【4/10】今日のニュース

01行き場のない遺産 21億円超が宙ぶらりん

単身世帯が増えて家族の繋がりが希薄になる中、今後も増えていくことが予想される宙ぶらりんの遺産。財産家でなくとも独り身の人は遺言書を書くことがポピュラーになればいいのですが。

亡くなった人の財産のうち、誰にも相続されずに自治体が保管している遺留金が20億円を超えており、自治体は相続人を探す費用負担が嵩んでいます。遺留金は「行旅病人および行旅死亡人取扱法」により自治体が保管、清算し、相続人や特別縁故者が見つからない場合国庫に帰属することになります。

身寄りのない人の葬祭は自治体が実施し、費用は遺留金で賄うのが原則ですが、金融機関がそのことを知らず、預金が引き出せないといったケースもあるそうで、総務省は遺留金の取り扱いについて指針を出している厚生労働省と法務省に対し必要な場合には自治体が対応できる法的根拠があることを指針で示し、関係機関に周知するなど改善を行うよう勧告しました。

02経営者がまたも敗訴 不満広がる役員報酬税制

役員報酬の損金算入できる範囲の明確化がなされれば一番いいのでしょうが、なかなか難しいようです。

役員報酬の損金算入の上限額を「同業他社比較」で決定することの問題点が3つ挙げられています。

1役員報酬の適正水準を同業他社と比較することの非合理性
2同業他社データを巡る事業者と国税当局の情報格差
3民間の報酬に国が口を挟むな

会社の利益と株主への配当を考慮したあとは、会社と心中する使命を帯びている役員の報酬は青天井で構わないはずであるとして、経営者側の偽らざる本音は3のようです。日本税理士会連合会は実質的に国税当局による後出しで決められている役員報酬の損金不算入の水準について、業界ごとの適正額の表示や事前確認できる制度の整備などによりあらかじめ明示すべきとの立場を取っています。

日本商工会議所は年間を通じて好不況の変動が激しい中小企業の実態を把握していない、年度内での改定を認めるなど弾力的かつ機動的な仕組みとすべきと主張しています。

03不透明な大企業優遇減税 「租特」にメスは入るか



2023年度税制改正関連法が3月28日の参院本会議で可決、成立した。政府は防衛費増額の財源確保のために27年度までの増税を決めているが、その一方で特定の企業や個人の税負担を特例として軽くする租税特別措置、通称「租特」と呼ばれる制度の問題点が指摘されている。租特による企業分の税負担軽減規模は21年度で1.9兆円に上るが、その効果の検証ができていないことが問題視されてきた。「増税の前に租特の見直しを」といった意見も出ている。

租特は企業を対象にしたもののほか、「住宅ローン減税」など個人を対象にしたものも合わせて300種類以上ある。法人税関連の税負担軽減は例年2兆円前後で、その3分の1を占めているのが、研究開発投資をした企業の法人税額から研究費の一定割合を控除する「研究開発税制」だ。研究開発税制などの租特は、政策目標を達成する手段として時限的に認められている特例措置。しかし、政府の統計によると、国内企業の研究開発費は増えているものの国内総生産(GDP)比で見るとほぼ横ばいで推移。主要企業の売上高に対する研究開発費の比率も横ばいで、明確な拡充効果は読み取れない。こうした租特が効果を発揮しているのかどうか、検証はほとんどできていない。

研究開発税制も23年度税制改正で期限の延長が決まった。3月27日にあった参院予算委員会で野党議員から研究開発税制の効果について質疑が出ると、鈴木俊一財務相は「一定程度(研究開発投資に)寄与したものと考えている」と述べたものの、具体的な効果については「その効果を定量的に申し上げることは困難」として評価を避け、あいまいな答弁に終始した。ある財務省幹部は「防衛費の財源確保のために租特をいじるには関係団体が多すぎて時間が足りない」と話し、実際には抜本的な見直し機運にはつながっていないのが現実だ。

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04公売の「電子入札」がスタート

入札による公売をインターネットで行う「電子入札」がスタートした。公売は、国税局や税務署が差し押さえた財産を入札など(入札方式と競り売り方式がある)によって売却する制度で、原則として誰でも参加できる。

入札方式による公売は、公売財産を買い受けようとする人が、入札価額などを記載した入札書を提出して、見積価額(最低入札価額)以上で入札した人のうち、最高価額で入札した人に対し売却決定し、その人を買受人として定める方式。公売財産は、国税局又は税務署の掲示板に公売公告として、公売条件(公売方法、買受代金の納付期限等)や公売財産の内容(名称、数量等)が掲載される。

従来は書面(入札書)で行っていたわけだが、令和5年4月1日以降に公告を行う入札方式の公売については、国税庁の「公売情報ホームページ」から、オンラインでも入札及び必要書類の提出等ができるようになった。電子入札をするためには、e-Taxの利用者識別番号が必要になる。ログインは公売情報ホームページから行うが、マイナポータルの「もっとつながる」から電子入札と連携することによりログインすることもできる。なお、従来の書面(入札書)による入札も引き続き利用が可能。

すでに行われている国税庁のインターネット公売は、入札ではなくインターネットを利用し競り売りの方法によって行う公売で、国税庁から委託を受けた紀尾井町戦略研究所株式会社が、競り売り人として、官公庁オークションサイトを運営している。

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