【12/28】今日のニュース

01国税幹部もなげく税務調査の低レベル化

(2023年12月28日発行1月号 月刊社長のミカタより)
税務調査の質が落ちたという声が聞こえてきます。コロナ禍で調査自粛による若手調査官たちの経験不足が要因と思われます。納税者にとっては嬉しいと思いがちですが、そうでもなさそうなのです。

2020年7月から2021年6月の1年間で行われた実地調査はコロナの影響で所得税で前年比60.1%減という著しい落ち込みとなりました。

コロナ禍において、発生源とされた中国武漢からの帰国者や、国内感染が初めて確認されたクルーズ船の乗客一時受け入れ先として税務大学校校舎が使用されることとなり、そのとき行われていた税務職員への研修は一部途中で繰り上げ終了となりました。

その後、現地研修を再開しようとしたものの、感染者が使用したあとの部屋を使用することへの不安などがあり、最終的には埼玉県知事が「国が千人規模の集合研修を実施するということは知事としては看過できない」と発言するに至りました。準備不足でのオンライン研修でスキルが身に着くはずはなく、勉強も実地も積むことができていないというのが実態のようです。

調査はお互いが合意できる着地点を探る共同作業の部分もあり、話の通じない調査官だとそれができずに長期化しやすくなります。このような状況下、調査官には限られた時間の中ノルマがあるので、調査に入られやすい業種は注意が必要です。

開業医は高収入であるにも関わらず帳簿がいいかげんなことが多く、理屈で丸め込むことができるインテリ層はごり押しでくるチンピラ層よりもラクというイメージがあるようで、最終的には自分の土俵である税金の世界では調査官が勝ててしまうという部分があるようです。他にも、貴金属業、弁護士業といった好況、高所得の業界はターゲットにされている可能性があるので注意が必要です。