元国税調査官・税理士の松嶋です。
税務雑誌等から注目すべき税務記事を紹介します。
T&A master972より。

解釈を間違えると大変なことになる規定が税には多くありますが、その一つにPEがあります。
現状、PEのうち、建設PEの解釈が問題になっている模様。

具体的には、
法人税法→建設若しくは~据付~工事又はこれらの指揮監督
とされているが、租税条約によっては、「指揮監督」を含めたり含めなかったりしている模様。
なお、日米租税条約にはこの文言はない。

結果として、「指揮監督」と明記されていない租税条約においては、「指揮監督」だけだと建設PEにならない、といった指摘がある模様。

この点、モデル租税条約のコメンタリー(モデル租税条約に対する我が国の法令解釈通達のようなもの)では、解釈として「指揮監督」も含まれるように解説されている模様。

この点、国税様の見解は「個別事案ごとの判断」というこれまた厄介なもの。
個別事案ごとの判断ということは、見方を変えれば国税様のさじ加減で建設PEになったりならなかったりする訳で、何の解決にもならない。

ただし、趣旨としては指揮監督だけであっても工事の拠点は日本にある訳だから、建設PEと見るのが妥当なように考える。
そもそもPEは何らかの拠点がないと徴税が難しい、といった点を踏まえての仕組みだから。

なお、国税様は上記モデル租税条約のコメンタリーについて、
「各国と個別に締結した租税条約全般に関する解釈を汎用的に拘束し得るものとは必ずしもいえない」
と解説している模様。
モデル租税条約はベースになるもので、実際は各国との取り決めになる訳だが、それでも参考になることは間違いない。
しかし、こんなことを言ってOECDに怒られたりしないのだろうか。