【11/29】今日のニュース
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01「インボイス開始後に特に留意してほしい事項」公表
インボイス制度が10月1日から開始されたが、国税庁は11月24日、「インボイス制度開始後において特に留意しいただきたい事項」をパンフレットにまとめ公表した。まず「登録通知が未達の場合の対応」を採り上げ、その対応として、事前にインボイスの交付が遅れる旨を先方に伝え、通知後にインボイスを交付、通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、通知後に改めてインボイスを交付しなおす。
さらに、通知後にすでに交付した請求書等との関連性を明らかにした上で、インボイスに不足する登録番号を書類やメール等で知らせる。また、事後的な交付が困難な小売店等では、事前にインボイスの交付が遅れる旨を事業者のHPや店頭にて相手方に知らせて、事業者のHP等において登録番号を掲示し、相手方にそのページとレシートを併せて保存してもらうなどの対応が可能だとしている。
次に「インボイスの適正性の確認」を留意事項の一つとして挙げて、売手から受領したインボイスについて、登録番号が適正なものか、取引の都度確認する必要があるのかとの疑問に対して、インボイスの適正性(番号が有効かどうか)については、事業者において確認する必要があるが、必ずしも取引の都度確認する必要はなく、取引先の規模・関係性・取引の継続性などを踏まえ、判断することになると説明。
また、インボイス公表サイトでの検索結果と、インボイスに記載された名称(屋号)が異なる場合はどうすればいいのかに対しては、公表サイトは、取引先から受領した請求書等に記載されている番号が、「登録番号」として取引時点において有効なものかを確認するために利用するものであり、その有効性が確認できれば、一義的には正しいインボイスとして取り扱って差し支えないとしている。
最後の留意事項は「クレジットカード利用の場合」。クレジットカード利用明細書は、一般的にインボイス記載事項を満たす書類には該当しないため、その保存のみで仕入税額控除はできない。ただし、例えば、少額特例の対象となる取引や、公共交通機関特例、出張旅費等特例など、インボイス保存不要で仕入税額控除が可能となる特例の対象となる取引は、カード利用明細書等に基づいて仕入税額控除に係る処理をしても問題ないとしている。
そのほか、ETCの利用に係るクレジットカード利用明細書は、ETC利用照会サービスからダウンロードした利用証明書(高速道路会社等ごとに任意の一取引)と合わせることで、簡易インボイスの記載事項を満たすものとなるので、その場合は、保存が必要になると説明している。TabisLand:「インボイス開始後に特に留意してほしい事項」公表
02高校生扶養控除、一律縮小を検討 税負担は児童手当の範囲内に
高校生(16~18歳)がいる世帯の扶養控除の見直しについて、政府、与党が所得税で38万円、住民税で33万円としている控除の水準を所得に関係なく一律で引き下げて縮小する案を検討していることが28日、分かった。当初は来年12月からの児童手当の高校生への拡大に合わせて廃止も検討していたが、年収によっては税負担増が手当を上回るため縮小にとどめ、税負担を手当の範囲内に収めて差し引きの家計負担が生じないようにする。
今後、与党の税制調査会で詳細を詰め、24年度税制改正大綱に盛り込む。与党内では控除の現状維持や、低中所得者の縮小幅を抑えることを求める声もあり、議論は曲折も予想される。kyodo:高校生扶養控除、一律縮小を検討 税負担は児童手当の範囲内に
03所得税・消費税調査 いずれも1件あたりの追徴税額が高水準
国税庁はこのほど、令和4事務年度における所得税および消費税調査等の状況を公表した。それによると、所得税の実地調査の件数は、特別調査・一般調査が3万5751人(対前年比148.5%)、着眼調査が1万555件(同143.8%)、簡易な接触の件数は59万1517件(同104.1%)で、これらの調査等の合計件数は63万7823件(同106.3%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は33万8268件(同106.6%)だった。
申告漏れ所得(調査等の対象となったすべての年分の合計)金額の状況を見ると、特別調査・一般調査によるものが5204億円(同134.1%)、着眼調査によるものは390億円(同123.4%)。一方、簡易な接触による申告漏れ所得金額は3448億円(同114.8%)。調査等の合計は9041億円(同125.5%)となっている。
実地調査による追徴税額は、特別調査・一般調査によるものが980億円(同126.1%)、着眼調査によるものは35億円(同134.6%)、簡易な接触による追徴税額は353億円(同139.0%)で、合計1368億円(同129.3%)となっている。
新型コロナウイルスの影響により数年前まで実地調査の件数は低水準だったが、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を優先して調査した結果、実地調査の件数、非違件数、申告漏れ所得金額の総額および追徴税額の総額はいずれも増加し、1件当たりの申告漏れ所得金額や追徴税額も高水準となった。
