元国税調査官・税理士の松嶋です。
税務雑誌等から注目すべき税務記事を紹介します。
税務通信3750より。

小規模宅地の特例における家なき子特例の注意点として、配偶者がいないことの要件の判断が解説されています。具体的には、被相続人の相続(第一次相続)と、被相続人の配偶者の相続(第二次相続)が短期間で起こる数次相続の場合、第一次相続で被相続人から直接取得するか、いったん被相続人から第二次相続の配偶者を経由して取得する場合、処理が異なることになります。

言うまでもなく、前者の場合、配偶者がいるため家なき子特例は使えません。後者は第二次相続では配偶者の配偶者=被相続人がいませんので、家なき子特例の対象になり得ます。

これだけ聞くと当然のように思いますが、注意したいのは第一次相続の遺産分割協議がまとまらないまま第二次相続がスタートした場合。第二次相続の遺産分割協議と並行して第一次相続の遺産分割協議も行うことになるはずですが、その際第一次相続では配偶者が取得するようにしておかないと、第二次相続では家なき子特例が使えないことになります。

特定居住用宅地の適用上、配偶者は優遇されていますので第一次相続で配偶者が取得すれば基本は要件をクリアできるはずです。このため、第二次相続が重要になる訳で、処理をミスらないようにしないといけません。

それにしても、小規模宅地の特例は怖い。適用ミスすると大変なことになりますから。しかし、適用しない訳にはいかない特例ですから、相続税の申告の都度、条文や書籍をひっくり返して確認する必要がありますね。