【7/27】今日のニュース

01国税への不服申立て 勝率5%の細い糸

(月刊社長のミカタ 2023年7月28日発行より)

国税勝率10割と言われた時代があったことを思えばまだマシかもしれませんが、まだまだ国税有利なのは変わりません。日々の会計処理、税務処理で税務トラブルの芽を摘んでおくことが一番の対策といえるのではないでしょうか。

税務署長、国税局長又は税関長が行った処分に対して不満がある場合、納税者は国税不服審判所長に対し審査請求をするか、税務署長等に再調査を請求後、国税不服審判所長に対し審査請求をします。国税不服審判所は納税者側と国税側の言い分を聞き、処分が正しかったかどうかを判断しますが、1年ほどかかります。裁決に納得できない場合、訴訟となりますが、裁判には多額の費用と時間がかかり、最高裁までもつれ込めば何年もかかることになります。

国税庁が発表した22年度のデータでは、納税者の主張が一部でも認められたケースは10%にも満たない結果となっています。ここまで納税者の勝率が低くなってしまう理由ですが、現在の税金に関する法律や通達は膨大かつ複雑となっており、類似業種の役員報酬額など納税者側が持たないデータを一方的に所持していますし、税に詳しくない裁判官がリサーチを依頼する「租税調査官」は国税出身の人材が担うことから、いかに公平中立を目指そうとも考え方そのものが国側に寄ってしまう、といった理由が挙げられています。日本弁護士連合会はこれまで複数回に渡り租税調査官制度廃止を求めていますが変化の兆しはありません。

現行制度に問題があろうとも、一度当局が下した処分が覆る可能性は1割もないということを念頭に、税務トラブルとならないよう調査の段階で食い止めることが最善策でしょう。

02全国でやまぬ過大徴収 その固定資産税取られ過ぎてます

(月刊社長のミカタ 2023年7月28日発行より)

総務省の調査では、特にミスが発生しやすいポイントとして、土地・家屋での「評価額」の算定ミスが最も多く、次いで土地の「減額特例」の適用し忘れ、家屋の「取り壊し」の反映忘れが多いことがわかっているそうです。他にも、墓地に課税されているなど、素人が見てわかる間違いもありますので、一定規模の土地を所有している場合、課税明細書を一度チェックしてみる、さらには不動産鑑定士などのサポートを受けてチェックしてみることも大切でしょう。

自治体も人材不足なのは民間と変わらず、過徴収は本来なら定期的に行うべき実地調査をまったく行っていなかったり、課税台帳への入力ミスが10年以上放置されていたり、担当者の異動時の引継ぎがほとんど行われていないなど税務行政のお粗末さが原因となっています。固定資産税の過徴収が注目されたのは14年に新座市で発覚した事例からですが、それ以降状況が改善したわけでもなく、日経が報じたところによると、事件があったあとも、全国の主要都市における固定資産税の過徴収の還付金の額は毎年70億円程度で変わらず推移しており、今年に入ってからも多くの過徴収が発覚しています。

過大に納めた税金の還付に関する時効規定は、地方税法18条の3にあり、原則的に5年と定められているものの、実際には多くの自治体では「過徴収金返還要領」と呼ばれるルールを定め、5年を超える過徴収についても返還する方針をとっています。時効は自治体により7年、10年、20年とまちまちで、過徴収が長期間に渡ると全額は返金されないことがほとんどで、期間を過ぎた分は泣き寝入りとなってしまっています。