【10/20】今日のニュース

01首相、期限付き所得減税の検討指示へ 20日与党幹部に



岸田文雄首相は20日に税収増を国民に還元するための期限付きの所得税減税を検討するよう与党幹部に指示する方針だ。自民、公明両党の税制調査会で期間や規模などについて調整する。

首相は19日、首相官邸で記者団に「国民への還元については早急に具体化していきたい」と述べた。20日に自民党の萩生田光一、公明党の高木陽介両政調会長や両党の税調会長と会う予定を明らかにした。

20日の与党幹部との面会で、経済成長による税収増の一部を国民に還元するための方策を検討するように求める方向だ。足元の物価高を踏まえ「一時的で限定的な還元策」と位置づける。

こうした方針は23日に予定する衆参両院の本会議での所信表明演説でも表明する見通し。正式には近く開く政府与党政策懇談会で指示を出す。年末に2024年度の与党税制改正大綱を固める。

政府・与党は11月初旬ごろにまとめる経済対策で物価高騰への対応を第一の柱に据える。低所得者向けの給付金やガソリン代の補助の延長などを盛り込む方向で調整を進めている。

これに加えて自民、公明両党の提言には明記していなかった所得税の減税にも踏み込む。賃金上昇が物価高を上回るまでには時間を要するとみて所得税を納めている中間層も含めて恩恵が及ぶように還元策を講じる。

22年度の税収は71.1兆円と当初見通しより6兆円ほど上振れし、3年連続で過去最高を更新した。首相は経済対策を巡って「国民は物価高に苦しんでいる。成長の果実である税収増を国民に適切に還元すべきだ」との指示を閣僚に伝えていた。

日銀は日本経済の需要と供給力の差を示す「需給ギャップ」について4〜6月期にマイナス0.07%だったと推計している。政府は需要不足は解消に向かいつつあるものの、なおデフレから完全に脱却するまでには対策が必要とみている。

経済対策は物価高対策とともに供給力の強化に重点を置く。与党税調は半導体や蓄電池などの投資・生産コストの負担を軽減する税優遇や賃上げ促進税制の延長・拡充についても検討する。

首相は17日に「物価高に苦しむ国民を支援するとともに新しい経済ステージへのチャンスをつかみ取る。この2つを果たすために大胆な取り組みに踏み込みたい」と強調している。
日経新聞:首相、期限付き所得減税の検討指示へ 20日与党幹部に