元国税調査官・税理士の松嶋です。
税務雑誌等から注目すべき税務記事を紹介します。
国税速報6743より。

小規模宅地の特例は絶対にミスれない特例ですが、近年の節税防止の改正や要件緩和の改正で内容が非常に複雑になっています。
私自身も小規模宅地の質問はよく受けますが、毎回間違いがないか慎重にならざるを得ません。

紹介されているのは、老人ホーム特例の適用について。
老人ホームに入居した場合でも、所定の要件を満たせば入居前の宅地は特定居住用宅地等に該当します。この適用上、被相続人の入居後、親族がその従前の宅地に入居した場合、適用の可否が分かれます。

具体的には、生計別親族が入居するとアウトで、生計一親族が入居しても問題なし。
このため、紹介されている事例は近くに住んでいて、世話をしている生計一親族が入居したので特定居住用宅地等に該当するとされています。

ただし、本件の解説上、「被相続人と生計一の要件を満たしていることを前提とします」とある点は重要です。
実務では近くに住んでいて、世話をしていて、財布も一緒のように見えても「同居」を満たさないと生計別される可能性がある訳ですから。むしろ、この点をクリアするのが一番難しい。

この点はグレーでしかないですから、老人ホーム入居後に親族が入居すると原則としてアウトになる、としておいた方がいいのかもしれませんね。