【10/3】今日のニュース

01ジャニーズ問題、相続税でも注目 納税猶予が補償に影響



故ジャニー喜多川元社長による性加害問題で揺れるジャニーズ事務所が、相続税の面からも注目されている。先代から承継した株式の相続税納税が猶予・免除される「事業承継税制」の特例措置を受けていることが明らかになったからだ。事業承継税制の特例は比較的適用要件が厳しく、クリアしないと数百億円にのぼるともいわれる相続税の納税が必要となる。今後の被害者への補償にも影響を与えそうだ。

事業承継税制の特例の対象となったのは、9月5日付で引責辞任した前社長の藤島ジュリー景子氏が、創業者であるジャニー喜多川氏、ジャニー氏の姉で共同経営者だったメリー喜多川氏から承継したジャニーズ事務所の株式だ。

性加害の被害者補償の有力な原資である同社株を1株でも売却すると猶予が打ち切られ、「利子税込みで相続税を納税することになる」(辻・本郷税理士法人の浅野恵理税理士)。景子氏が猶予を優先すれば「補償原資は不動産など自社株以外の財産になる」と事業承継税制に詳しい牧口晴一税理士は見る。当面は1株も売却できないことが「被害者補償の足かせになる」との見方をする専門家は少なくない。

一方、ジャニーズ事務所は性加害問題で取引を見合わせる企業が相次いでいるため、社名変更を含む体制見直しを検討しているとされる。ただその場合「会社分割や合併など組織変更を伴うと、相続税の納税猶予が打ち切られる」(藤曲武美税理士)。つまり、納税猶予の優先はジャニーズ事務所の今後の組織再編にも影響が出る可能性がある。ジャニーズ事務所は10月2日に会見を開いて今後の会社の運営方針を明らかにする方針。その際には相続税の納税猶予と、被害者補償や事業再編の関連も注視する必要がある。
日経新聞:ジャニーズ問題、相続税でも注目 納税猶予が補償に影響