一方、消費税(個人事業者)の調査等を見ると、実地調査の件数は、特別調査・一般調査が2万677件(同152.5%)、着眼調査が4836件(同144.4%)、簡易な接触の件数は6万8472件(同100.3%)となり、調査等の合計件数は9万3985件(同110.3%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は6万1055件(同110.4%)だった。
追徴税額(調査等の対象となったすべての年分の合計で加算税を含む)は、特別調査・一般調査が322億円(同141.2%)、着眼調査は14億円(同107.7%)。消費税についても、実地調査の件数、非違件数、追徴税額の総額は増加し、1件当たりの追徴税額についても高水準となっている。
追徴税額を1件当たりでみると132万円となっており、前事務年度の143万円よりも減少した。簡易な接触による追徴税額は60億円(同84.5%)で、調査等合計で396億円(同126.9%)となった。日税ジャーナル:所得税・消費税調査 いずれも1件あたりの追徴税額が高水準
04中小127万社が後継者未定 政府、事業承継のM&A支援
中小企業の後継者不足が深刻となっている。中小企業庁の試算で、2025年までに平均的な引退年齢とされる70歳を超える中小の経営トップが245万人となり、うち127万人が後継者未定であることが分かった。政府は事業承継のためのM&A(合併・買収)を支援する民間ファンドへの出資などを通じ、問題の改善を狙う。
後継者不足の現状を映すのが黒字廃業の多さだ。東京商工リサーチによると、22年に休廃業・解散した中小企業のおよそ55%が黒字のままの廃業だった。後継者不在を理由にしたものが目立つ。東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏は「後継者不在率は6割を超えており、黒字廃業の中でも後継者不在によるケースも多い」と語る。
帝国データバンクのまとめでは、後継者難で倒産にまで追い込まれた件数は22年度に487件で過去最高となった。
中小機構は24年度にもM&Aを通じて事業を引き継ぐ企業に出資する民間ファンドへの支援に乗り出す。政府は機構の同事業向けに23年度の補正予算案に120億円を計上した。この資金をもとに機構はファンドに出資する。
中小企業は各地で地場の産業を支え、雇用の担い手として重要な役割をもつ。廃業すれば、地域経済に与える影響は大きい。前出の中小企業庁の試算では、25年に70歳超の中小経営トップ127万人が後継者を見つけられず廃業に追い込まれた場合、最大650万人の雇用が失われるという。
中小企業庁はM&Aによる事業承継の可能性がある中小が国内に30万社ほどあるとみている。同庁担当者は「事業を引き継いだ側の企業の成長率がM&Aの後に高まる事例は少なくない」と指摘する。
政府は中小企業診断士や税理士ら専門家を投資先の中小企業に派遣し、経営に参画してもらう取り組みも始める。政府・与党は24年度の税制改正で非上場株などの贈与税や相続税の納付を猶予・免除する制度の24年3月までの申請期限を延長し、事業承継を税制面でも後押しする。日経新聞:中小127万社が後継者未定 政府、事業承継のM&A支援
05ニチリンが11億円申告漏れ、海外に所得移転 大阪国税局
東証スタンダード上場の自動車用ホース製造販売会社「ニチリン」(神戸市)が大阪国税局の税務調査を受け、2021年12月期までの4年間で約11億円の申告漏れを指摘されていたことが28日、同社や関係者への取材で分かった。所得を海外子会社に移転したとして、国外への所得流出を防ぐ移転価格税制を適用した。
追徴税額は過少申告加算税を含めて約3億円。同社は修正申告し、全額納付した。同社の担当者は「当局との見解に相違があったが、納税は済ませた」としている。
関係者によると、国税局はベトナムなどアジア圏の子会社との取引を巡り、同社がホースの部品代金などを適正価格よりも安く設定したほか、子会社が支払うべき技術開発費なども肩代わりしたと指摘。日本で計上すべき利益を海外に移転させたと認定した。
ニチリンは1914年創業。2021年12月期の連結売上高は約582億円、経常利益は約75億円だった。日経新聞:ニチリンが11億円申告漏れ、海外に所得移転 大阪国税局
066年度税制改正大綱に向け自民税調が議論スタート、
定額減税の制度設計や賃上げ促進税制の強化など検討へ
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07インボイス制度開始後に特に留意する事項を示す、
公表サイトとインボイスに記載の名称が異なっても登録番号が有効なら仕入税額控除可
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08年末調整 誤りやすい点をチェックシートで最終確認
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