【3/22】今日のニュース

01海外IT、登記後も法人税負担回避 国税庁が条件付き容認



海外IT(情報技術)大手が日本で未登記だった問題で、国税庁は登記を済ませた外国企業への課税の有無に関する見解をまとめた。日本での「代表者」がビジネスの意思決定権限を持たないなど、一定の条件を満たせば法人税を課さない。海外IT大手の一部には法人税負担を回避するため、登記を避けてきた企業があった。

現時点でメタ(旧フェイスブック)やツイッター、グーグルなど40社超が登記した。多くの社はこれまで、法人税負担の発生を懸念して登記していなかった。

日本政府は外国企業が日本国内に「恒久的施設(PE)」と呼ぶ事業拠点や意思決定権者などを置いていれば、法人税を課税できる。

海外IT各社は対外的な契約などに関わらない外部の弁護士を代表者に据え、PE認定を避ける手法を考え出した。相談を受けた国税庁は2月下旬までに、法的には問題ないと判断した。

国際税務に詳しい平川雄士弁護士は「法務省の要請に従い登記をしても、税務面で不利益は生じないことが明確になった」と話す。

会社法違反については解消に向かうが、海外IT大手への課税は課題として残る。問題となった企業の多くは、日本の消費者を対象としたビジネスで利益を上げているものの、現行制度では課税できない状態が続く。

解決策として21年に約140カ国・地域が合意した新たな課税手法「デジタル課税」がある。事業拠点などがなくても課税できる仕組みで、各国・地域で実施への調整が進む。
日経新聞:海外IT、登記後も法人税負担回避 国税庁が条件付き容認

02適格請求書発行事業者への転換で補助金アップ 小規模事業者持続化補助金



小規模事業者持続化補助金<一般型>の第12回公募が3月10日からスタートしたが、今回は補助上限が拡大している点に注目したい。

持続化補助金は、小規模事業者などが経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓を支援する制度。補助金の対象者は、常時使用する従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合は5人以下、それ以外の業種の場合20人以下である事業者。申請要件は以下のとおり。

〇賃金引上枠 →事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者
〇卒業枠   →小規模事業者として定義する従業員数を超えて規模を拡大する事業者
〇後継者支援枠→アトツギ甲子園のファイナリスト等となった事業者
〇創業枠   →過去3年以内に「特定創業支援事業」による支援を受け創業した事業者
〇インボイス特例→免税事業者のうち適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者

補助上額は、50~200万円。免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する事業者(インボイス転換事業者)の場合、すべての枠で一律に50万円の補助上限を上乗せし、販路開拓(税理士への相談費用を含む)を支援する(最大250万円補助)。

補助率は2/3(賃金引上げに取り組む事業者のうち、赤字事業者は3/4)。補助対象は、店舗改装、広告掲載、展示会出展費用など。

補助対象:事例①
古民家をカフェとして営業するため、厨房を増設。加えて、地元飲食店とのコラボメニュー開発や、地域住民の協力を得て様々なイベントをカフェで開催。
補助対象:事例②
蕎麦屋が地元特産のかき揚げをセットメニューに追加するため、高性能フライヤーを導入。新規顧客の増加、顧客単価アップを目的として地元メディアに広告を出稿

なお、過去の公募回において、「インボイス枠」で採択され事業を実施した事業者は、「インボイス特例」の対象外となるので注意したい。申請受付締切は2023年6月1日。事業支援計画書発行の受付締切は原則2023年5月25日。
日税ジャーナルオンライン:適格請求書発行事業者への転換で補助金アップ 小規模事業者持続化補助金

03コロナ禍と物価高のダブルパンチ リスク高まる顧問先の連鎖倒産

(第1767号 税理士新聞より
関与先が健全な経営をしていても、その取引先が倒産してしまえば資金繰りに重大な影響が及びます。
2000年の大手百貨店そごう倒産時にはわずか2か月で取引先44社が連鎖倒産に追い込まれました。税理士として、関与先の資金繰りのみならず、取引先まで見据えたアドバイスが必要となってきています。

規模が小さく、主要な取引先数が少ないほど連鎖倒産の危険性が高まります。多くの中小企業が連鎖倒産のリスクに直面していますが、その中で急激に需要が伸びているのが与信管理サービスです。

与信管理サービスの代表例としては①信用調査会社の発行する「信用調査報告書」②データ会社が提供する「与信管理データベース」、③損害保険の一種である「取引信用保険」があります。

信用調査会社に調査を依頼すると①「信用調査報告書」が納品されますが、帝国データバンクの調査料金は1件当たり2万4千円、東京商工リサーチも同額となっています。

②「与信管理データベース」は信用調査報告書で蓄積されたさまざまな企業の信用格付けや業績、近況などのダイジェスト情報が閲覧できます。東京商工リサーチの場合、1件当たり1,200円程度で入手可能です。

③の「取引信用保険」は取引先の倒産時や債務不履行時に保険金が受け取れるものですが、年間売上高6億円で1.5億円の債権残高があり、受取限度額を1.2億円に設定した年間保険料が200万円となり、決して安い買い物ではありません。

①②で取引上安全とされた事業者でも倒産した事例があるため鵜呑みは禁物ですが、ある程度の指標となることは間違いありません。③の保険は、ほぼ1社の取引先に頼って経営している場合などは保険料が高くとも検討すべきですし、取引先を分散させることを喫緊の課題とすべきでしょう。

中小企業を取り巻く環境は良くない状態が続いています。コロナ禍で経営体力を消耗している中で物価高が追い打ちをかけている状況であり、いつどの会社が倒産するかわかりません。税理士の一言が関与先を救うことがあり得ますね。