、ただもちろん専門知識を使った実務的なサポートも同様に大事です。コロナ禍に政府が実施した中小企業の支援策には、条件が複雑なものもたくさんありました。持続化給付金はしっかり受給できたけれど、それ以降の支援金は僕から社長に声をかけて確認していなければ取り漏れていたというようなケースがたくさんありました。
たしかに、申請の条件や手続きのなかには、税理士法人に勤めている我々でも悩むようなケースはありましたね。
はい。他にも経営者によく頼りにされるのが融資(企業が金融機関からお金を借りること)です。金融機関から求められた時にスピーディーかつ正確な試算表を提出することで、(金利が)安く・(入金までが)早く・大きい金額の融資が実行されやすくなります。
融資が実行されるかどうかは経営者にとって死活問題なので、スピーディーに希望通りの融資が実行されたときはとても感謝されます。
仕事として報酬をもらうことも大事ですが、感謝の言葉をもらえることはお金に代えがたいものがありますね。
節税や税務調査の対応で活躍しているのかと思ったら、税金以外の仕事も多いのですね。
はい、もちろん節税や税務調査で感謝されることもたくさんありますが、日々、経営者の悩みを共有してもらっているからこそ、あらゆることで役に立てる実感があります。
長い付き合いになると、採用・教育のことについて相談されたり、どうやって競合他社と差別化するかという相談を受けることもあります。
白井さん自身、税理士法人で働く前から、このような仕事だと知っていましたか?
いえ、未経験の頃は税金を計算するだけの作業中心の仕事なのかなと思っていました。
実際、そういう意識で仕事をしていた時期もあります。でも、たくさんの経営者や同僚と接していくなかで、自分の意識次第で役割を広げていけることに気づきました。
仕事のスタンスを自分から変えたということですね。
はい。顧問先企業のことを真剣に考えていると、自然と自分の立場から意見を発することができるようになります。
企業にはいろんな人が関わっています。社長、経理事務員、税理士法人の担当者、金融機関の融資担当者、税務調査官など。それぞれの人がそれぞれの立場から会社の経営状況を見て、意見を述べます。
税理士法人の担当者として、経営者にどんな言葉をかけるか。それまでの関係性の築き方次第でそれはとても重みのある言葉となります。
それによって顧問先企業が良い方向にむかえば、価値のある仕事をしたと感じることができます。
仕事への意識と取り組み方で、提供できる価値も大きくなると。
はい。もちろん意見を述べた自分のおかげでということはなく、すべては経営者が行動した結果です。ただ、自分もきっかけの一部となって企業の業績が良くなれば、経営者やそこで働く従業員やお客様、そしてその家族全員が笑顔になれます。
そういうお手伝いをできる仕事だと思うと、税理士法人の仕事にはとてもやりがいを感じられますね。
本日はインタビューありがとうございました。
- 白井さん