【5/16】今日のニュース

01訪日客の消費税免税分21億円未徴収…転売狙いか、商品持たず納税もせず出国



税関当局が昨年度、免税品を購入した訪日客らに対し、免税要件を満たしていないとして消費税約22億円を徴収決定しながら、納税せずに出国する人が相次ぎ、うち約21億円が未徴収となっていたことがわかった。転売で「利ざや」を稼ぐ業者の存在が背景にあり、専門家は制度見直しを含めた議論の必要性を指摘している。

税関関係者によると、例えば、高級腕時計や化粧品など約4億7000万円分を免税購入した台湾籍の30歳代男女は、出国時に商品を持っておらず、「国際郵便で送った」などと釈明した。送り状の控えに記載された品名や数量が購入記録と一致しなかったため、消費税約4700万円の徴収を決定したが、納税せずにそのまま出国した。

税関の調査でも、20歳代の若者が高額商品を大量に購入するなど転売目的が疑われるケースが確認されており、ある税関職員は「業者から報酬をもらい、バイト感覚で免税品を買っているのだろう」とみる。

免税品を買い取る業者への対策を強化する改正消費税法が5月1日に施行された。転売などが確認された場合に、免税品の購入者だけでなく、買い取った業者にも連帯して納税義務を負わせることを可能とした。

国税幹部は「転売目的の悪質な免税購入を防ぐため、調査に力を入れていく」と話す。
読売新聞:訪日客の消費税免税分21億円未徴収…転売狙いか、商品持たず納税もせず出国

02事務所も顧問先も狙われる!猛威を振るうサイバー攻撃

(1772号税理士新聞より)

サイバー攻撃の件数がここ10年で29倍となっています。大企業のシステムに侵入するための足掛かりとして中小企業が狙われるケースが増えているといい、顧問先情報を山ほど持っている税理士事務所も恰好のターゲットとなり得ます。

中小企業のセキュリティ対策を促すべく政府が導入したサイバーセキュリティお助け隊サービス制度は端末一台あたり月額2,000円程度で導入できるように設定されています。これに対するIT導入補助金「セキュリティ対策推進枠」もあるため、関与先への情報提供とともに、事務所の対策も行いたいところですね。

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東京海上日動火災保険によると、通販サイトが不正アクセスを受けて顧客のクレジットカード情報が漏洩した事務用品の製造・販売業者の事例では、調査・復旧のために4カ月間のサイト運営停止を余儀なくされた結果、逸失利益が約4千万円発生したそうです。また、大阪商工会議所によると、盗み出した機密情報と引き換えに金銭要求するランサムウェアの攻撃を受けた機械製造業者の事例では、暗号化されたファイルの復旧などに総額2千万円かかっています。

サイバー保険への加入状況は日本企業は約8%。税理士職業賠償責任保険の情報漏洩担保特約への加入率は、法人は49.3%でも個人では19.9%にとどまっています。もちろんサイバー保険に加入しなくてもサイバー攻撃に対する対策は可能ですが、日本損害保険協会の調査によると、経営者の43.3%が自社のサイバーセキュリティ対策に自信がないと答えています。

03「認知症の社長に寄付をさせた」遺族が大学病院を提訴

(1772号税理士新聞より)

今回のケースは、認知症を発症していたという診断書がないとはいえ、認知機能の低下が指摘され、大脳の萎縮が確認されている状態での寄付でした。

認知症の症状はあるものの、軽度で意思能力はあるということを証明した上で寄付や贈与を行うことはあり得ますが、今回のケースで意思能力はあったのでしょうか。寄付時に意思能力があることをセカンドオピニオンに確認する、家族にもオープンにするなど、トラブルを避けるために病院側として取れる手立てがあったのではないでしょうか。

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東証プライム市場に上場している機械メーカー「澁谷工業」の前社長は2021年1月に金沢医科大学病院に入院し、その際に認知機能の低下が指摘され、同大病院の検査でも大脳の萎縮が確認されました。その後も通院を続け、同年5月に同病院創立50年の募金に応じるかたちで3億円を寄付し、5カ月後の10月に90歳で死亡。亡くなる直前には、別の病院で認知症の診断を受けていました。なお、前社長は亡くなる1か月前の9月に開催された株主総会でも取締役に選任されていました。

提訴したのは前社長の妻、長女、次女。寄付は家族に内密だったといい、長女は極めて異常で不当と病院に返還を求めましたが、病院側は「寄付時に既に認知症を発症していたという診断書がなければ、返還する理由がない」と断ったそうです。

遺族は認知症の疑いがあった前社長に3億円を寄付させたのは無効だとして、金沢医科大学などに損害賠償を求める裁判を起こしています。病院は争う構えを見せています。

04中期的な税制あり方を答申 政府税調が7月までに



政府の税制調査会(首相の諮問機関)は15日、財務省内で総会を開き、中長期的な税制のあり方を示す中期答申に向けた議論を始めた。少子高齢化や働き方の変化、デジタル技術の進展などに対応する。7月までの取りまとめをめざす。

同日の会合で委員から「すべての税について聖域を設けず(見直しを)考えないといけない」との意見が出た。財政需要を満たすための税収の確保策を考えるよう訴える声もあった。今後、個別の税目について議論を深める。
日経新聞:中期的な税制あり方を答申 政府税調が7月までに