元国税調査官・税理士の松嶋です。
税務雑誌等から注目すべき税務記事を紹介します。
2023年03月03日 税のしるべより。
被相続人が亡くなる直前に、相続人が勝手にその口座からお金を引き出したりすると、「不当利得返還請求権」という財産で相続税が課税されることがあります。
勝手に引き出されるということは不当利得に当たるため、そのお金を被相続人は返還してもらう権利があり、その権利が相続財産になるという理屈。
相続人が引き出したお金を費消してしまうと、「現金」という財産で課税することが難しいですし、そもそも費消したことも立証するのが国税的には非常に大変です。
このため、簡単に使途不明金でも課税できる理屈として、不当利得返還請求権というロジックが生じたと思われます。
これなら、被相続人の預金からの引き出しだけで課税できますので国税様的には楽。
もちろん、こんな課税されると相続人にとってはとんでもないため、往々にして裁判になりますが、本稿で解説されている事例では、亡くなる三年前くらいから、1902回にわたり、ATMから14億程度も引き出されている模様。
相続人(二男)はこんなお金引き出していない、といった主張をしていますが、ATMが所在しているコンビニの店長に二男の写真を調査官が見せたところ、頻繁に来店していたことが把握された模様です。
このような調査もなされるため、嘘はいけないですね。
なお、税理士の方は二男に被相続人の口座を隠すことなく申告せよと指導していたようですが、二男はその指導も無視した模様です。
こうなると、税理士への隠ぺいも認定できそうで、重加算税の対象と言われてもやむなしですね。
記事からは重加算税が賦課されたかはわかりませんが。